国語講師のひとり言「マンガは受験に役立つか?」

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コラム
『個別の授業で面と向かっては言いにくい話をコラムにしています。言いにくいワケは、生徒さんは1人1人状況が異なり、一般論のアドバイスがつねに当てはまるとは限らないからです。
ですのでタイトルも「ひとり言」。本コラムの内容に有効性があるかと問われれば、私自身の中学受験や長年の指導で実践を心がけ、結果を出してきた事実を挙げるのみです。』
最近の子はマンガもあまり読まないのでしょうか?

私も最近のマンガはまったく読まないので別にかまわないのですが、小学生の頃マンガばかり読んでいた身からするとちょっとさびしい気はします。

ゲームをやっているという話もあまり聞かず、テレビも見てない子が多いですね。

説明文に人気お笑いコンビの「千鳥」の名前が出てきても、誰なのかさっぱりわかりらなかったことがありました。

もしかしたら、今の子はYouTubeに夢中なのかもしれませんね!

私の場合はマンガでしたが、なんであれ夢中になれるコンテンツがあるのは悪いことではありません。

受験の国語の役立つかどうかなんて、本当はどうでもいいことですからね。

でもまぁ、運良く役に立てば、こんなラッキーなことはないでしょう。

学校の図書館に名作マンガが置いてあって、当時は文字だらけの本なんてまるで読む気がないですから、それらのマンガをむさぼるように読んでいました。

『はだしのゲン』からは戦争の悲惨さを学んだかもしれません。

手足をすべて失い、包帯でぐるぐる巻きにされた男性の描写は、今も目に焼きついています。

それから手塚治虫の『ブラックジャック』。手塚治虫は阪大医学部卒の筋金入りの理系ですから、作品に徹底した合理主義が貫かれているのが素晴らしい。

最近久しぶりに読み返してみたら、オペのシーンなどかなりグロテスクで、「子どもの頃、よくこんなの読んでたなぁ」と驚きましたね。

情や風評、ときには迷信にすら流されがちな市井の人々と、科学としての医学とその技術に拠って立つブラックジャックの明確な対比にしびれます。

また、これはさすがに学校の図書館にはありませんでしたが、江口寿史さんの一連のギャグ漫画にも影響を受けました。

他の名作マンガをパロディしたシーンが多く、対象を意図的に矮小化して笑いを誘う手法からは、大げさに言えば"批評精神"を学んだ可能性も。

実際、5年生のときに塾で遠藤周作の『勇気ある言葉』を教材にした授業があった際、あえて難癖をつけるような感想を書いて楽しかった記憶があります。

…こうやって振り返ってみると、マンガから学んだことは、私の場合はかなり多そうです。

いずれにせよそうやって学びにつながったのは、なにはさておき、当時の私がむちゃくちゃマンガが好きだったことによると思います。

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