近年、「夫婦別姓」という言葉を耳にする機会が増えました。
賛成派と反対派の意見が激しく対立するテーマでもありますが、そもそも現在の日本では夫婦別姓は認められているのでしょうか。
今回は、現行法の仕組みと今後の可能性について解説します。
現在の日本では夫婦別姓は認められていない
日本の民法では、婚姻する際に夫婦は同じ姓を名乗らなければならないと定められています。
民法第750条は次のように規定しています。
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
つまり、結婚する場合は、
夫の姓にする
妻の姓にする
のどちらかを選択しなければなりません。
実際には約95%以上の夫婦が夫の姓を選択しているといわれています。
「事実上の別姓」は可能
もっとも、仕事上や社会生活上では旧姓を使用することが広く認められるようになっています。
例えば、
名刺
SNS
論文
銀行口座の一部
パスポートの併記
などで旧姓を使用できる場面が増えています。
そのため、法律上は同姓であっても、社会生活では別姓に近い運用が行われているケースも少なくありません。
最高裁判所の判断
夫婦同姓制度については、これまで何度も憲法違反であるとして争われてきました。
しかし、最高裁判所は、
2015年
2021年
のいずれの判決でも、夫婦同姓制度は憲法に違反しないと判断しています。
最高裁は、
「どのような家族制度を採用するかは国会が決めるべき問題である」
という立場を示しています。
つまり、
「夫婦同姓制度が憲法上当然に要求されているわけではないが、現行制度も憲法違反ではない」
という考え方です。
選択的夫婦別姓とは
現在議論されているのは「選択的夫婦別姓制度」です。
これは、
同姓を希望する夫婦は同姓
別姓を希望する夫婦は別姓
を選べる制度です。
「すべての夫婦を別姓にする制度」ではありません。
そのため賛成派は、
改姓によるキャリアへの影響を防げる
アイデンティティを維持できる
手続負担が軽減される
と主張しています。
反対意見もある
一方で反対派は、
家族の一体感が失われる
子どもの姓をどうするのか
戸籍制度との整合性
などの問題を指摘しています。
また、
「長年続いてきた家族制度を大きく変更することになる」
との慎重論もあります。
今後どうなるのか
現時点では選択的夫婦別姓制度は導入されていません。
しかし、
国会での議論
世論の変化
働き方や家族観の多様化
などを背景に、今後も議論は続くと考えられます。
制度改正が行われるかどうかは、最終的には立法府である国会の判断に委ねられています。
まとめ
現在の日本では、法律上の夫婦別姓は認められていません。
結婚する場合は夫または妻の姓を選択し、夫婦は同じ姓を名乗る必要があります。
もっとも、社会では旧姓使用が広く認められるようになり、選択的夫婦別姓制度の導入についても継続的な議論が行われています。
夫婦別姓の問題は単なる「名前」の問題ではなく、家族のあり方、個人の生き方、そして社会制度全体に関わるテーマです。
賛成・反対の立場にかかわらず、まずは現行制度を正しく理解することが大切ではないでしょうか。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本