ライトノベル作家・専門学校現役講師のひびき遊です。
「結末をあえて決めずに小説を書いていく」
こんな難しい話が、ちょっとツイッターで流れてきまして……。
私も何度か長く続けられた作品を持てたので、そういう経験から「最初の方にこんなネタを仕込んでおこう。もし最後まで書けたら、このネタを回収しよう」とやることはあります。
しかし、それは完全に「結末を決めない」のではなくて。
漠然と「こういうラストになればいいなあ」というイメージは持っていて、そこに向かって「何が必要になるか」を、すでに序盤で考えていて……「使えなくてもいいから準備しておく」というパターンです。
いわゆる「伏線の仕込み」ですね。
この段階では、担当編集さんにも「後でこれがリンクします」と説明することはありません。
本当に回収できるかは、まだわからなからですね。
しかし完全なアドリブとなると……おそらく、そうした「事前のネタ仕込み」のないパターン、ということで。
……いやぁ、確かに、「ストーリーを作っている側が先を知らなければ、読者だって分からない」というのは、北斗の拳の原作者・武論尊氏の金言ですがw
ttps://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/316640
でも、それは「きちんと最後まで物語を作り上げる」ことができる、一定レベルを超えた創作者だから……なんですよ。
「自分の力量だったら、後からどうとでもなるだろう」
この発想ですね。
ところが、素人の方が「ああ、じゃあアドリブで書いていけばいいのか」と盲信するのは、まずいです。
書ききったものの――「適当に最後まで書いた」だけに、なってませんか?
確かに、クリエイターの中には、とんでもない天才は存在します。
私が知ってる中だと、漫画家・久正人先生の漫画『ジャバウォッキー』が、「なんとなく序盤で出していた要素が、ふとした閃きで結末に結びつく」という見事な構成を見せてくれます!
ttps://www.amazon.co.jp/dp/B00HF1XCEI/
確か、久先生自身があとがきで解説していたのですが、
「完全にアドリブだったが、描き進めていくと、自然とラストに繋がっていく感覚があった。だけどそんな奇跡を信じて量産していくのは大変なので、今はそういう閃きに頼らない方法論で作るようになった」
とか。
……『ジャバウォッキー』の凄さは、あえて解説しません。
興味を持たれた方はぜひ、全7巻――購入して、ストーリーを確認してください。
「まさか、こんな回収がされるのか!」
と、毎回震えますよ……!
そして、本当の「天才の閃き」によって描かれた「本物のアドリブ」を知れば……「これは簡単に真似できるレベルではないな」と痛感するはずです。
……私もそうです(苦笑)。
創作をする、という行為は、長くやっていれば必ず「経験値」が溜まります。
その経験値がないままに、「アドリブしかできないからそれでいいや」と作っていくのは、危険です。
いろいろ、自分を鍛えてから挑戦するといいですよ!