不動産会社から「今決めないとなくなります」と言われたら?本当に急ぐべきケースとは

不動産会社から「今決めないとなくなります」と言われたら?本当に急ぐべきケースとは

記事
コラム
不動産会社から物件を紹介されたとき、

「この物件、ほかにも検討している方がいます」
「今日決めないと取られるかもしれません」
「すでに問い合わせが何件か入っています」

と言われた経験はないでしょうか。

こう言われると、
「契約を急がせるための営業トークでは?」
と思う方もいるでしょう。

実際、不動産会社の営業担当者には成約したいという立場があります。

そのため、言われたことをそのまま信じて、
よく確認しないまま契約するのはおすすめしません。

一方で、不動産業界で仲介を長く経験していると、
「これは本当に今日動かないと取られるかもしれない」
という物件があるのも事実です。

今回は、不動産会社から「今決めないとなくなります」と言われたときに、
本当に急いだ方がよいケースと、
一度立ち止まった方がよいケースについて、
第三者の不動産コンサルタントという立場からお話しします。


「今決めないとなくなる」は、必ずしも営業トークではありません

最初にお伝えしたいのは、
「急いだ方がいいと言われた=すべて営業トーク」ではない
ということです。

賃貸でも売買でも、本当に条件のよい物件には複数の人が集まります。

例えば、
* 駅から近い
* 相場より条件がよい
* 築浅できれい
* 人気のマンション
* 希少な間取り
* 周辺でほとんど募集がない
* 店舗や事務所で立地条件がよい
といった物件です。

こうした物件は、募集開始から数日どころか、
場合によってはその日のうちに申込みが入ることがあります。

私自身、仲介の現場で、
「昨日紹介した物件が、今日確認したらもう申込みになっていた」
という経験は何度もしています。

特に空室や売物件が少ない時期は、
「一度家に帰って週末に家族と相談してから決めよう」
と思っている間に、別の方から申込みが入ることもあります。

そのため、営業担当者が市場状況を踏まえて「早めに判断した方がいい」と
伝えること自体は、おかしなことではありません。


問題なのは「急ぐこと」ではなく「確認せずに決めること」

では、急いで決めるのは危険なのでしょうか。

私はそうは思いません。
重要なのは、
判断するスピードと、確認を省略することを混同しないことです。

不動産は金額が大きいので、
「不動産は焦って決めてはいけない」
と言われることがあります。

これは基本的にはその通りです。

ただし、
「焦らないこと」と「判断を遅くすること」は同じではありません。

必要なことを確認したうえで、その日のうちに申し込むのであれば、
それは必ずしも危険な判断ではありません。

逆に、1週間考えたからといって、確認するべきことを
確認していなければ、良い判断とはいえません。

大切なのは時間の長さではなく、
何を確認してから判断したのかです。


本当に急いだ方がよいケース① 同じような物件がほとんどない

まず分かりやすいのが、代替物件がほとんどないケースです。
例えば、
「この駅から徒歩5分以内」
「この学区」
「このマンション」
「1階の店舗」
「このエリアで50坪前後の事務所」
など、条件を絞れば絞るほど、該当する物件は少なくなります。

この場合、今回の物件を逃すと、次に同じ条件の物件が出てくるのが
数か月後になる可能性もあります。

反対に、
「この駅周辺で1LDKならどこでもよい」
という条件で、似た物件が10件以上あるのであれば、
そこまで急ぐ必要はありません。

不動産会社から急ぐように言われたら、
「この物件と同じ条件のものは、ほかに何件ありますか?」
と聞いてみるのも一つの方法です。

代替物件があるのかどうかで、判断の緊急度はかなり変わります。


本当に急いだ方がよいケース② 条件が相場より明らかによい

不動産には相場があります。

周辺で同じような物件が月15万円で募集されている中、
同程度の物件が月12万円で募集されていれば、
当然問い合わせは集まりやすくなります。

売買でも同じです。
周辺相場より価格が安い。
駅から近いのに利回りが高い。
同じマンションの過去の売買価格と比べても割安。

こうした物件は、購入希望者が複数現れる可能性があります。
ただし注意したいのは、
安いのには理由があるかもしれないという点です。

例えば、
* 定期借家契約
* 告知事項がある
* 再建築できない
* 借地権
* 管理状態に問題がある
* 修繕積立金が不足している
* 退去予定がある
* 近隣環境に問題がある

