住宅仲介しか経験がなくても店舗仲介はできる?最初の案件で気をつけてほしいこと

住宅仲介しか経験がなくても店舗仲介はできる?最初の案件で気をつけてほしいこと

記事
コラム
不動産会社を開業した方や、住宅仲介を中心に仕事をしてきた方から、
「知人から店舗を探してほしいと言われました」
「住宅仲介しか経験がないのですが、店舗案件を受けても大丈夫ですか?」
という相談を受けることがあります。

私が仲介コンサルで相談に乗っている方の中にも、
これまで住宅仲介しか経験していなかった方はいます。

ですので、「住宅しかやったことがないから、店舗仲介はできない」
とは思っていません。

むしろ住宅仲介をしていると、既存のお客様や知人から、
「独立するので店舗を探したい」
「美容室を開業したい」
「知り合いが飲食店を出すので物件を探している」
と相談されることがあります。

問題は、案件を受けることではありません。
住宅仲介と同じ感覚で、そのまま契約まで進めてしまうことです。


店舗仲介は「物件が見つかった後」が難しい

住宅仲介の場合、
希望エリア、賃料、間取り、駅距離などを聞いて物件を探し、内見してもらうという流れは比較的イメージしやすいと思います。

店舗でも物件を探すところまでは、
それほど大きく変わらないように見えます。

ところが、物件が見つかったあたりから確認事項が一気に増えます。
例えば美容室をやりたいお客様が、
「この物件、雰囲気もいいし家賃も予算内なので申し込みたいです」
となったとします。

住宅なら、そのまま申込みへ進めることも多いでしょう。
店舗では、その前に確認しておきたいことがあります。

店舗案件では主に、
・設備が貸主設備なのか残置物なのか
・電気・ガス・給排水・排気などの容量
・その業種で営業できるのか
・内装工事の内容と費用
・看板をどこに出せるのか
・希望する営業時間で営業できるのか
・建物用途や用途変更の必要性

などを確認します。

これだけでも、住宅仲介とはかなり違います。


「前も店舗だったから大丈夫」が危ないこともある

店舗案件で特に注意してほしいのが、
前のテナントと同じような業種だから大丈夫だろう
という判断です。

私は過去に飲食店舗の仲介で、
「以前も飲食店だったので問題ないだろう」
と思われていた物件を確認したところ、予定していた営業に必要な電気やガスの容量が不足していた案件を経験しています。

例えば同じ飲食店でも、
カフェと焼肉店では必要な設備が違います。
美容室でも、セット面が数席なのか、多店舗展開する大型店舗なのかによって必要な設備は変わります。

「店舗として使われていた」だけでは足りません。

今回のお客様がやりたい営業に使えるのかまで確認する必要があります。


大掛かりな工事がない業種でも油断できない

では、ネイルサロン・学習塾・小さな事務所
こうした業種なら簡単なのでしょうか。

確かに飲食店などに比べれば、設備面の確認は少なくなることがあります。
それでも、
「入口に看板を出したい」
「夜10時まで営業したい」
「将来的にスタッフを増やしたい」
「お客様が頻繁に出入りする」
となれば、確認事項が出てきます。

マンションタイプの物件では、貸主が了承していても、
管理規約上その営業が認められていないケースもあります。

だから、
内装工事が少ない=簡単な案件とは限りません。


内装費は、契約前にかなり確認しておいた方がいい

これも住宅仲介ではあまり経験しない部分です。
店舗を借りる場合、物件取得費用だけではなく内装費がかかります。

例えば、
「内装業者から300万円くらいと言われています」
とお客様から聞いたとしても、それだけで安心はできません。

その金額は、
現地を見て出したものなのか。
図面だけで出した概算なのか。
電気容量や給排水まで確認しているのか。
確認する必要があります。

私が扱った案件でも、内装会社が現地調査をせず概算を伝えており、契約後に現地調査をしたところ、実際には当初想定の約1.5倍の費用が必要だと分かって解約になったケースがあります。

