「自分には何もない」から始まった、副収入への道

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コラム


プロローグ


オンラインカウンセリングの画面に、サトシさんが映った。背景は自宅のリビングのようだ。少し緊張した表情で、画面越しに会釈をする。

「今日はよろしくお願いします」

ダイキ「こちらこそ、よろしくお願いします。今日はどんなことをお話ししましょうか」

サトシさんは少し間を置いてから、ゆっくりと話し始めた。

焦りと不安の中で


サトシ「実は...副収入を得たいんです。でも、何から始めればいいのか分からなくて」

声のトーンは落ち着いているが、どこか焦りのようなものが感じられた。

ダイキ「副収入を得たいと思われたきっかけは、何だったんでしょうか」

サトシ「今の会社の給料だけだと、将来が不安で。子どもの教育費とか、老後のこととか考えると...このままじゃダメだなって」

ダイキ「なるほど。将来への不安があるんですね」

サトシ「はい。最近、周りを見ても副業してる人が多くて。SNSでも副業で成功してる投稿をよく見るんです。でも、自分には何ができるのか...」

そう言って、サトシさんは少し俯いた。画面越しでも、その肩の力が入っているのが分かった。

ダイキ「『自分には何ができるのか』って、今そこで悩んでいる感じですか」

サトシ「そうなんです。特別なスキルがあるわけでもないし、時間も限られてるし。何から手をつけていいのか...もう半年以上、ずっと同じこと考えてるんです」

「何もない」という思い込み


ダイキ「特別なスキルがない、って今おっしゃいましたけど、サトシさんはどんなお仕事をされているんですか」

サトシ「IT関連の企業で営業をやってます。もう10年以上になりますね」

ダイキ「10年以上...。それって、かなりの経験ですよね」

サトシ「まあ、普通に仕事してきただけですけど」

その「普通に」という言葉に、ダイキは少し引っかかりを感じた。

ダイキ「普通に、って。その10年の中で、サトシさんが特に得意だったこと、あるいは周りから評価されたことって、何かありませんか」

サトシさんは少し考え込んだ。

サトシ「得意なこと...うーん。あ、でも、提案資料を作るのは早いって言われます。あと、お客さんの話を聞いて、相手が本当に必要としているものを見つけるのは得意かもしれません」

ダイキ「提案資料を作るのが早い。お客さんのニーズを見つけるのが得意。それって、すごく価値のあるスキルだと思いますけど」

サトシ「そうですか。でも、それって仕事で当たり前のことですよね」

ダイキ「当たり前、ですか」

ダイキはゆっくりと繰り返した。サトシさんの中で、自分のスキルが「当たり前」として埋もれているように感じた。

ダイキ「サトシさんにとっては当たり前でも、それができない人もたくさんいるんじゃないでしょうか」

サトシ「...そう言われてみれば、確かに。新人の頃は苦労したなあ」

過去を振り返る


ダイキ「新人の頃、どんなことで苦労されたんですか」

サトシ「最初は全然ダメでした。お客さんとの会話が続かないし、何を提案していいのか分からなくて。先輩に何度も怒られましたね」

少し苦笑いを浮かべながら、サトシさんは続けた。

サトシ「でも、あるとき先輩に『お前は話を聞こうとしすぎてる。まず相手の話を全部聞いてから、その中から本当に困ってることを見つけろ』って言われて。それから、ちょっとずつ変わっていったんです」