などです。

「安いから急ぐ」のではなく、
なぜ安いのかを確認して、それでも条件がよければ早く動く
という順番が重要です。


本当に急いだ方がよいケース③ 実際に申込みが入っている

不動産会社から、
「すでに申込みが入っています」
と言われることがあります。

この場合は、もう少し具体的に確認してみましょう。

例えば、
「申込みは正式に入っているのでしょうか?」
「私は2番手になりますか?」
「まだ内見段階の方がいるという意味でしょうか?」
などです。

「ほかにも検討者がいる」と、
「申込書が提出されている」
では、状況が大きく違います。

特に賃貸の場合、1番手の申込みが入っていても、
審査に通らなかったり、条件が折り合わずキャンセルになったりすることが
あります。

そのため、2番手でも申し込む意味がある場合があります。

逆に、「問い合わせが何件か来ています」
というだけなら、まだ申込みが入っていない可能性もあります。

営業担当者の言葉を疑う必要はありませんが、
現在どの段階なのかを具体的に確認することは大切です。


反対に、一度立ち止まった方がよいケース

ここまでは急いだ方がよいケースを説明しました。
しかし当然、急がない方がよい場面もあります。

特に注意したいのは、
重要な情報を確認できていないのに「今日決めてください」と言われた場合です。

例えば売買であれば、
* 住宅ローンの返済額を確認していない
* 管理費・修繕積立金を確認していない
* 長期修繕計画を見ていない
* 周辺相場を確認していない
* 購入後の収支を計算していない

という状態。

店舗や事務所であれば、
* 希望する業種で営業できるか確認していない
* 内装工事に制限がある
* 電気・ガス・水道容量を確認していない
* 原状回復条件を確認していない
* 契約期間や解約条件を確認していない
といった状態です。

この場合は、どれだけ人気物件でも一度確認するべきです。

物件を逃すことより、
契約してから「こんな条件だとは知らなかった」となる方が損失は
大きくなります。


「今日申し込む」と「今日契約する」は違います

ここも、不動産初心者の方には知っておいていただきたいポイントです。

不動産会社から、「今日決めた方がいいです」
と言われても、実際には「今日申込みを入れた方がよい」
という意味の場合があります。

申込みと契約は別です。

特に賃貸では、
物件を見る

申込み

入居審査

契約条件の確認

重要事項説明

契約

という流れになることが一般的です。

そのため、人気物件を確保するために早めに申込みを入れ、
その後、契約条件を確認するという進め方もあります。

ただし、申込みのキャンセルについては、
契約段階や申込み時の条件によって扱いが異なるため、

「とりあえず何でも申し込めばいい」
という意味ではありません。

特に売買では、申込み後に売買契約へ進み、手付金を支払った後になると、
簡単にキャンセルできなくなります。

今、自分が何を決めようとしているのか
は必ず確認しましょう。


「ほかの人も検討しています」と言われたときの確認方法

私なら、次のような点を確認します。

* すでに申込みは入っているのか
* 自分は何番手になるのか
* ほかの人は内見だけなのか
* 貸主・売主は何を基準に決めるのか
* 申込み後、いつまでに判断する必要があるのか
* 契約前に確認できる資料はそろっているか

