賃貸物件は何件見れば決めていい?5件、10件見ても決まらない人の共通点

賃貸物件は何件見れば決めていい?5件、10件見ても決まらない人の共通点

記事
コラム
賃貸物件を探していると、
「1件目で決めるのは早すぎる気がする」
「最低でも3件、5件くらいは見た方がいいのでは?」
「もう10件近く見ているのに、逆に何がいいのか分からなくなってきた」
という状態になることがあります。

実際に賃貸仲介をしていると、

1件目でスムーズに決まる方もいれば、
10件以上見てもなかなか決められない方もいます。

では、賃貸物件は何件くらい見れば決めてよいのでしょうか。

結論からいうと、
「何件見れば正解」という決まりはありません。

大切なのは、内見した件数ではなく、
自分の中で判断基準が整理されているかどうかです。

今回は、5件、10件と内見してもなかなか決められない方に共通するポイントと、どうすれば判断しやすくなるのかを、不動産仲介の現場目線でお話しします。


1件目で決めても、まったく問題ないケースはある

まず、
「1件目で決めるのは危険ですか?」
と聞かれることがあります。

私は、必ずしもそうは思いません。

例えば、
・希望エリアの家賃相場をある程度理解している
・絶対に譲れない条件が決まっている
・予算の上限も明確
・周辺の似た物件もある程度確認している
・室内や契約条件にも大きな問題がない

この状態で1件目の物件が希望条件にかなり合っているなら、
そのまま申し込んでも不自然ではありません。

反対に、
「最低5件見てから決める」
と決めてしまうと、1件目にかなり条件のよい物件があっても、
「まだ4件見ていないから」
という理由で見送ってしまうことがあります。

そして、5件目を見る頃には1件目に申込みが入っている。

これは実際によくあります。
内見件数を増やすこと自体が、良い物件選びにつながるわけではありません。


5件、10件見ても決まらない人の共通点① 全部の条件を満たそうとする

まず多いのが、希望条件が多すぎるケースです。

例えば、
・駅徒歩5分以内
・築浅
・40㎡以上
・家賃15万円以内
・南向き
・2階以上
・オートロック
・独立洗面台
・宅配ボックス
・収納が広い
・スーパーが近い
・静かな環境