ダイキ「その経験が、今の『ニーズを見つける』スキルにつながってるんですね」

サトシ「ああ...そうかもしれません」

サトシさんの表情が、少し明るくなった。自分の経験を振り返ることで、何かに気づき始めているようだった。

ダイキ「他にも、何か学んだことや、身につけたものはありますか」

サトシ「資料作りは、独学でデザインの基礎を勉強しました。プレゼンツールの使い方とか、色の組み合わせとか。あと、最近は表計算ソフトの自動化も少し覚えました」

ダイキ「独学で」

サトシ「はい。必要に迫られて...でも、やってみたら意外と面白くて」

「普通」の中にある価値


ダイキ「サトシさん、今お話を聞いていて思ったんですけど、『普通』って言われてましたけど、かなりいろんなことをされてますよね」

サトシ「そうですか」

ダイキ「ヒアリング力、提案資料のデザイン、業務効率化。これって、全部誰かが困っていることを解決できるスキルですよね」

サトシさんは、少し驚いたような顔をした。

サトシ「言われてみれば...でも、これを副収入にするって、どうすればいいんでしょう」

ダイキ「まず、『何もない』と思っていたところから、『実はいろいろある』って気づけたのは大きいと思いますよ」

サトシ「確かに。さっきまで『自分には何もない』って思ってました」

小さく始めることへの抵抗


ダイキ「じゃあ、次のステップとして。今持っているスキルを、まず小さく試してみるとしたら、何ができそうですか」

サトシ「小さく...ですか」

サトシさんは少し考え込んだ。そして、少し躊躇するように言った。

サトシ「でも、小さく始めても、大した収入にはならないですよね。月に数万円とかじゃ、あまり意味がないというか...」

ダイキ「月に数万円じゃ、意味がない」

サトシ「だって、SNSとかで見る人たちは、副業で月に何十万も稼いでるじゃないですか。それに比べたら...」

その言葉に、ダイキは少し間を置いた。サトシさんの中に、「大きく稼がなければ意味がない」という思い込みがあるように感じた。

ダイキ「サトシさん、ちょっと質問なんですけど。今まで副業って、やったことはありますか」

サトシ「いや、ないです」

ダイキ「ということは、今の副業収入はゼロですよね」

サトシ「そうですね」

ダイキ「ゼロから、月に1万円になったら」

サトシ「...それは、嬉しいかもしれません」

ダイキ「1万円が3万円になったら」

サトシ「もっと嬉しいですね」

ダイキ「そうですよね。でも、いきなり月に何十万も稼ごうとすると、どうなると思いますか」

サトシさんは、少し考えてから答えた。

サトシ「...失敗するかもしれない。というか、何から手をつけていいのか分からなくて、結局何もできないかも」

ダイキ「まさに、今そうなってませんか」

気づきの瞬間


サトシさんは、ハッとしたような表情を浮かべた。少し沈黙が流れる。画面越しに見えるサトシさんの目が、何かを理解しようとするように動いていた。

サトシ「......そうか」

その声は、さっきまでとは違っていた。何かが腑に落ちたような、静かな驚きが含まれていた。

サトシ「自分で自分のハードルを上げてたんですね。『大きく稼がなきゃ意味がない』って思ってたから、何も始められなかった。でも...」

サトシさんは言葉を探すように、少し間を置いた。

サトシ「まずはゼロを1にすることが大事なのかもしれない。1が10になって、10が100になる。でも、最初の1がなければ、100にもならない」

その言葉を口にした瞬間、サトシさんの表情が少し緩んだ。肩の力が抜けたようだった。ダイキは、その変化を静かに見守った。

ダイキ「そうかもしれませんね。ゼロを1にする。その一歩って、どんなことができそうですか」

サトシ「うーん...例えば、スキルを教えるサービスで、提案資料の作り方を教えるとか」

ダイキ「いいですね。それなら、今すぐにでも始められそうですよね」

サトシ「はい。でも...」

また、サトシさんは言葉を止めた。

ダイキ「でも」

サトシ「でも、そんなので本当に需要があるのか、不安で」

試すことの価値


ダイキ「需要があるかどうか、今の時点で分かりますか」

サトシ「...分からないですね」

ダイキ「じゃあ、どうすれば分かると思いますか」

サトシ「...やってみる」

ダイキ「そうですね。やってみて、初めて分かることもあると思います」

サトシさんは、少し考え込んでから、ゆっくりと話し始めた。

サトシ「確かに...考えてばかりで動かないから、いつまで経っても分からないんですよね」

ダイキ「サトシさん、営業のお仕事をされてるって言ってましたけど、お客さんのニーズって、最初から全部分かりますか」

サトシ「いや、分からないです。話を聞いて、提案して、反応を見て...その繰り返しですね」

ダイキ「副収入も、同じかもしれませんね」

サトシ「...ああ、そうか」

サトシさんは、何かに気づいたような表情を浮かべた。

サトシ「小さく始めて、反応を見て、調整していく。それって、営業と同じやり方ですね」

ダイキ「まさに、サトシさんが得意なやり方じゃないですか」

手持ちの資源から始める


ダイキ「じゃあ、改めて整理してみましょうか。サトシさんが今持っているものって、何がありますか」

サトシ「えっと...営業の経験、ヒアリング力、資料作成のスキル、業務効率化のスキル。あとは...時間は限られてますけど、平日の夜と週末は少し使えます」

