店舗物件の媒介が取れない人へ。「募集させてください」だけでは貸主は動かない

店舗物件の媒介が取れない人へ。「募集させてください」だけでは貸主は動かない

記事
コラム
不動産仲介を始めたばかりの方から、
「空いている店舗の所有者までは見つけられた」
「貸主と話すこともできた」
「でも、その先どうやって募集を任せてもらえばいいのか分からない」
という相談を受けることがあります。

特に店舗・事務所仲介へ新しく参入すると、
「空室を見つける → 貸主へ営業する → 媒介をもらう」
という流れは分かっていても、実際に貸主と話せるところまで進んだ瞬間、
「で、何を提案すればいいんだろう?」となりやすいです。

私が仲介コンサルで支援している会社でも、まさにここから一緒に考えることがあります。

結論から言うと、私は貸主に対して、
「ぜひ募集させてください」だけでは、なかなか任せてもらえない
と考えています。

まだ付き合いのない不動産会社に、大切な物件を任せるわけです。
貸主が知りたいのは、
「この会社は、うちの物件をどう募集するつもりなのか」です。


「募集させてください」ではなく、「こう募集します」を持っていく

例えば、空いている店舗を見つけて貸主へ連絡したとします。

そこで、
「弊社で募集させてください」とお願いするだけでは、
貸主からすると他の不動産会社との違いが分かりません。

そこで私が支援するときは、いきなり媒介をお願いするのではなく、
「一度周辺相場を調べて、募集条件をご提案させてください」
と次の面談につなげるようにしています。

そして次回、
「この物件なら、このくらいの賃料」だけではなく、
「こういう業種が入りそうです」
「その業種なら、このくらいの初期費用にした方が入りやすいと思います」
「まずこの条件で募集して、反響が弱ければ3か月後にここを見直しましょう」まで提案します。

ここまで話せると、
単に物件サイトへ掲載してくれる会社なのか、それとも募集方法まで考えてくれる会社なのかという違いが出てきます。

地方の店舗は、そもそも賃料査定が難しい

ここで最初につまずきやすいのが賃料査定です。

住宅賃貸であれば、
・同じマンション
・近隣の同じ間取り
・似た築年数。
など、比較対象を見つけやすい地域もあります。

ところが地方の店舗では、
「この物件と比較できそうな募集が2〜3件しかない」
ということも普通にあります。

実際に支援した案件でも、同じエリアで参考にできる現在募集物件は2〜3件程度でした。

だから私は、「30坪の店舗だから30坪だけを見る」という探し方はしません。

例えば、
20坪でも、50坪でも、1階路面。
大通り沿い。築年数が近い。駐車場がある。
といった条件が近ければ、坪単価を考える材料になります。

さらに、現在募集している物件だけではなく、募集終了後も情報が残っている物件まで確認します。

完全に同じ物件を探すのではなく、
複数の似ている部分を拾いながら、「この建物ならどのくらいが現実的か」を組み立てるという感覚です。

店舗の賃料査定は、住宅よりもこの部分に経験が出やすいと思います。



店舗は「いくらで貸すか」だけでは足りない
賃料査定ができたら終わりかというと、店舗はそうでもありません

私は、「誰に貸すのか」まで一緒に考えます。

今回支援していた店舗は、
・1階路面
・視認性がある
・駐車場も確保できる
という物件でした。


そこで美容室や物販だけではなく、
フィットネスジム
就労支援事業
介護系事業
なども候補として考えました。

なぜ業種まで考えるのか。
それは広告のためだけではありません。

業種によって、物件を借りるときに必要なお金が違うからです。
例えば美容室やクリニック系なら、給排水などを含めて大きな内装費がかかることがあります。

そのテナントに対して、
「保証金10か月必要です」
とすると、物件は気に入っても初期費用が重すぎて借りられないかもしれません。

今回の物件では、現況で引き渡し、退去時も基本的にその状態で返してもらう条件だったため、保証金を高くするより、その分を借主の内装費へ回しやすい募集条件を提案しました。

つまり、
賃料、保証金、想定業種を別々に考えないということです。

貸主へ「査定額」だけを持っていかない


私が仲介コンサルで支援するとき、査定資料を作って終わりにはしていません。

貸主へ説明する前に、私を貸主だと思って、一度最初から説明してもらう
ことがあります。

例えば、私は途中で、
「もう少し高く貸せないですか?」
「この条件で本当に問い合わせが来ますか?」
「保証金をそんなに下げて大丈夫ですか?」
と聞きます。

実際に貸主から出そうな質問です。
査定自体が合っていても、「なぜこの金額なのか」
を説明できなければ、貸主は納得しません。

そこで説明の順番も整理します。
私なら、まず物件の良い部分を伝えます。
「1階で大通りから見えます」
「駐車場も確保できます」
「ガラス面があり店内も明るいです」
といった話です。

