公務員の早期退職問題 辞める原因はこれだ!

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妻に夕飯のおかずに「カツオのたたき 買ってきて」とお願いしたら、「かつおのおつくり」が冷蔵庫に入っていました。惜しい!!

どうもこんにちは。
公務員面接アドバイザーのハタケ とまと です。公務員志望の方が合格できるように面接練習などお一人お一人に合った個別サポートさせていただいています。


さて、今回は若手公務員の早期退職問題について解説していきます。退職理由の中でも「何のためにやっている仕事かわからない」「生産性がない」といった不満について、なぜそういった思考になりやすいのかを説明します。

公務員志望の大学生や民間からの転職を考えている方に、知っていただき職業選択の参考にしていただきたいと思います。


1.公務員は〇〇業界

さて、冒頭から質問で大変恐縮なのですが質問です。

「公務員は、どの業界にカテゴライズされると思いますか?」

え?どゆこと?と思ったあなたは公務員という仕事への理解が浅いかもしれません。ここはとても大切な考え方なので、きちんと整理させていただきたいのですが、「公務員」とは民間企業で言うところの「広告・宣伝業界」「エネルギー業界」といった「業界」に相当します。
つまり、公務員=「公共サービス」業界です。
(こう考えると、四季報や業界地図に「公共サービス業界」が掲載されていないのが不思議でなりません)


公務員が公共サービス業界であるという視点が抜け落ちていると、せっかく頑張って試験勉強に合格し、狭き門を潜り抜けた先に待っているのは「ミスマッチ」かもしれません。

ここ数年で、20代~30代の若手公務員が次々に退職していくことがじわじわと問題になっています。これは国家公務員、地方公務員を問わず、公務員(公共サービス)業界で共通して起きている現象です。

ツイッターなんか見ていると、「公務員なんてクソだ!」「うちの市役所はクズしかいない」とでも言いたげな恨み節が次々につぶやかれています。(特に週末と月曜日は深刻ですねw)

採用面接では「人のためになる仕事がしたい!」と見栄を切っておきながら、いざ公務員として働いてみてから身内批判なんて白々しい限りです。

では、公務員という仕事に一度は興味をもったにもかかわらず、毒を吐きながら退職していく若手公務員が後を絶たないのはなぜでしょうか。

私はこれを単なる「ミスマッチ」の問題であると考えています。
つまり、「業界研究」が足りてねえなって話です。

もちろん、「一度入るとよっぽどクビにならない」「利益を追求しない」「社長(市長)が内部からではなく、外部(市民)から選ばれている」といった公務員業界の特殊性は確かにあります。


でも、そこを含めての業界研究と考えれば、その事前リサーチが足りないと指摘せざるを得ません。特に、公務員の仕事に不満を持っていたり、不満があって辞めた人が発信している情報をブログやツイッターなどのSNSを使って、収集することは簡単です。そうした便利なツールを使えば、事前のリサーチは完璧にではないにせよある程度できてしまいます


2.あなたの応募職種は何ですか

質問続きですみません。
だけど、これも大切な考え方なんですね。
一口に公務員と言っても、市立病院で働いている看護師も公務員ですし、警察官もそうです。実は公務員の職種は多岐にわたります。専門性や技術性などから多くの職種に枝分かれしているからです。
ちょうど、先ほど例に出した「広告・宣伝業界」の中のある会社で営業職やデザイナー職の人が働いているように、公務員(公共サービス)業界においても、様々な職種があります。
そこで、数多くある職種を代表的なカテゴリーに分けて、下記の通り記載してみました。

①行政系…事務職。公務員の中で最も多い職種。
②心理系…臨床心理士、児童相談員など
③福祉系…ケースワーカー。社会福祉士、児童指導員など
④専門職系…国税、外務など
⑤技術系…土木、建築、電気、機械など
⑥公安系…警察官、消防官、皇宮護衛官など
⑦資格免許職…栄養士、看護師、保育士、教員など

