相手の立場に立って考える( = SPT)7つの動機

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コラム
前回に引き続き、相手の立場に立って考えるソーシャル・パースペクティブ・テイキング(Social Perspective Taking = SPT)についてです。
今回は「どんなときに相手の立場で考えるのか?」という動機の部分を調べてくれた2012年のハーバード大学の研究(1)があったのでメモ。
▼こんなことを知りたい人向け
・どんなときに相手の立場に立って考えるのか知りたい
・SPTの動機ってどんなものがあるの
・相手にSPTしてもらうためのきっかけを学びたい

▼この研究が起こった理由
そもそも「なんでこの研究がなされたか」というと
効果的な介入を開発する前に、SPTプロセスをより完全に理解しなければならない。例えば、人々がより頻繁にSPTに参加するのを助けるための介入は、人々がいつ、どのようにしてSPTに参加するのか(または参加しないのか)を理解しない限り、開発することはできません。
要するに
SPTのためのアプローチ方法や知識があったとしても、相手の立場に立って考えようという【意欲や動機】がないと、そもそもダメだよねってことです。
自分が相手の立場に立って考える場合もそうですけど、僕みたいに教育者という立場で子ども達に「SPTしてほしい!」なんて思うときには子ども達の動機にアプローチしなければいけません。
というわけで早速どんな動機でSPTをするのか、研究でわかった7つの動機をみていきましょう。
▼相手の立場に立ちたいと思う7つの動機
□ 1.ハイステークスな状況
どんなことかというと、やらないとすごくリスクになりそうと感じる状況のこと。
たとえば
「相手をしっかり理解しないと相手の気持ちがめっちゃ落ちそう」
「ちゃんと話さないと自分にとって脅威になりそう」
「相手が大切な存在だからしっかり理解しよう」
つまり
相手の立場に立って考えるための相手を深く気にかける必要があるような状況だとSPTをしようと感じます。
□ 2.社会的な目標
どんなことかというと、他人を助けたいという貢献の気持ちです。
たとえば
「誰かを助けられるようになりたい」
「彼が不安定な気持ちになってしまった環境を変えるにはどうしたらいいのか」
相手や相手の状況によりポジティブな影響を発揮しようとするときに「相手はどう感じているのだろう」と考えます。
□ 3.状況を知りたいという欲求
これは新しい環境に適応したりルールを理解するときに発揮されます。
「相手はこの場合どうするかな」
「このときどんな行動をとるだろうか」
不確実なことを避けるために「相手はどう考えているのだろう」と考えます。
□ 4.関係性を良くするため
コミュニケーションをとる理由の1つですね。相手と仲良くなりたいから「相手はどう思っているんだろう」と考えます。
具体的には
「どうしたら仲良くなれるかな」
「これは相手に気に入ってもらえるかな」
「どうしたら相手は許してくれるかな」
このように関係の開始、維持、修復のためにSPTが使われます。
□ 5.社会的な影響力
相手に影響力を与えたいというのもSPTの動機になります。
たとえば
「どうしたら相手に納得してもらえるだろう」
「こんな風に交渉したら受け入れてくれるだろうか」
「この条件なら相手は協力してくれるだろうか」
相手の協力や合意を得るために相手の立場に立って考えるというのも動機の1つになるそうです。
□ 6.本質的な興味
単純に「なんでそんなことしているんだろう」という好奇心や理解する必要性というのもあります。
「どうしてそうするのかな」
「なんでなんだろう」
他人を人間観察することありません?他の人がどうするのかという興味や関心から相手の立場に立って考えることもあります。
□ 7.自己認識への欲求
自分が相手にどう受け止められているかを学ぶために相手の立場に立って考えることもあります。
「これって変に思われないかな」
「これは可愛いと思ってもらえるかな」
「こうすると良い印象を与えられるかな」
自分自身や自分の行動が他人にどう解釈されるかを理解するために相手の立場に立って考えます。
▼まとめ
まとめると
□ SPTの7つの動機
①ハイステークスな状況
②社会的な目標
③状況を知りたいという欲求
④.関係性を良くするため
⑤社会的な影響力
⑥本質的な興味
⑦自己認識への欲求
でした。
言われてみると思い当たる節があって「なるほどな〜」と僕は納得した感じでした。
研究チームがまとめるには
本研究で得られたデータから明らかになったテーマの一つは、個人が SPT に参加する動機付けとなる経路が複数存在するということである。この発見は、学校における個人にとって重要な実践的意味を持つ。おそらく最も重要なのは、SPTに参加する気がないように見える個人が、別の経路で動機づけられている可能性があるということであろう
つまり
いくつか動機があるので、SPTのきっかけ作りもいろいろと考えることができるよ!ってことですね。
たとえば
・あまり他人に興味のない子どもでも相手を助けるために想像力を働かせるようにしたり
・相手を助けることに興味のない子どもにルールに適応する必要性を感じさせたり
・関係を作ることに関心の薄い子どもに相手からどう思われるかを気づかせたり
他人に関心を持つはコミュニケーションの第一歩ですからね。子ども達のコミュニケーション能力を育てたい方は複数のアプローチを持ってきっかけ作りができるとよろしいのではないでしょうか。
具体的にどんなアプローチをしたら良いかは前回の投稿(2)にまとめているのでよろしければそちらもどうぞ。
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