その後に、「この特徴なら、こういう業種が考えられます」
と話す。

さらに、「ただ、周辺相場を見ると現在の状態ではこのくらいの賃料が現実的です」と賃料へ進みます。

最後に、
「この業種を狙うなら内装費も必要なので、保証金はこのくらいにした方が募集しやすいと思います」と条件につなげる。

賃料○万円です、で終わらせず、なぜその条件なのかを一つずつつなげる。
これが媒介取得の営業にもなります。


「もっと高く貸したい」と言われても、すぐ否定しない

貸主営業でよくあるのが、
こちらの査定より高い賃料を希望されるケースです。

例えば、
「30万円くらいだと思います」
と伝えたら、
「35万円では無理ですか?」
と言われる。

ここで、「無理です。相場は30万円です」
と切ってしまう必要はありません。

私は、
「相場より高くなるので、問い合わせは減る可能性があります。ただ、最初はご希望の賃料で募集して反響を見る方法もあります」
という提案もします。

あるいは、
「この部分まで貸主側で内装を整えれば、今の状態より高い賃料を狙える可能性があります」
という考え方もあります。

つまり、
貸主の希望を否定するのではなく、その条件で募集すると何が起こりそうかを説明するわけです。

貸主も、「高く貸したい」と思うこと自体は当然です。
仲介会社側の仕事は、それを否定することではなく、
高く貸すなら何が必要なのか、高く出した場合は何を覚悟するのか
を説明することだと思っています。


媒介を取った後の話までしておく


もう一つ、私が最初に話すようにしているのが、
「決まらなかったとき、どうするか」です。

例えば、
「まず3か月程度この条件で募集してみましょう」
「問い合わせがほとんどなければ賃料を確認しましょう」
「問い合わせはあるけれど内見にならないなら、資料や写真を見直しましょう」
「内見はあるのに申込みがないなら、内覧者から理由を聞いて条件を再検討しましょう」
といった具合です。

今回の支援でも、3か月程度を一つの区切りとして、問い合わせや案内状況を確認する考え方を貸主へ伝えています。

これを最初に言っておかないと、
3か月後に突然、「決まらないので家賃を下げましょう」となります。

貸主からすると、
「最初はこの賃料で大丈夫と言ったじゃないか」
となっても不思議ではありません。

最初から、
「この条件で始めます。ただ、結果を見てここを見直します」と説明しておく。

これも貸主から募集を任せてもらうための材料になります。


媒介営業は「お願いする営業」だけではない


私が店舗仲介の立ち上げ支援をしていて感じるのは、
媒介営業というと、
「物件をください」
「募集させてください」
という営業をイメージしている方がかなり多いことです。

もちろん、それも必要です。
ただ、物件を分析して、募集方法を提案すること自体が営業
だと思っています。

貸主にとっては、何社から電話が来たかより、
「この物件をどう考えているか」の方が判断材料になります。

実際、支援している会社でも、現地で空き店舗を探し、貸主へ接触した後、こうした査定と募集提案を行い、店舗物件の募集窓口を任せてもらいました。

最初から店舗仲介の経験が豊富だった会社ではありません。
だから、
物件を見て、
比較物件を探して、
想定業種を考えて、
条件を作り、
私を貸主役として提案練習をする。
というところまで一緒に行っています。


「貸主までたどり着いたけど、その先が分からない」も相談できます

私がココナラで行っている仲介コンサルでは、
不動産会社の開業相談だけではなく、
実際の仲介案件についての相談も受けています。

例えば、
「空き店舗の貸主と話せたけど、次に何を提案すればいい?」
「初めて店舗の賃料査定をするけど、比較物件がほとんどない」
「査定資料を作ったけど、貸主への説明方法が分からない」
「貸主から高い賃料を希望されて困っている」
「媒介は取れたけど、どうやって募集すればいい?」
といった内容です。

住宅仲介しか経験していない方や、これから店舗・事務所仲介を増やしたい方からの相談でも問題ありません。

一般的な営業方法だけを説明するのではなく、
今目の前にある物件を見ながら、誰に貸すのか、いくらで募集するのか、貸主へどう説明するのかまで一緒に考えるという形で相談に乗ることもあります。

店舗仲介は、一度実際の案件を経験すると見えるものがかなり増えます。
最初の数件で分からないことが多いのは当然です。
それなら、
一人で答えを出そうとするより、
「この物件なら、次に何をするか」
から一緒に整理すればいいと思っています。
貸主と接点は作れたけれど、その先の媒介取得で止まっている方。
初めて店舗物件の募集を任されそうな方。
今抱えている案件をそのまま持ってきていただいて大丈夫です。

仲介コンサルでは、案件を動かしながら一緒に考える相談にも対応しています。


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