【スケッチコラム】手描きスケッチの効能は手の速さにある

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デザイン・イラスト

1.スケッチを描く前に準備すること

アイディアを考案する時にまずやる作業は何でしょうか?僕の場合はテーマに関連するイメージをなるべくたくさん集めます。壁にそれらを貼り出して、眺めながら、アイデアスケッチを描いて行きます。たくさんのイメージや言葉などをストックして、壁に貼り出して見える位置に常に配置しておくことで、スケッチ作業に入る前から脳内にイメージを浮遊させておきます。

そうするとスケッチ作業も割とすんなりと移行しやすい気がします。つまりイメージのトリガーとなるネタをたくさん用意しておくことで、多様なアイデアを発散していけるようになるわけですね。ネタをパクるのは良くないと思いますので、あくまでイメージの参考にする程度です。

2.スケッチは手を使って考えれば考えるほど表現も上手くなる

スケッチは学生時代にデザイナー教育の中のカリキュラムに組み込まれていました。手描きによるスケッチを如何に早く、如何に見栄え良く、コンセプトを明快に伝えられるか?は学生の頃の厳しい実習に耐えてきたからこその財産です。また手が遅い、早いという言い方をよくしますが、手が早い人は、アイデアを出す量も、思考の深みも違うということです。つまり手が考えるわけです。手が遅い人はアイデアの魅力も伝えきれず、表現力が伴っていない為に、自分の考えた事を伝える機会を損なってしまいます。

有名なエピソードにデザイナー奥山清行さんのスケッチの話があります。次期フェラーリのデザインプレゼンに臨んだ奥山さん。何百枚何千枚も描いたスケッチが通らず、役員がヘリで出張に行ってしまうという事態となった。そのものの五分の間に奥山さんがスケッチを描いて役員に見せて次期フェラーリのデザイン承認を獲得したというエピソードです。

このエピソードでは、役員のデザイン承認をものの五分とかで得たことも凄いですが、瞬間的な時間の中で、自分のありとあらゆる経験やセンス、技術を圧縮、総動員して、全精力を持って緻密に描きあげられているスケッチである、ということ自体に価値があります。過去から連続する鍛錬の日々と、常に描き続けて、パフォーマンスを保っている奥山さんだからこそ出来た芸当です。

3.スケッチ力を鍛えるには継続こそが鍵

ここから凡人の自分にも言えることは、まずは毎日手が鈍らないように、遅くならないように、常に描き続けようということです。アイデアが出てこないのは描いていないからでもあります。描いた量に比例してアイデアも出てくるはずです。手が早くなってくれば、自分の思考と手のスピードが一致して、アイデアの量も爆発的増えてきます。この状態を保つのは難しいですが、アスリートが試合当日に合わせてコンディションを上げていくように、デザイナーも各プロジェクトの納期に合わせてコンディションを調整していくことも仕事のうちの一つだということです。


しかしそんなことを言いつつも、最近風邪をこじらせてしまいました。体調管理もデザイナーのコンディション管理のうちの一つだと身を引き締めてやっていくしかないですね。


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