今注目されている屋内型トランクルーム投資とは?仕組み・収益性・リスクを現場目線で解説

今注目されている屋内型トランクルーム投資とは?仕組み・収益性・リスクを現場目線で解説

記事
コラム
不動産投資と聞くと、アパートやマンション、戸建て賃貸を思い浮かべる方が多いと思います。

一方で、物件価格の上昇や利回りの低下によって、

「希望する条件の収益物件が見つからない」
「住居以外の不動産投資も検討してみたい」
「もう少し小さな規模から始められる投資はないか」
と考える方も増えています。

そうした中で、投資先の一つとして注目されているのが、
屋内型トランクルームです。

店舗や事務所などの室内を複数の収納スペースに分け、
利用者へ月額で貸し出す仕組みです。

一見すると、住居のような設備が少なく、複数の契約から収入を得られるため、安定した投資に見えるかもしれません。

ただし、屋内型トランクルームは、
物件を購入すれば自然に賃料が入ってくる投資ではありません。

区画の大きさ、料金設定、集客、稼働率、初期工事費などによって、
収益は大きく変わります。

今回は、屋内型トランクルーム投資の仕組みやメリットだけでなく、
投資前に確認したいリスクについても、現場目線で解説します。


屋内型トランクルーム投資とは

屋内型トランクルームとは、建物の中を複数の収納区画に分け、
個人や法人へ貸し出すサービスです。

利用者は、主に次のような物を保管します。

* 季節ごとの衣類や家電
* スポーツ用品やアウトドア用品
* 趣味の道具やコレクション
* 引っ越しやリフォーム中の荷物
* 法人や個人事業主の書類
* 商品や備品などの在庫