こうした希望を持つこと自体はまったく問題ありません。

ただし、問題になるのは、
すべてを絶対条件にしてしまうことです。

駅から近くて、築浅で、広くて、設備が良くて、家賃も安い。
当然ですが、こうした物件は人気があります。
そして、条件が良い分だけ賃料も上がります。

そのため、物件探しを始める前に、
・絶対に譲れない条件
・できれば欲しい条件
・なくても困らない条件


この3つに分けておくことをおすすめします。

例えば、
「駅徒歩7分以内は絶対」
「独立洗面台はできれば欲しい」
「南向きはなくてもいい」
という形です。

これだけでも、物件の見方はかなり変わります。


共通点② 前に見た物件の「良いところ」だけを集めてしまう

これは、何件も内見している方に非常によく起こります。
例えば、

1件目
→ 駅から近かった

2件目
→ 部屋が広かった

3件目
→ 築浅できれいだった

4件目
→ 家賃が安かった

という物件を見たとします。

すると、5件目を見る頃には無意識に、

「1件目くらい駅に近くて、2件目くらい広くて、
3件目くらいきれいで、4件目くらい安い物件」を探し始めます。

しかし、それは実際には存在しない条件かもしれません。

複数の物件の長所だけを組み合わせて、
頭の中に“理想の架空物件”を作ってしまう
ということです。

物件数を見れば見るほど、比較材料は増えます。

一方で、理想もどんどん高くなりやすい。
だからこそ、内見した物件は、
「良かったところ」だけでなく、
「なぜこの家賃なのか」
まで見ることが大切です。

駅から近いから高い。
築年数が古いから安い。
広いけれど駅から遠い。
設備は良いけれど面積が小さい。

物件にはそれぞれ理由があります。


共通点③ 希望条件と家賃相場が合っていない

5件、10件見ても決まらない方の中には、
そもそも希望条件と予算が合っていないケースもあります。

例えば、
「この駅で、徒歩5分以内、築10年以内、40㎡以上、家賃15万円以内」
という希望があったとします。

しかし実際の相場が、
「その条件なら17万~19万円くらい」
だとしたら、15万円以内で探し続けてもなかなか出てきません。

この場合、「良い物件がない」のではなく、
希望条件と予算が現在の市場に合っていない可能性があります。

ここで必要なのは、さらに20件探すことではありません。

例えば、
・家賃を1万円上げる
・駅徒歩を10分まで広げる
・築年数を20年まで広げる
・面積を35㎡まで下げる
・隣駅も候補にする

など、条件を一つ動かすことです。

どの条件を変えれば、どのくらい選択肢が増えるのか。
これを理解すると、物件探しはかなり楽になります。


共通点④ 「もっと良い物件が出るかもしれない」と考え続ける

これも非常に多いです。
例えば、かなり条件に合っている物件が見つかって、
「80点くらいかな」と思ったとします。

ただ、「明日90点の物件が出るかもしれない」
と考えて見送る。

数日後、その80点の物件には別の方から申込みが入ります。

その後に出てきた物件は70点。
それでも、「またもっと良いものが出るかも」と待つ。

こうなると、なかなか決まりません。
もちろん、無理に妥協する必要はありません。

ただし、100点の物件を待ち続けることにもリスクがあります。
賃貸物件は、条件のよいものほど長期間募集されないことがあります。

だから私は、「100点の物件を探す」よりも、
「自分は何点以上なら申し込むのか」
を決めておいた方がよいと思っています。

例えば、
「絶対条件を全部満たしていて、妥協できる部分が1つだけなら申し込む」
という基準でも構いません。


共通点⑤ 不動産会社を変えれば、もっと良い物件が出てくると思っている

A社で5件紹介してもらった。
でも決まらない。
そこでB社へ行く。
B社でも同じような物件。

今度はC社へ行く。
こうした探し方をする方もいます。

もちろん、不動産会社によって提案力に差はあります。

担当者によって、
・条件整理が上手い
・未公開予定の情報を持っている
・貸主側との交渉が上手い
・提案の幅が広い

といった違いもあります。

ただし、一般的な賃貸物件の場合、
多くの物件を複数の仲介会社が紹介できます。

そのため、
会社を変えれば、急に相場より2万円安い優良物件が大量に出てくる
というものではありません。

大切なのは、
「どの会社なら魔法の物件を持っているか」ではなく、
自分の条件をきちんと理解し、現実的な選択肢を提案してくれる担当者かどうかです。

共通点⑥ 内見すること自体が目的になってしまっている

何件も物件を見ているうちに、
「とりあえず見てから考えよう」
という状態になることがあります。

例えば、
「家賃が予算より2万円高いけど、一応見てみよう」
「駅徒歩15分は無理だけど、一応見てみよう」
「1階は嫌だけど、一応見てみよう」

こうした内見が増えてくると、当然件数は増えます。

しかし、最初から申し込む可能性がほとんどない物件を見ても、
判断材料としてはあまり役に立ちません。

内見前に、
「この条件なら、実際に気に入れば申し込む可能性があるか」
を考えることが大切です。

答えが「絶対に申し込まない」であれば、無理に見なくてもよいと思います。


では、結局何件見ればいいのか?