これだけでも、本当に競争になっているのか。
単に問い合わせが多いだけなのか。
かなり状況が見えてきます。

そしてもう一つ大切なのが、
「この物件を逃した場合、次にどんな選択肢があるのか」
を確認することです。

次の候補がたくさんあるのであれば、無理に急ぐ必要はありません。

しかし、条件に合う物件が半年に一度しか出ないのであれば、
多少早く判断する必要があります。


実際の仲介では「良い物件ほど考える時間が短い」こともある

これは不動産業界に長くいると、本当に感じます。

条件の悪い物件ほど、何週間も募集されています。

そのため、
「家族と相談して」
「もう一度見に行って」
「ほかの物件と比較して」
という時間があります。

一方、条件のよい物件ほど、多くの人が同じように「良い」と感じます。

結果的に、判断できる時間は短くなります。
これは不動産会社が作り出している状況ではなく、
市場の競争によって起きることです。

そのため私は、急いで決めないことより、いつでも早く判断できるように準備しておくことの方が大切だと思っています。


良い物件に出会う前に「判断基準」を決めておく

物件を見てから、「どうしよう」
と考え始めると、どうしても時間がかかります。

そのため、あらかじめ自分の中で判断基準を決めておくことを
おすすめします。

例えば住居なら、

* 家賃上限
* 必須の駅
* 駅徒歩
* 広さ
* 築年数
* 絶対に必要な設備

投資物件なら、

* 予算
* 利回り
* 毎月の収支
* エリア
* 築年数
* 自己資金
* 出口戦略

店舗・事務所なら、

* 賃料
* 面積
* エリア
* 入居時期
* 必要設備
* 契約期間
* 原状回復費用

などです。

そして、絶対に譲れない条件と、調整できる条件を分けておく。
これだけでも、良い物件が出たときの判断速度は大きく変わります。


営業担当者を疑うことより、自分で判断できる状態をつくる

「今決めないとなくなります」
と言われたとき、
「営業マンに騙されているのでは?」

と考えてしまう方もいると思います。

もちろん、必要以上に契約を急がせる営業担当者には注意が必要です。

ただ、不動産会社の営業担当者をすべて疑ってしまうと、
本当に良い物件を逃すこともあります。

大切なのは、
営業担当者を信じるか、信じないかという二択にしないことです。

営業担当者から情報をもらい、その内容を確認し、自分で判断する。

分からない部分があれば、第三者に確認する。
この方が現実的です。


まとめ 急ぐべきかは「物件」ではなく「準備状況」で決まる

「今決めないとなくなります」

という言葉は、単なる営業トークとして使われることもあるでしょう。

一方で、本当に条件のよい物件では、
判断を遅らせたことで別の人に決まってしまうこともあります。

ですから、「急がされたから断る」
でも、「なくなると言われたから契約する」でもありません。

確認するべきことを確認できているか。
同じような物件がほかにあるか。
本当に申込みが入っているのか。
自分の予算や条件に合っているのか。

そして、その物件を逃したときに次の選択肢があるのか。

こうしたことを整理したうえで判断するのが大切です。

不動産では、時間をかければ必ず良い判断になるわけではありません。

反対に、早く決めたから失敗するとも限りません。

短い時間でも必要な確認をして、
自分自身が納得して判断できる状態をつくること。

それが一番重要だと考えています。


「本当に今決めるべき?」という相談も受けています

私は不動産会社の営業マンとして物件を販売、賃貸する立場ではなく、
第三者の不動産コンサルタントとして、
不動産に関するセカンドオピニオンのご相談を受けています。

例えば、

* 「今日中に申し込んだ方がいいと言われた」
* 「投資物件を勧められているが、本当に買ってよいか分からない」
* 「ほかにも申込みがあると言われて焦っている」
* 「店舗を借りたいが、契約条件まで見て判断してほしい」
* 「不動産会社から説明されたメリット・デメリットを第三者に確認したい」

といった内容です。

不動産会社の説明が正しいか間違っているかを一方的に判断するのではなく、物件のメリットとリスク、現在の市場状況、契約条件などを整理したうえで、
「自分の場合はどう判断すればよいのか」
を一緒に考えています。

大きな金額が動く不動産だからこそ、契約前に少しでも迷う部分があれば、
第三者の意見を聞いてから判断する方法もあります。


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