―以前ブームを起こした糖質制限から考える人間心理―
「糖質制限が一番優れたダイエットだ」
そんな言葉を見聞きしたことはないでしょうか。
しかし実際には、カロリーを揃えた比較研究では、
糖質制限は他の食事法と大差はなく、むしろ低脂肪食の方がやや有利というデータすら存在します。
それでもなお「糖質制限こそ正解だ」と信じたい人は少なくありません。
なぜでしょうか。
都合のいい情報だけを拾う私たち
人は、自分に都合のいい情報を集めて安心しようとします。
糖質制限をしている人は「糖質制限は健康に良い」という記事ばかりを読み、逆のデータには目を向けない。
コーヒー好きは「コーヒーは体に良い」という研究だけをシェアし、
アルコールでも同じような偏りが起こります。
これは心理学でいう「確証バイアス(confirmation bias)」です。
人は、自分の信じたい物語を補強する情報ばかり集め、安心を得ようとしたりします。
日本における糖質制限ブームの裏側
特に日本では、糖質制限が「利権」として拡大していました。
当時ボディビルをやっていたので、ダイエットはいろいろ調べていましたが、
調べれば調べるほど、さほどメリットは感じない、むしろ有害な場合も少なくない。
なのに書籍、メディア、食品業界。
「糖質オフ」の商品や健康本は巨大な市場となり、
「世界で認められた」というフレーズが繰り返し流布されました。
その根拠となるべき英語論文を日本語に訳す過程で「都合よく脚色」されたケースも少なくありません。
元の研究を読むと「大差なし」と書かれているのに、日本語では「糖質制限が圧倒的に有利」と書き換えられる。
その改ざんされたエビデンスをもとに大声でメリットを言っていました。
つまり、「安心できる物語」を売られ、それを喜んで買わされいると感じていました。
それを信じたい自分を知る
でも言いたいことは、糖質制限が良いか悪いかではありません。
「私はこれを信じたいから、この情報だけを選んでいる」ということに気づくことです。
人は信じたい物語を選び、それによって安心している。
それは弱さではなく、人間らしさの一部です。
ただし、そのことに無自覚でいれば、物語に利用され、都合よく動かされるだけです。
人は信じたい物語を選んで安心しようとする。
その仕組みを自覚できれば、初めて「自分にとって正しい選択」をしていくことができます。
糖質制限でも、コーヒーでも、人生のあらゆる場面でも。
「信じたい自分」に気づくこと。
わかった上で選択していく。
その実感があるだけでも人生の充実度が上がっていきます。