仲介側としては、
「内装費はお客様と内装会社の話だから」で終わらせず、

契約前に内装業者が現地確認しているか
くらいは確認しておいた方がよいと思っています。


残置物は「置いてあるから使える設備」ではありません

店舗仲介を始めたばかりの方から相談を受けていると、
このあたりも混乱しやすいところです。

例えば室内にエアコンが4台付いている。
お客様から見れば、「エアコン4台付きの物件」
に見えます。

しかし契約上は、
3台は貸主設備。
1台だけ残置物。
という場合があります。

同じように、ウォシュレット・厨房設備・換気扇・自動ドア・
看板・給湯器なども、物件ごとに扱いが違います。

残置物なら、故障しても貸主が修理してくれるとは限りません。

そのため、
何が設備で、何が残置物なのか
を契約前に整理しておく必要があります。

店舗は設備一つでも金額が大きくなるため、後から、
「当然大家さんが直してくれると思っていました」
となるとトラブルになりやすいです。


住宅仲介の経験が無駄になるわけではありません

ここまで読むと、
「やっぱり店舗仲介はやめておいた方がいいのでは?」
と思うかもしれません。

私はそうは思いません。
住宅仲介で身につけた、お客様へのヒアリング。
物件提案。
内見。
申込み。
貸主や管理会社との調整。
契約。

こうした経験は、店舗仲介でも当然使います。

ただ、住宅仲介の経験に、店舗特有の確認事項を足していく
イメージです。

最初から全部知っている必要はありません。

私自身も、案件を経験する中で、
「ここまで確認した方がいい」
「この業種ではこの部分を先に聞く」
というものが増えてきました。

だから住宅仲介経験者が店舗・事務所仲介へ広げること自体には、
かなり可能性があると思っています。


一番危ないのは「分からないことに気づかない」こと

店舗仲介で怖いのは、「分からないことがある」
ことではありません。

分からなければ、
・貸主へ確認する
・管理会社へ聞く
・内装業者へ聞く
・建築士へ確認する
・行政へ確認する

という対応ができます。

怖いのは、確認する必要があること自体を知らないことです。

例えば用途変更という言葉を知らなければ、
「この建物でこの事業をやって問題ないですか?」
という確認自体が出てきません。

設備容量という考えを知らなければ、
「前も飲食だったから大丈夫ですね」
で進んでしまうかもしれません。

だから私は、店舗仲介経験が少ない段階では、
案件を受けないことより、確認できる相手を持っておくこと
の方が大事だと思っています。


実際に案件を持ってきてもらって相談に乗ることもあります

私が行っている仲介コンサルでも、
「店舗仲介を勉強してから相談してください」
という形にはしていません。

むしろ、
「知人から美容室を探してほしいと言われました」
「初めて店舗の申込みが入りました」
「この契約条件で進めて大丈夫ですか?」
といった、実際の案件が発生してから相談を受けることもあります。

特に住宅仲介しか経験していない方の場合、
一般的な店舗仲介の説明を長時間聞くより、
今抱えている案件について、
「まず何を確認するのか」
「貸主へ何を聞くのか」
「お客様へ何を確認してもらうのか」
と一緒に進めた方が理解しやすいと思っています。

私のコンサルは、
店舗仲介を何十件も経験している人だけを対象にしているわけではありません。

住宅仲介しか経験がない方からの相談も対応しています。
初めての店舗案件ほど、一人で全部判断しない
住宅仲介をしていると、そのお客様から事業用物件の相談が来ることがあります。

せっかく自分を頼って相談してくれたのに、
「店舗は経験がないのでできません」
と毎回断ってしまうのも、もったいないと思います。

ただし、分からないまま契約まで進めるのも違います。

初めてであれば、
「この案件なら何を確認すればいいのか」
を経験者と一緒に整理しながら進めればいい。

そして1件経験すると、

次の案件では、
「設備を確認しよう」
「看板位置も先に聞こう」
「内装業者を契約前に入れてもらおう」
と見えるものが増えてきます。

その積み重ねで、対応できる案件の幅が広がっていきます。

住宅仲介だけを経験してきた方で、
「店舗・事務所仲介にも広げたい」
「実際に店舗の相談が来たけれど、どう進めればいいか分からない」
という方は、現在の案件をそのまま持ってきてもらって大丈夫です。

一般論を教えるだけではなく、
その案件で次に何を確認するかから一緒に整理します。
店舗仲介への最初の一歩で迷っている方も、仲介コンサルの相談対象です。



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