古典にみる恋愛文様

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入内した弘徽殿(こきでん)女御には余裕しかなさそうである。
まず帝の第一婦人である。右大臣の娘で家柄もよく、そしてなにより第一男子を誕生させている。一族は安泰である。

しかし、寵愛を独占できたのは彼女ではなかった。独占したのは桐壺である。しかし桐壺の父は大納言で右大臣より格下であり、産んだ男子は二番目である。

以上は源氏物語1帖「桐壺」の主要プロットである。

持った弘徽殿ではなく、持たざる桐壺が寵愛された理由は何なのか。
桐壺は、「美しい女」とされているが、弘徽殿も、美しかったのではないか。家柄の気品もあるだろうし、教養もつんでいる。帝の「好み」が桐壺に軍配が上がるとはいえ、それ以外の全てで勝っている。桐壺は、帝の「好み」だけで寵愛を独占できたのだろうか。

もしかしたら、美しさ以外、勝る要素がなかったが故、寵愛を受けられたのではないか。つまり帝が惹かれたのは、「欠けている美しさ」ではなかったか。そしてもう一つ、弘徽殿の「嫉妬」が、帝の桐壺への想いを助長したのではないか。

理は、現在も千年前も変わらない。欠けた月に趣きを感じ、恋愛のエネルギーは「難しく険しい道」そのものなのである。

弘徽殿の取るべき手段は、「諦める」ことだったのかもしれない。諦めさえすれば、失恋した弘徽殿が誕生し、嫉妬そのものも吹き飛ぶ。「諦める」ということは、寵愛の放棄ではあるのだが。

「弘徽殿女御という人は、気が強く険のある人柄であった」、「弘徽殿から聞こえる管弦の音は、聞くに堪えない」と物語られるが、嫉妬の呪縛から逃れるためには、管弦の音で埋めるしか、実は余裕がなかったのかもしれない。

そんな視点からもう一度「源氏物語 第一帖 桐壺」を読んでみようと思う。


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