ツイノベ 161-165

記事
小説
あなたと再会するために、罪を償うために、私は辺境の島で明けない夜を過ごしています。渡り鳥が私を見つけてくれることを祈っています。海に浮かぶ漁り火よ。願わくば彼に伝えてください。私はここにいます。私はここにいます。おばあさんになるころには、あなたに会えるでしょうか/№161 流れる(百景 11番)
自室に篭ってアイドルのライブDVDを眺めた。何年も前から、曲順や振付を覚えるくらい、何度も、何度も。他人から見たら薄気味悪いだろうか。笑うだろうか。それでも、自分と彼女を繋ぐものはもうこれくらいしかないのだ。画面の中では、亡くなった妹の笑顔だけが眩しく輝いていた/№162 青葉の季節(百景 12番)
人里から離れた山の中に、その集落はひっそりと佇んでいた。ダムを建設するために水の底へと沈んだ集落を、水面のレンズ越しに眺める。「この村と一緒に生きていくんだ」と言って命を捧げた彼の悲痛な声が、放流の中から聞こえた気がした。私の叶わない恋心も、水の底に沈んだのだ/№163 水槽都市(百景 13番)
「最近、調子が悪いな」と私の頭を撫でるあなた。私が怪我をすると直してくれたり、やる気が出ないと元気をくれます。そのたびに私の調子はどんどん乱れていきました。機械系統の故障でしょうか。電子回路の異常でしょうか。アンドロイドの私にも、この乱れの原因がわからないのです/№164 あなたのせい(百景 14番)
ずっと目覚めないあなたの為に、今日も花を摘んでは冠に施します。そうやって何年、もう何年が経ったでしょうか。何度目の季節が過ぎたでしょうか。やがて、花を摘む私の手に雪が降ってきました。「もういいんだよ」と、あなたの声が聞こえた気がします。病床に伏せた、あなたの声が/№165 花の祈り(百景 15番)



サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す