いかがでしょうか。
簡単に分類してみただけでも7つのカテゴリーがあります。そしてさらにここから職種ごとに分岐していくので、公務員業界の分野がいかに大きなものかをお分かりいただけるかと思います。

もっとも、民間企業ではカバーしきれない部分を公共サービスがカバーしていくという成り立ちから考えると、民間企業の業界と同じくらい多様な職種があっても不思議ではないですよね。



3.事務職とは何か

今回は公務員の中でも最も母数の多い行政系を取り上げます。
先述のとおり、行政系は職種で言うと「事務職」です。募集要項の職種では事務職とストレートに記載されていることもありますが、「一般行政職」や「一般事務」と表現されていることもあります。(私はこの表現があまりよろしくないと思っています)

さて、ここでまた質問です。
「事務職とは何かを説明できますか?」

もし、この質問に答えられないと念願かなって晴れて公務員になれたとしても、いざ働き始めてからミスマッチを起こす可能性が事務職の場合は特に高いです。

先に紹介した職種で、事務職(行政系)以外は専門分野や資格が明確です。そのため、専門職として公務員になる本人自身もある程度、実際の仕事のイメージがしやすいのです。したがって、「思ったのと違った!」が起こりにくいんですね。

反対に、学生からはイメージがしづらい事務職は「窓口業務」や「公民館」と言った目につきやすい映像から誤った公務員像を抱きがちです。しかし、例えば市役所の顔ともいえるいわゆる「市民課」においても、イメージと大きく異なる業務は多くあります。

市民課と言えば、市役所を入ってすぐの場所に窓口があり、その近くに発券機が置かれています。で、発券機から自分の要件に合った番号のボタンを押して、整理券を受け取る。
自分の番号が呼ばれて窓口で本人確認をしてもらったのちに、目当ての住民票が発行されてお支払い、というお決まりの流れです。

でも、よくよく思い出してみると、窓口で住民対応をしている職員のさらに後ろにも職員がデスクに座って作業していたり、PCを操作したりしていませんでしたか?

彼らが行っている作業の目的は主に住民票や戸籍の発行といったものではあるのですが、窓口に来た人と対応するのとはわけが違います。

もちろん、引っ越した住民が引っ越し先から郵送で書類を請求することもありますが、住民票や戸籍を必要としているのは住民だけではありません
例えば、行政書士です。様々な書類を作成・提出する代行業を行う彼らも住民に代わって証票類を請求します。
また、警察も利用します。追っている犯人や重要参考人などの事件関係者の足取りをたどるために、戸籍調査や住民票調査を行っています。
また一方で、転籍や引っ越しに伴い、他の自治体からの問い合わせ・照会手続きも行ったりしています。

このように、住民と最も接する機会が多いとされている市民課の職員でさえ、多岐にわたる関係者とやり取りしています。特に、先にあげた例は対住民ではなく業者相手です。

いくら早く、いくら丁寧に業者のリクエストを処理したとしてもほとんど褒められることも感謝されることもありません。お互い仕事ですからね。
また、単に証票を発行して終わりではなく、証票発行の過程を書類できちんと残して、ファイリングする業務もあります。市民課が扱っているのはもっとも基礎的で重要な個人情報ですので、その過程や結果に万が一にでも誤りがあってはNGです。
仮に言いがかりをつけれたり、ミスを問われたりしたときにでもバチっと身の潔白を証明できるようにすべての過程と結果が記録されます。最近では、電磁記録、つまりデータでその情報を保存することが多くなりましたが、多少手間が省けただけで、これまで書類を見つめていた時間がPCの画面を見る目る時間に置き換わっただけです。
こうなってくると、「市民の方の笑顔のために」と思ってドストライクの市民課に配属されて喜んでいたのが一転、実際に市民と相対する時間は思っていたよりもずっと少なかった、なんてのはよくある話です。

