「写真で判断されること」への疲弊
マッチングアプリを開くたびに、なんとなく重い気持ちになる。
いいねを送っても返事がない。マッチしてもすぐ無視される。やっとメッセージが続いても、会う前に消えていく。「プロフィールが悪いのかな」「写真を変えたほうがいいかな」——そうやって、また設定画面を開く。
でも、ある時に気づいてしまった。
写真を変えても、自己紹介文を何度書き直しても、根本的な何かがずっと変わっていなかった。問題はアプリの使い方じゃなかった。もっと手前の、どうしようもないところにあった。
実は、メンタルの強さとはまったく関係のない話だった。
第1章:「もっとよく見せよう」が、逆に相手を遠ざけている
写真を工夫する。自己紹介文を磨く。プロフィール添削サービスにお金を払う。それ自体が悪いとは思わない。
ただ、こういう比喩はどうだろう。汚れた布でガラスを拭いているようなものだ。拭けば拭くほど、汚れが広がる。
問題は、布が汚れていることじゃなくて、そもそも「何を磨こうとしているのか」がズレているかもしれない、ということだ。
そこにはかなりシンプルな構造がある。ただ、自分一人ではなかなか気づけない。自分の目で自分の目を検査するようなものだからだ。
僕自身、7年間で88人と婚活してきた。恋愛セミナーに通い、コミュニケーション教室に3年間・年間40〜50万かけて通った。外見も磨いた。メンズメイクも習った。プレゼントを研究するために、洋菓子店を77店舗回ったこともある。(今考えると、相当おかしなことをしていた)
それでもうまくいかなかった。
当時の僕には、見えていないものがあった。後から考えると明らかなのだが、その渦中にいると、まったく見えない。
じゃあ、どういうことなのか。これについて、ここからが大事な話になる。
第2章:「気づいてしまった人」に何が起きたか
30代前半の会社員、ナオキさん(仮名)の話だ。
マッチングアプリを2年使って、30人以上と会い、誰とも続かなかった。「自分に問題があるのかもしれない」とはうっすら感じていたが、何が問題なのかがわからなかった。
ナオキさんの場合、Beforeはこんな感じだった。写真を見た瞬間、「この人には無理かな」と諦めていた。メッセージのやり取りで少し沈黙が続くと、すぐに「嫌われた」と決めつけてフォローのメッセージを送り過ぎた。デートで相手がスマホを見た瞬間、心臓がキュッとなって、それが顔に出ていたと後から言われた。
半年後、ナオキさんはこう言っていた。「アプリをやめて半年で、職場の飲み会で知り合った人と付き合えた。マッチングアプリに使っていた時間と費用が、ちょっと惜しくなった。」
ナオキさんが気づいたのは、相手の行動や言葉への「自分の反応パターン」だった。それだけだった。テクニックを学んだわけでも、メンタルを鍛えたわけでもない。ただ、自分のパターンが見えた。それだけで、行動が変わり始めた。
20代後半の女性、ユカコさん(仮名)も似たような変化を経験している。
マッチングアプリで1年間、いいねを送っても返事が来ない状態が続いていた。毎週のように写真を撮り直して、毎月のようにプロフィールを書き直していた。Beforeの状態は、アプリを開くたびに少し息が苦しくなるほどだった。日曜の夜は特に重かった。
3か月後のユカコさんは、アプリの更新をやめていた。代わりに、友人の紹介で会った人と交際を始めていた。「出会い方が違った」と彼女は言っていた。
「自分がなぜ外見だけで判断されることにこんなに傷つくのかが、やっとわかった気がした。相手を責めていたけど、実は自分の見え方に問題があったことに気づいた。」
ただ、正直に言っておくと、この人たちはたまたまいいタイミングで気づけただけだ。一人でこれを見つけるのは、かなり難しい。いや、ほぼ無理だと思う。
第3章:「写真をよくすること」が、疲弊を加速させる理由
マッチングアプリの写真を改善しようとする。それ自体はおかしくない。
でも、こういう構造がある。
「写真が悪いからマッチしない→写真を改善する→少しマッチが増える→でも続かない→もっと写真を改善しないといけない→写真撮影にお金をかける→それでも続かない→自分の外見に根本的な問題があるのかもしれないと思い始める」
この流れ、見覚えがある人はいないだろうか。
外見を磨く努力そのものが、「外見がすべて」という思い込みを強化している。そして、その思い込みが強くなるほど、実際のやり取りの中で「外見で負けている」という感覚が先に来て、相手との距離が縮まらなくなる。努力すればするほど、違う方向に進んでいく。
もう一つある。「内面を見てほしい」と思えば思うほど、内面をアピールしようとしてしまう。でも、内面のアピールを意識すると、どこか不自然さが出る。相手にはそれが伝わる。余計に壁ができる。
なぜ一人ではこのループから抜け出しにくいのか。問題のパターンの中にいる人は、そのパターン自体が見えない。間違ったフォームで100回素振りしても、間違ったフォームが上手くなるだけだ。フィードバックなしに正しいフォームに直せた人を、僕はほとんど知らない。
僕自身も、7年近くこのループにいた。本を何十冊も読んだ。セミナーにも通った。「気づいた」と思ったことも何度もあった。でも半年後にはまた同じところに戻っていた。お金と時間だけが消えていった。
あれだけの期間とお金をかけて、最終的に気づいたのはシンプルなことだった。テクニックの問題じゃなかった。自分の「パターン」を知らないまま動いていた、ということだった。
正直に言っておくと、僕は医師ではない。薬を出すことはできない。診断書を書くこともできない。相談を受けたすべての人がうまくいったわけでもない。途中でやめた人もいる。1回のレポートで劇的に人生が変わる人も、ほとんどいない。
それでも、「自分のパターンを知ること」には、一定の意味があると思っている。パターンが見えると、同じ行動を繰り返しているときに「あ、またか」と気づける。気づければ、少し立ち止まれる。
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ただ一つだけ。一人で抱えて動き続ける時間は、思っているより長くなる。僕の場合は7年かかった。そのうち何年かは、振り返ると方向が違っていた。
おわりに
マッチングアプリが外見を重視するのは、アプリの設計の問題でも、相手の人格の問題でもない。もっと手前の話だった。
僕が7年間で気づけなかったのは、テクニックが足りなかったからじゃない。自分のパターンが見えていなかったからだ。
それがわかったのは、一人でグルグル考えていた時間じゃなかった。誰かと話した時間だった。
どうするかはあなた次第だ。でも、この記事を読んで何か引っかかるものがあったなら、それはたぶん、本当のことだからだと思う。
🙋 このブログを書いている人についてだいき|産業カウンセラー・キャリアコンサルタント会社員時代、職場の人間関係でメンタルが限界に。「このままではまずい」と一念発起し、コミュニケーションを学び直した経験が、産業カウンセラー・キャリアコンサルタントの資格取得につながりました。恋愛・婚活でも7年間で88人とデートを重ねながら、うまくいかない時期が長く続きました。その苦しさを知っているからこそ、脳科学・進化心理学・愛着理論といった知識を「自分ごと」として学び続けてきました。キャリアブレイクコミュニティでは160回以上のワークショップを主催。さまざまな悩みや状況を持つ方と向き合い続けてきた経験が、相談の土台になっています。「記事を読んで、もう少し深く話してみたい」と感じたら、ぜひココナラのサービスをのぞいてみてください。