気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その23~

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体の動きと呼吸の話をする際に、僕の本職である、表現と呼吸の関係性にもどうしても少しだけ触れなければなりません。
前回の終わり際にストレッチとか体前屈のことを書きましたが、例えば体の何処かで伸びをする時に息も吐いているのだとしたら、それは既に、エネルギーのアウトプットになっている可能性があり、上手くやればストレス発散に繋がるので別に悪い訳ではありませんが、睡眠に代表されるような、とにかくエネルギーの充電、体の補修に特化した呼吸とは一線を画した状態であることは知っておいて損は無いと思います。
体の中心から手足などを遠くへ離しながら息を吐く行為は、ちょっと極端かも知れませんが、例えばボクシングのパンチとか、野球のピッチングとか、サッカーのキックとか、自分の内なるエネルギーを使って外界へと働き掛ける際の呼吸と同傾向のものです。
純度高く、余分な緊張から体を解放してあげる為に体を大きく動かすならば、普段の呼吸、専門用語では安静時呼吸と言うかと思うのですが、それの延長上で呼吸を寄り添わせてあげた方がかなり効果的です。
少し前までのこのブログで、呼吸とは体全体、全方向の末端にまで及ぶ広がりであるとご説明しました。
ストレッチのように具体的な体の伸びは、その体の拡張の具体化でもあります。
なので、いつ何処で誰に指示されたのか定かでは無い人まで、息を吐きながら伸びましょうといった促しが記憶の何処かにあるのなら、一旦はそのようなことから離れて、何も考えずに、そう、息を吐きながらとか思う位なら、いっそのこと雑念に大活躍してもらって、そうですね、一番分かり易い、腕でも優しくゴムのように伸ばしてみてください。
どうでしょう、体がそんなに高い確率でその動きに伴って息を排出しようとしてますか。
腕を挙げたり伸ばしたりすると、序でに肋骨も動いて肺が広がるのでどちらかと言うと、息を取り込む動きとなる筈なんです。頭で息を吐こうなどと決め付けさえしなければ。
それで、その伸びを終えて元の位置へと腕が戻って来ることが脱力となり、体が収縮して息を自然に楽に排出させてくれるのです。
これは、普段の生活によって抱えてしまった身体各部の様々な緊張をリセットするにはとても良い動きと呼吸の関係性となります。
これも、呼吸 " 法 " ではありませんよ。放っておけば体が勝手に選択してやってくれる自然な呼吸の確認です。
体前屈もそうです。きっと、前屈するとお腹がつっかえて不利だというような意識もあって、息を吐きながら(=お腹を凹ましながら、という意味なんでしょう)、力を抜いて、という指示指導をよく見聞きしますが、両腕を足先に向けて伸ばしたり垂らしたりしている時点で左右の肋骨の脇のエリアは相当広がっていますし、背中もかなり伸びて広がります。
なので、息を吐きながらなどというような観念で先回りさえしなければ、体は息を取り込むことに対してまんざらでもない、どころか結構喜んだ反応を示してくれます。
それは、その方が自然で、本来的に体が選択する呼吸と体の動きの関係だからです。
前屈しながら脱力したいならば、今ご説明した、優先的に体が選択する呼吸と体の動き、つまり、お腹を凹ませるなどと言うことに気を取られずに、先ずは脇や背中の広がりによって体が息を取り込むことを邪魔せずに体を折り曲げてゆきます。
そうすると、その取り入れた分の息を体は次のターンで必然的に排出しますから、その瞬間、本当に楽に自然に息を吐いて前屈している状態がいとも容易く実現します。
これなら、意識で息を吐き “ ながら ” 前屈したのとは全然違う、腹筋にも緊張が走らない、本当にリラックスした前屈、しかも脱力しながら息を排出している訳ですから、我慢せずに前屈の体制を保持しやすい状態となっている筈です。

つづく
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