例えば、100平方メートルほどのテナントを20区画に分け、
それぞれ月額数千円から数万円で貸し出します。

アパート投資では、一つの部屋に一世帯が入居します。

これに対してトランクルームでは、一つの空間を小さく分け、
複数の契約から利用料を得る点が大きな特徴です。


投資方法は一つではありません

屋内型トランクルーム投資には、いくつかの始め方があります。

物件を購入して運営する

店舗、倉庫、事務所などを購入し、トランクルームへ改装する方法です。
物件そのものが資産として残る点はメリットですが、
物件取得費が必要になります。

また、建物の形状や柱の位置、入口の場所によっては、
効率的な区画配置ができないこともあります。

テナントを借りて運営する

空いている店舗や事務所を借り、内装工事を行って運営する方法です。

物件を購入するより初期費用を抑えやすい一方で、
毎月の賃料が固定費として発生します。

利用者が少ない開業当初も賃料を支払う必要があるため、
稼働率が上がるまでの資金計画が重要です。


フランチャイズへ加盟する

既存のブランドや運営システムを利用する方法です。

集客や契約管理について一定の支援を受けられるため、
未経験者には始めやすい面があります。

一方で、加盟金やロイヤリティ、指定設備の導入費用が必要になる場合が
あります。

フランチャイズだから必ず成功するわけではなく、
契約条件や収支計画の確認は必要です。


運営会社へ委託する

募集、契約、集金、利用者対応などを外部の運営会社へ任せる方法です。
投資家自身の負担は減りますが、管理委託料が発生します。

どこまで対応してくれるのか、空室時の集客は誰が行うのか、
広告費は誰が負担するのかまで確認しておく必要があります。

屋内型トランクルーム投資のメリット

▪空室による影響を分散しやすい

店舗を一社へ貸している場合、その会社が退去すると収入はゼロになります。
一方、トランクルームでは、一つのテナントを複数の区画に分けて貸します。

一人が解約しても、ほかの区画が稼働していれば、
収入がすべてなくなるわけではありません。

ただし、空室リスクそのものがなくなるわけではありません。

一つの大きな空室を、複数の小さな空室に分散していると
考えた方がよいでしょう。


▪住居に比べて設備負担を抑えやすい

アパートや戸建てでは、キッチン、浴室、給湯器、
トイレなどの修理が発生します。

トランクルームでは、こうした住宅設備を設置しないため、
修繕負担を抑えられる可能性があります。

ただし、防犯カメラ、電子錠、空調、除湿設備、照明など、
トランクルーム特有の設備は必要です。

住宅設備がないから、設備費がまったくかからないわけではありません。


▪小さな利用料を積み上げられる


一つひとつの区画の利用料は大きくありませんが、
複数の契約によって売上を積み上げます。

区画の分け方によっては、テナントを一社へそのまま貸すよりも、
満室時の売上が高くなる可能性があります。

その一方で、間仕切り工事や防犯設備、広告費、管理費も発生します。

売上だけでなく、運営費を差し引いた後にいくら残るのかを見る必要が
あります。


▪入退去時の負担が比較的少ない

住居のように、退去のたびに大規模なクリーニングや壁紙の張り替えが
必要になるケースは多くありません。

ただし、利用料の滞納、残置物、禁止物の保管、
区画の不正利用など、トランクルーム特有の問題はあります。

管理が簡単というより、住居とは異なる管理が必要になると考えるべきです。


▪満室時の利回りだけで判断しない

屋内型トランクルームの事業計画を見ると、
満室時の売上や想定利回りが大きく記載されていることがあります。

もちろん、満室になったときの収益を確認することは大切です。

しかし、投資判断でより重要なのは、満室になるまでの期間です。

例えば、満室時の売上が月50万円だったとしても、
開業当初の稼働率が50%であれば、売上は月25万円です。

そこから、次のような費用を支払います。
* テナント賃料または借入返済
* 管理費
* 電気代
* 通信費
* 広告費
* 保険料
* 管理システムの利用料
* フランチャイズのロイヤリティ
* 修繕費

売上が月25万円あっても、
固定費が月20万円かかれば、ほとんど利益は残りません。

投資前には、少なくとも次の稼働率で収支を比較しておきたいところです。

* 稼働率50%
* 稼働率70%
* 稼働率90%

何%の稼働率から黒字になるのか。
稼働率が低い期間を何か月まで耐えられるのか。
満室にならなくても事業を継続できるのか。

このあたりを確認せず、満室時の表面利回りだけで判断するのは危険です。


▪区画数を増やせばよいとは限りません

トランクルームの収支を考えるとき、
区画数をできるだけ増やした方が効率的に見えます。

特に小型区画は、床面積当たりの利用料を高く設定しやすいため、
図面上では収益性が高く見えることがあります。

しかし、小型区画を増やしすぎても、
その地域に需要がなければ埋まりません。

反対に、大型区画は一件当たりの利用料を高くできますが、
一室空いたときの売上への影響が大きくなります。

そのため、実際には、
* 小型区画
* 中型区画
* 大型区画
をどのような割合で配置するかが重要です。

満室時の売上を最大化する配置と、
安定した稼働率を維持しやすい配置は、必ずしも同じではありません。


実際に配置を検討したケース

私が屋内型トランクルームの配置計画を検討した際も、
当初は区画数を増やし、満室時の売上を高くする案が候補になりました。

数字だけを見ると、その案が最も効率的です。

しかし、実際に検討を進めると、いくつかの問題が見えてきました。

* 大型区画が空いたときの影響が大きい
* 同じサイズの区画が多く、需要が偏る可能性がある
* 通路を狭くすると荷物を運びにくい
* 区画数を増やすほど工事費も高くなる
* 周辺競合と同じサイズばかりでは差別化しにくい

そこで、単純に区画数を増やすのではなく、
小型・中型・大型を組み合わせた案も比較しました。

満室時の売上だけを見れば、効率を優先した案の方が高くなります。

一方、長期間空室が続いた場合のリスクまで考えると、
区画サイズを分散した案にもメリットがあります。

このように、図面上の収益効率と、
実際に安定して稼働する配置は異なる場合があります。


投資前に確認したい7つの判断基準

1.周辺に収納需要があるか

人口が多いだけでは、トランクルームが埋まるとは限りません。
次のような点も確認します。
* 集合住宅が多いか
* 住宅の収納スペースが少ないか
* ファミリー世帯が多いか
* 転勤や引っ越しが多い地域か
* 法人や個人事業主が利用しそうか
* 近隣に住宅開発の予定があるか

地域によって、必要とされる区画サイズや料金帯は変わります。

2.競合施設はどの区画を募集しているか

競合があること自体は、必ずしも悪いことではありません。
すでに収納需要がある地域とも考えられます。

重要なのは、競合施設でどのサイズが空いているかです。
大型区画ばかり募集しているなら、大型区画の需要が弱い可能性があります。

反対に、小型区画の募集が少なければ、
小型区画が埋まりやすい地域かもしれません。

施設の数だけでなく、募集状況や料金、
キャンペーンも確認する必要があります。

3.荷物を搬入しやすいか

トランクルームは、利用者が荷物を運ぶ施設です。
そのため、次のような条件が使いやすさに影響します。
* 駐車場があるか
* 車から入口までの距離
* 段差の有無
* 通路幅
* エレベーターの有無
* 台車が使えるか
* 利用できる時間帯

