市場はランダムか

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株式市場において、株価はどのように推移するのでしょうか。さらには、それらの推移に何らかの法則性はあるのでしょうか。
もしも法則性が見出せるのであれば、それは同時に、株式トレードの必勝法を見つけたに等しいことになります。しかし、「株式トレードに必勝法などあるはずはない。だから、株価の推移に法則性はなく、株価はランダムに動いている。」と言う方が多いこともまた事実です。

ランダムウォーク仮説では、「株価は微小粒子のブラウン運動と同様に、ランダムに推移する。」と説明されています。株価が日々変化するのは、その株式を売買するトレーダー達が株価を上に突っついたり、下に突っついたりすることで、あたかもタバコの粒子が空気の分子に押されて不規則に拡散するように、フラフラと動くためだと考えることができます。

各トレーダーは、各自が入手した材料(データ)に基づいて、株価を突っつく方向を決定します。取り立てて大きな材料が存在しない場合は、各自の反応はまちまちであり、株価が突っつかれる方向はランダムになるでしょう。それらの材料は、ファンダメンタルズであり、テクニカルであり、または各自の経済事情や投資心理に基づいたものかもしれません。

しかし、重要な経済指標や企業業績、国際テロ、軍事的な緊張など、大多数のトレーダーが注目するような材料に対しては、彼らが株価を突っつく方向は揃いやすくなるでしょう。
その材料による企業価値の変化が再び均衡点に達するまで、株価はランダムの域を超えて、意思を持って力強く動くことになります。

この過程において、株価の動きはランダムではあり得なくなります。「元となった材料そのものの好悪がランダムなのだから、その結果生じる株価の動きもまたランダムであるはずだ。」と考える人もいるかもしれません。

しかし、ブラウン運動においては、前提として例えば空気の温度や密度が一定であることが要求されます。もしも勝手にこれらを変えることができたら、タバコの粒子を任意の方向に好きな距離だけ移動させることもできてしまうからです。

株価に影響を与える材料は、上記の温度や密度のようなものです。これらが均一であって初めて、空気分子に相当する各トレーダーが、自分の自由意志で株価を突っつくことができます。そして、そのような状況下で株価が動いてこそ、その推移はランダムであると言えるのではないでしょうか。

大きな材料によって株価が動く様は、強風の中でタバコの粒子を観察するようなものです。それはけしてランダムウォークと呼べるようなものではないでしょう。
その結果、「株価の推移は厳密な意味でランダムウォークではない。」と結論付けることができます。

しかし、私達が風の強さや向きを自由にコントロールできないこともまた事実です。それは、物理的にできないということではなく、法的に禁じられているからです。
例えば、インサイダー取引や、仕手筋による相場操縦などは、これから吹く風の大きさや向きを事前に知ったり、自らが風を起こしたりして、株価の推移を高い確率で予測することを可能とするのです。

株価は単にランダムに動くだけのものではありません。常に様々な強さや向きの風の影響を受けて、ダイナミックに変動する存在です。
ただ、法令を遵守する健全なトレーダーである私達には、その風の強さや向きを事前に知る術が存在しないために、あたかも株価がランダムに動いているかのように見えるのです。

それでは、私達には株価を予測することなど不可能であり、株式トレードで安定して勝ち続けることもまた不可能なのでしょうか。
おそらく前者についてはその通りでしょう。しかし、後者については不可能ではないと考えます。

風はある瞬間にだけ吹くわけではありません。比較的長く、一定方向に吹き続ける風も存在します。そのような風の発生を事前に知ることはできませんが、風が吹いていることを捉えることは可能です。
その風をいち早く捉えて風の向きにトレードし、風が止んだことをいち早く察知してトレードを手仕舞えば、平均的に勝ち続けることが可能となるでしょう。

その風とは、トレンドと呼ばれるものです。風の向きはトレンドの方向を示し、風の強さはトレンドの強さを表します。これは、短期で終わるものもありますが、比較的長期に渡って吹き続けるものも少なくありません。このトレンドの中で、株価はランダムに上下しながらトレンドの方向に流されて行くのです。

いつ風が吹くかを予測することは、天気予報と同じです。天気予報が今一つ当たらないと感じることと同様に、株価予想には懐疑的にならざるを得ません。
ただし、特定地域特有の風が周期的に吹くことがあるように、個別銘柄特有のアノマリーのようなものは存在するかもしれません。

トレンドを捉えるということは、毎日天気を確認してから洗濯をするようなものです。洗濯をして外に干して首尾よく乾けばOKで、乾いた洗濯物が利益ということになります。途中で雨が降ってきたら、洗濯物を取り込み手仕舞いとなります。
晴天に気が付かずに洗濯を忘れたら、利益は得られません。夕方になって慌てて洗濯をしても、手遅れです。雨が降ってきた時に取り込みを行なわなかったら損失になります。

私達は程度の差こそあれ、風の存在を感知する能力を備えています。あるいは、晴天を確認した後洗濯をして干すことくらいはできるでしょう。
そういったことを意識して行なっているかどうかで、トレードの結果に差が生じてくるのではないでしょうか。それは、プログラムされたものである必要はなく、頭の中のみに存在するものであっても構いません。

それを第三者にも分かるように客観的に表したものが、トレーディングシステムというものになります。トレーディングシステムとは、風を捉えるための装置であり、それによって行動を起こすための指針となるものです。その中身は各種各様であり、予測に近いものから厳密にトレンドを確認するものまで様々です。

風はまた、偏西風のように一定方向に吹き続けるものもあります。もしも、市場においてこの偏西風を捉えることができたとしたら、それは永続的に利益を生み続けるトレーディングシステムを可能とするでしょう。
それは不可能かもしれません。しかし、不可能であるということを証明する事実は存在しないのです。

冒頭に述べた言葉を思い返してください。「株式トレードに必勝法などあるはずはない。だから、株価の推移に法則性はなく、株価はランダムに動いている。」
この言葉の対偶は、「株価の推移に法則性があるか、または株価がランダムに動いているということがなければ、株式トレードに必勝法などあるはずはない、ということはない。」となります。

論理学によると、ある言葉の内容(命題)が正しければ(真であれば)、その対偶もまた正しいということが言えます。
厳密な意味での株価のランダム性は否定されると考えると、冒頭の言葉が正しいとすれば、株式トレードに必勝法が存在する可能性がある、ということもまた正しいということになります。

必勝法とまではいかないにしても、風を捉えることにより平均的に勝ち続けることはできるかもしれませんし、事実そのようなトレーダーは少なからず存在するでしょう。
ランダム性が厳密に成り立っているということがない限り、市場に吹く風を察知しトレードを仕掛けることの優位性は存在する、と言えるのではないでしょうか。

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