作家:プロとアマチュアの違い(3)

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こんにちは、アマチュア作家の天木和です。

作家としてのプロとアマチュアの違いについて、これまでの2回を簡単にまとめます。

プロの作家とアマチュアの違いは、実力の差にあり、プロは、高い「質」をほぼ100%保証できる「再現性」を有している、ということでした。

プロの作家として必要不可欠な要素は、①自分らしいスタイルと②アイデアの源泉、この2つでした。

①スタイルとは「書き方」のことで、自分らしいスタイル(書き方)を確立することがひとを惹き付けることにつながるという話でした。

今回は、プロの作家の2つ目の要素、②アイデアの源泉についてお話しします。

②アイデアの源泉


アイデアの源泉とは、アイデアがたくさん湧き出てくる鉱脈のようなものを想像してもらうとわかりやすいのですが、それは鉱山や油田のように眠っている宝を探すことではありません。

実は、②アイデアの源泉と①自分なりのスタイルは、密接な関係にあります。

アイデアが次々と生まれてくるようなスタイルを築くこと、これがアイデアの源泉の真意です。

スタイルは「書き方」だとすでに述べました。

自分らしいスタイルを築くべきとも書きました。

そこにアイデアの源泉を付け加えると、アイデアが次々と生まれてくるような自分らしいいスタイル、すなわち書き方をするということになります。

アイデアは宝探しでもなく、うんうん唸って絞り出すものでもないのです。

お米やブドウをある条件下におくと発酵してお酒が生まれてくるように、アイデアもある条件が揃うことで自然と湧き出てくるもの。

アイデアが醸成して次々と生まれ出してくれる条件を書く前にちゃんと揃える、すなわちこれがスタイルであり、プロの作家はみんなこのことを知っているか知らずとも自然にそうしています。

では、小説を書き始める前にアイデアが醸成するような揃えるべき条件とは何でしょうか。

小説なので、登場人物は必要です。

その人物がどういうキャラクターを持っているのか、容姿はどんな感じでいま何歳でどんな生い立ちで育ってきたのか。

小説のテーマは何で、込めたいメッセージは何なのかも必要かもしれません。
小説の設定やおおまかなあらすじやプロットもいるかもしれません。

どんな条件を揃えて書き始めるのか、まさにこれが作家にとって一番肝心な仕事といえます。

飛行機はフライト前に目的地まで安全に着くための十分な燃料があることを確認し、エンジンなどの機器類が正常かどうかをチェックしますよね?それと同じです。

もちろん、小説は生命に関わるフライトとは違いますので、何となくで書き始めても全然問題はありません。

しかし、準備が不十分で条件が揃っていないまま書き始めてもたいていは途中で筆が止まってしまいます。

経験した方ならわかるかと思いますが、想像やイメージがどんどん膨らんでいって、書く手が追い付かないほどの状態になれれば、淀みなく一気に書けますので、作品に自然な流れや勢いが生まれます。

多くの作家の方が、小説を書いている最中に登場人物が勝手に動き始めたといっているのもこれと同じです。

それは、作家の揃えた条件がうまく作用して、アイデアが醸成できたからこそ起きる化学反応のようなもの。

そうしたとき、物語りは作家が事前に考えていた展開とはまったく異なった思いもよらないところへいってしまいます。

でも、それこそが正解なのです。

反対に、作家が当初考えていた通りに書き上げたという作品は、わりと失敗作に終わることが多いとか。

まとめると、書く前にアイデアが自然と湧き上がるような条件を揃え、自分らしいスタイルでもって書いていくというのが正しい小説の書き方だということになります。

つまり、作品のよしあしは書き始める前からすでに決まっていることがほとんどなのです。


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