賃料が安くても、荷物を運びにくい施設は敬遠される可能性があります。


4.損益分岐となる稼働率は何%か

何%の区画が埋まれば、毎月の固定費を支払えるのかを確認します。
稼働率90%でようやく黒字になる計画では、事業として余裕がありません。

稼働率60%や70%でも資金繰りが回るかどうかが、
一つの判断基準になります。

5.初期投資を何年で回収できるか

初期投資には、間仕切り工事だけでなく、次のような費用も含まれます。
* 防犯カメラ
* 入退室設備
* 看板
* 照明
* 空調や除湿設備
* 広告費
* 保証金
* システム導入費
* フランチャイズ加盟金

これらを含め、何年で投資額を回収できるかを計算します。

回収期間が長くなるほど、賃料改定、建物の老朽化、
競合の出店などの影響を受けやすくなります。

6.集客を誰が行うのか

屋内型トランクルームは、作れば自然に利用者が集まる事業ではありません。

主な集客方法としては、
* トランクルームのポータルサイト
* 自社ホームページ
* Googleマップ
* 現地看板
* チラシ
* Web広告
* オープン時のキャンペーン

などがあります。

運営会社へ委託する場合も、どの集客を、
誰の費用で行うのかまで確認が必要です。

「集客支援あり」と書かれていても、
広告費は別途負担というケースもあります。

7.撤退するときにいくらかかるか

特にテナントを借りて運営する場合、撤退費用は重要です。
間仕切りや設備を撤去し、借りた当初の状態へ戻す必要があるのか。
解約予告は何か月前か。
設備を残したまま退去できるのか。

内装工事費だけでなく、
撤去費や原状回復費も事前に見込んでおく必要があります。

投資は始め方だけでなく、終わり方まで考えておくことが大切です。


屋内型トランクルーム投資に向いている人

屋内型トランクルーム投資は、次のような方には検討しやすいと思います。

* 数年かけて稼働率を上げる考えがある
* 満室までの赤字に耐えられる資金がある
* 周辺の競合調査を丁寧に行える
* 表面利回りだけでなく、キャッシュフローを確認できる
* 集客や料金設定にも関心を持てる
* 複数の収支パターンを比較できる

一方、次のような場合は慎重に判断した方がよいでしょう。

* 開業直後から高稼働になる前提で考えている
* 運営会社の想定利回りだけで判断している
* 借入返済に余裕がない
* 完全な不労所得だと考えている
* 撤退費用を計算していない
* 競合施設を現地で確認していない

屋内型トランクルームは、不動産投資の要素を持ちながら、
店舗運営や事業投資に近い面もあります。

物件を確保して終わりではなく、区画という商品を作り、
価格を設定し、利用者を集め、稼働率を管理する必要があります。


まとめ 不動産投資ではなく事業投資として考える

屋内型トランクルーム投資には、一つの空室によって収入が
すべてなくなるリスクを分散しやすいというメリットがあります。

住居に比べて住宅設備の負担が少なく、アパートや区分マンションとは
異なる投資先として、検討する価値はあると思います。

一方で、市場が注目されているからといって、
どの物件でも安定した収益が得られるわけではありません。

区画構成、料金設定、周辺需要、競合状況、集客方法によって、
稼働率は大きく変わります。

特に注意したいのは、満室時の利回りだけで判断しないことです。

稼働率が低い期間の資金繰り、初期投資の回収期間、運営費、
撤退費用まで含めて判断する必要があります。

屋内型トランクルーム投資は、物件を持つだけの投資ではなく、
運営を伴う事業投資として考えた方が実態に近いでしょう。


こんな方からご相談を受けています

私は、特定の運営会社やフランチャイズへの加入を勧める立場ではなく、
第三者の不動産コンサルタントとして、
物件選びや事業計画に関する相談を受けています。

例えば、次のような内容です。

* 運営会社から提示された収支計画が妥当か確認したい
* 検討中の物件でトランクルームが成立するか知りたい
* 区画数を増やす案と、空室リスクを抑える案を比較したい
* 周辺競合の料金や区画サイズを調査したい
* フランチャイズへ加盟する前に第三者の意見を聞きたい
* 想定稼働率や投資回収期間を整理したい

屋内型トランクルーム投資は、物件の広さや賃料、
区画の配置が少し変わるだけでも、収支が大きく変わります。

営業資料の数字だけでは判断しにくい場合や、
投資前にリスクを整理しておきたい場合には、
第三者の意見を取り入れる方法もあります。

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