以上は市民課の例ですが、これが人事課や経理課などになるともっと極端です。ほとんど住民と接する機会はなくなります。毎日会って話すのは同じ市役所内の職員ばかりでたまに外部の人と接するくらいです。
こうなると「市民の笑顔を作りたくて」と公務員になったとしても期待を裏切られる結果になるのではないでしょうか。

よく、「行政は最大のサービス業だ」と公言してはばからない公務員がいますが、アホ抜かせと言いたくなります。あなたは事務職であって、接客業ではありませんよー!と耳元で叫びたくなります。こういうアホがいるから素直な大学生に公務員という仕事を優良誤認させてしまうのです。

さて、話が少しそれてしまいましたが、事務職とは何かをなんとなくご理解いただけたのではないでしょうか。




4.公務員は事務職であることを理解しよう

さて、事務職が扱う業務は、営業職やサービス職といった「直接業務」と対比して「間接業務」という位置づけです。間接というくらいなので、成果や利益を直接生み出す職種ではありません。これは民間企業と同じです。
そのため、事務職が行う仕事は「当たり前にできて当たり前」なんですね。ここら辺も「私は周りよりがんばっているのに評価されない!」と寝言を言っている若手公務員は気付いていません。そもそも誰かに「評価」されてそれを給与などのインセンティブに反映してもらいたいと考えているなら、公務員という選択は大失敗だった、と明言してあげた方が親切ではないかと思っています。

つまり、成果を直接的に生む仕事でない以上、どうしたって業務内容は地味にならざるを得ないんです。
ドラマや小説で「営業職」や「マーケティング職」が極端に美化されて描かれることはあっても、「事務職」を美化したものはほとんどありません。
まあ、20数年前に流行った江角マキコ主演の「ショムニ」は事務系と言えば事務系ですが、相当なフィクションなのであんまり参考にならないです。
ゼロにいくら数字を書けてもゼロにしかならないですからね。事務職を取り上げたところで、どうしたってドラマチックにはならないんですよ。

さて、少しネガティブな流れになってしまいましたが、要は公務員を「公務員業界」という大きなくくりではなく、職種単位の具体的なくくりで捉えていただきたいということです。
これは事務職ならなおさらです。公務員というくくりで見るのではなく、むしろ民間企業の事務職と比較した方がわかりやすいくらいです。実態もイメージも掴みやすいでしょう。


5.まとめ

さて、これまで説明してきたように公務員とは一つの業界を表現した言葉に過ぎず、そこには多様な職種があり、その中でも事務職は人数で言うともっとも大きなボリュームを占めます。

その事務職という仕事の実態を理解せずに、目につきやすいイメージだけで公務員を目指すというのはかなり危険なんですね。ミスマッチにつながりますからです。

今日、この記事をお読みいただいたあなたなら、事務職の公務員はこれまでのイメージとは違うということをご理解いただけたものと思います。

多少批判的であったり、ネガティブな表現をしてしまいましたが固定概念を取っ払うには強引さも必要だと思って語調が荒くなってしまいました。不快な思いをされたらごめんなさい。

今回は「若手公務員の大量退職問題」について詳しく説明しましたが、これはあくまで一つの要因で合って、実際は複合的な要因で退職されることがほとんどです。
ただ、そうは言ってもミスマッチの要因は一つでも減らしたいという考えから敢えて、「公務員業界」「事務職」という切り口から公務員の仕事を紹介させていただきました。

また、わたしは元市職員でありながらも、公務員という仕事やその努力を否定するつもりはありません。むしろ、市役所から一歩も二歩も外に出てみて改めて思ったのは「公務員って案外やりがいあるかも」ということでした。

(このやりがいの部分については、また日を改めて紹介したいと思います。)

こうした事実を認識してもなお、それでも公務員を目指したいという方は、ぜひ私とお話ししませんか。一人一人に合った個別サポートを提供させていただきます。
それではあなたからのお問い合わせ、心よりお待ちしています。





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