私は、
「最低3件は見てください」
「5件見てから決めてください」
という考え方はしていません。

1件目でも、
・相場を理解している
・希望条件に合っている
・周辺環境に問題がない
・初期費用を確認している
・契約条件にも大きな問題がない

のであれば、決めても問題ありません。

逆に、5件以上見ても決まらないのであれば、さらに5件見る前に、
一度条件を整理した方がよいと思います。

物件が足りないのではなく、
「自分が何を基準に決めるのか」
が分からなくなっている可能性があります。

内見前に、この5つだけは決めておく

物件探しを始める前に、少なくとも次の5つを整理してみてください。

1.家賃の絶対上限

「理想は10万円だけど、11万円までなら払える」
というように、上限を明確にします。

2.絶対に譲れない条件を3つ

例えば、
・駅徒歩7分以内
・40㎡以上
・2階以上など。

多すぎると決まりにくいので、3つ程度に絞ると判断しやすくなります。

3.妥協できる条件

例えば、
「築年数は古くても室内がきれいならOK」
「南向きでなくても明るければOK」
といった部分です。

4.希望エリアの相場
自分の予算で、実際にどの程度の物件が借りられるのかを確認します。
希望と相場に差があれば、どこを調整するか考えます。

5.申し込む基準
これが意外と大切です。
例えば、「絶対条件を全部満たし、家賃も予算内なら、80点でも申し込む」
と決めておく。

良い物件に出会ったとき、迷いにくくなります。


5件以上見ているなら、一度「物件探し」を止めてみる

もし今、
「もう8件見ているけど決まらない」
という状態なら、さらに物件を探す前に一度止まってみてもよいと思います。

これまで見た物件を書き出して、
・一番良かった物件
・なぜ良かったのか
・なぜ申し込まなかったのか
・どの条件が原因だったのか
を整理します。

すると、
「実は駅徒歩より広さを優先している」
「築浅にこだわっていたけど、それほど重要ではない」
「予算を1万円上げればかなり選択肢が増える」
といったことが見えてくる場合があります。

物件探しが長引いたときに必要なのは、
さらに情報を増やすことではなく、いったん情報を整理すること
かもしれません。

不動産会社から急かされたときも、判断基準があれば迷いにくい

条件のよい物件では、
「ほかにも検討している方がいます」
「今日中に申し込まないと決まるかもしれません」
と言われることがあります。

以前の記事でも書きましたが、これはすべて営業トークとは限りません。

本当に申込みが重なることもあります。
そのときに、
「どうしよう、もっと良い物件があるかもしれない」
とゼロから考え始めると、判断できません。

しかし、
・家賃上限内
・絶対条件3つを満たしている
・相場から見ても高くない
・契約条件にも問題がない
と自分の判断基準が決まっていれば、

「この条件なら申し込もう」と判断できます。

良い物件を早く決められる人は、
物件を見るスピードが速いというより、
判断する準備ができている人なのだと思います。


まとめ 内見件数より「自分の基準」を持つことが大切

賃貸物件は、
「3件見れば十分」
「10件見ないとダメ」
というものではありません。

1件目で決めても問題ない方もいます。
反対に、10件見ても決まらない方もいます。

違いは、
自分の中で優先順位と判断基準が整理されているかどうかです。

何件見ても決まらないときは、
「もっと良い物件を探さなければ」
と考える前に、
・何が絶対条件なのか
・どこまで妥協できるのか
・自分の予算は相場に合っているのか
・何点なら申し込むのか
を整理してみてください。

物件探しは、
たくさん見ることより、比較できる状態を作ること
の方が大切です。

「この物件で決めていい?」という相談も受けています


私は、不動産会社の営業マンとして物件を契約してもらう立場ではなく、
第三者の不動産コンサルタントとして賃貸物件選びの相談を受けています。

例えば、
・10件近く見たけれど、どれが良いのか分からなくなった
・A物件とB物件で迷っている
・この家賃が周辺相場と比べて高いのか知りたい
・不動産会社から申込みを急かされている
・初期費用の内容も含めて比較したい
・契約条件に気になる部分がある

といった相談です。

私はどの物件を選んでも仲介手数料をいただく立場ではないため、
「この物件を決めてもらわなければならない」という事情がありません。

そのため、
「この条件ならA物件の方が合っていると思います」
「この部分を重視するならB物件の方がよいです」
「今の条件では無理にどちらかを選ばず、もう少し探してもよいと思います」
と、第三者の立場から整理できます。

たくさん物件を見て迷ってしまったときは、
さらに物件を見る前に、
一度、自分が何を優先しているのかを整理する。

それだけでも、次の物件選びはかなり変わってくると思います。


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