ダイキ「それだけあれば、十分スタートできそうですよね」

サトシ「はい。でも、お金はかけたくないんですよね。失敗したら怖いので」

ダイキ「お金をかけずに始められる方法って、ありそうですか」

サトシ「スキルを教えるサービスなら、登録は無料ですよね。あとは、SNSで発信するとか」

ダイキ「いいですね。じゃあ、まずそこから始めてみる、っていうのはどうでしょう」

サトシ「...そうですね。まずは登録して、プロフィールを作ってみます」

完璧を求めない


ダイキ「プロフィールを作るとき、どんなことを書こうと思いますか」

サトシ「うーん...経歴とか、できることとか...でも、ちゃんとしたプロフィールじゃないと、誰も見てくれないですよね」

ダイキ「ちゃんとした、って」

サトシ「なんか、実績がすごいとか、資格がたくさんあるとか」

ダイキは、少し微笑んだ。

ダイキ「サトシさん、また『大きく』考えてませんか」

サトシさんは、一瞬言葉を失った。そして、苦笑いを浮かべた。

サトシ「...ああ、そうですね。また自分でハードル上げてた」

その瞬間、サトシさんの目に涙が浮かんだ。驚いたような、でも少しホッとしたような表情だった。

サトシ「なんか...ずっと自分で自分を苦しめてたんですね。完璧じゃなきゃダメだって。大きな結果を出さなきゃダメだって。でも、そんなの無理だから、結局何もできなくて」

その言葉は、サトシさん自身の深い気づきだった。ダイキは静かに聞いていた。

ダイキ「最初から完璧である必要は、ないと思いますよ。まずは、自分ができることを、素直に書いてみる。それでいいんじゃないでしょうか」

サトシ「素直に...」

サトシさんは深く息を吐いた。その息には、これまで抱えていた緊張が解放されるような感じがあった。

サトシ「『営業経験を活かして、お客さんの心を動かす提案資料の作り方を教えます』とか、そんな感じですかね」

ダイキ「いいですね。それ、すごく分かりやすいし、魅力的だと思います」

サトシ「本当ですか。なんか、シンプルすぎるかなって」

ダイキ「シンプルだからこそ、分かりやすいんだと思いますよ」

未来への一歩


ダイキ「じゃあ、今日の対話を踏まえて、サトシさんがこれからやってみようと思うことを、整理してみましょうか」

サトシ「はい。まず、スキルを教えるサービスに登録して、プロフィールを作ります。内容は、営業経験を活かした提案資料の作り方。あと、できれば業務効率化も」

ダイキ「いいですね。他には」

サトシ「あと、SNSでも発信してみようかな。営業の現場で学んだことみたいな感じで」

ダイキ「素晴らしい。いつ始めますか」

サトシ「今週末...いや、今日帰ったらすぐに登録します」

その言葉には、さっきまでとは違う、前向きなエネルギーが感じられた。

ダイキ「じゃあ、一つ質問なんですけど。うまくいかなかったら、どうしますか」

サトシ「うまくいかなかったら...うーん。でも、失敗してもゼロに戻るだけですよね。だったら、やってみて、ダメだったら別の方法を試してみます」

ダイキ「その考え方、すごくいいと思います」

エピローグ


カウンセリングの終わりが近づいてきた。サトシさんの表情は、最初に比べてずっと明るくなっていた。

サトシ「今日、話してみて気づいたんですけど、自分で勝手にハードルを上げて、自分で『できない』って決めつけてたんですね」

ダイキ「そうですね。でも、今日それに気づけたのは大きいと思いますよ」

サトシ「はい。あと、『何もない』って思ってたけど、実はいろいろあるんだなって。今持ってるものから始められるんだって」

ダイキ「そうですね。サトシさんは、もともと持っていたんですよ。ただ、それに気づいていなかっただけで」

サトシ「ありがとうございます。なんか、ちょっと自信が持てました」

ダイキ「これから、いろいろ試してみて、また何か困ったことがあったら、いつでも話してくださいね」

サトシ「はい、ありがとうございました」

画面が切れる直前、サトシさんは笑顔で手を振った。

まとめ


この対話の中で、サトシさんは大きな気づきを得た。

まず、「自分には何もない」と思っていたが、実は多くの資源を持っていたこと。10年の営業経験、ヒアリング力、資料作成のスキル、業務効率化のスキル。これらは全て、誰かの役に立つ価値のあるスキルだった。

次に、「大きく稼がなければ意味がない」という思い込みが、自分の行動を止めていたこと。完璧を求めるあまり、一歩も踏み出せずにいた。

そして最後に、小さく始めて、反応を見て、調整していく。それは営業で普段やっていることと同じだという気づき。自分が得意なやり方を、副収入にも活かせるという発見だった。

副収入を得るために最も大切なのは、完璧な計画でも、特別なスキルでもない。まず、手持ちの資源に気づき、小さく始めて、試行錯誤を繰り返すこと。そして、完璧を求めず、ゼロを1にすることから始めることだ。

これは、起業家が実践する考え方にも通じる。手持ちの資源から始め、小さく試し、学びながら進む。大きな目標よりも、まず目の前の一歩を踏み出す。

サトシさんの一歩が、どんな未来につながるのか。それは誰にも分からない。でも、確実に言えるのは、今日の対話で、サトシさんの中に小さな変化が生まれたということ。その変化が、やがて大きな成果につながるかもしれない。


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