大人ができることは、子どもを急がせず、動き出せる環境を整えること

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コラム
不登校や学校不適応の相談で、保護者の方が最も苦しむのは、「このままで大丈夫なのか」という不安です。朝起きない。勉強しない。部屋から出ない。ゲームばかりしている。話しかけても返事が少ない。そうした姿を毎日見ていると、親として焦るのは当然です。何とかしなければと思うほど、声をかける回数が増え、親子の関係が苦しくなってしまうこともあります。

しかし、子どもが動けないときに必要なのは、急がせることではなく、回復の順番を見極めることです。心が疲れ切っている子に、いきなり登校や勉強を求めても、かえって動けなくなることがあります。まずは安心、安全、睡眠、食事、生活リズム、親子の会話。こうした土台が少しずつ整って初めて、学習や登校について現実的に考えられるようになります。

内田伸子先生の教育論から学べる大切な点は、子どもは大人の思い通りに操作して育てる存在ではないということです。子どもには子どもの感じ方、考え方、発達の筋道があります。大人の役割は、子どもを力で動かすことではなく、子どもが自分で動き出せる環境を整え、必要なところで支えることです。

不登校支援でも同じです。「明日から学校へ行きなさい」と迫るより、「今日は少し外の空気を吸ってみよう」「先生に伝える言葉を一緒に考えよう」「好きなことを少し学びにつなげてみよう」と、小さな行動に分けていく方が現実的です。子どもが自分で選んだ感覚を持てることが大切です。自分で選んだ一歩は、小さくても次につながります。

保護者の方だけで抱え込む必要はありません。親子だからこそ、感情が近すぎて難しいこともあります。第三者が入ることで、子どもが本音を話せたり、親御さんの不安が整理されたりすることがあります。教育相談は、親を責める場でも、子どもを裁く場でもありません。家族がもう一度、同じ方向を向くための作戦会議です。焦りを責める必要はありません。焦るほど真剣に向き合ってきたからこそ、少し整理する時間が必要なのです。
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