犯人をかくまったら犯罪?親族なら許される?~犯人蔵匿罪と親族特例を解説~

犯人をかくまったら犯罪?親族なら許される?~犯人蔵匿罪と親族特例を解説~

記事
コラム

家族が犯罪を犯してしまった。

あるいは、突然家族から

「しばらく家に置いてほしい」

と言われた。

そんなとき、事情を知りながら自宅にかくまう行為は法律上どう扱われるのでしょうか。

今回は、刑法上の「犯人蔵匿罪」と、親族に認められている特例について解説します。

犯人蔵匿罪とは

刑法第103条には、犯人蔵匿罪が規定されています。

簡単に言えば、

犯罪を犯した人や逃走中の人を意図的にかくまう行為

を処罰する規定です。

例えば、

指名手配中の知人を自宅に泊める
警察から逃げている犯人を車で別の場所へ移動させる
犯人を押し入れや倉庫に隠す

といった行為が典型例です。

法律上は、

「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」

が対象となるため、多くの犯罪が含まれます。

なぜ処罰されるのか

刑事司法は、犯人を発見し、適正な裁判を行うことで成り立っています。

そのため、第三者が犯人を隠してしまうと、

捜査が妨害される
証拠収集が困難になる
被害者の救済が遅れる

という問題が生じます。

そこで刑法は、犯人をかくまう行為自体を独立した犯罪として処罰しています。

では、親が子どもをかくまった場合は?

ここで多くの人が疑問に思うでしょう。

「自分の子どもが逃げてきたら助けたくなるのでは?」

実は刑法もその点を考慮しています。

刑法第105条には、親族による犯人蔵匿について特例が設けられています。

つまり、

親族が本人の利益のために犯人をかくまった場合には、刑を免除することができる

とされています。

親族とはどこまで?

ここでいう親族は、民法上の親族を意味します。

具体的には、

配偶者
6親等内の血族
3親等内の姻族

です。

例えば、

父母
子ども
兄弟姉妹
祖父母

などは当然含まれます。

内縁の妻や恋人はどうなる?

ここで問題となるのが、

内縁の妻
婚約者
長年同居しているパートナー
事実婚の相手

などです。

感覚的には家族同然といえる関係もあります。

しかし法律上は、

原則として「親族」には含まれません。

そのため、

内縁の妻が犯人を自宅にかくまった場合、

犯人蔵匿罪が成立し、親族特例も適用されないのが原則です。

「親族相当」なら許されるのか

結論から言えば、

親族相当であるというだけでは足りません。

刑法第105条は例外規定であり、厳格に解釈されます。

そのため、

「実質的には家族だから」

という理由だけで親族特例を適用することは通常できません。

もっとも、

長年の同居関係
深い愛情関係
扶養関係

などがある場合には、裁判において情状として考慮される可能性はあります。

しかし、それは刑を軽くする事情であって、犯罪の成立そのものを否定するものではありません。

まとめ

犯人蔵匿罪は、犯罪を犯した人や逃走者をかくまう行為を処罰する犯罪です。

もっとも、家族に対する自然な情愛に配慮し、刑法は親族に対して一定の特例を設けています。

ただし、その特例が適用されるのはあくまで法律上の親族に限られます。

内縁関係や事実婚など、家族同然の関係であっても、原則として親族特例の対象にはなりません。

「家族だから大丈夫だろう」と考えて行動してしまうと、思わぬ法的責任を負う可能性があります。

実際の事案では、親族関係や行為の内容によって結論が変わることもありますので、不安な場合は専門家へ相談することをおすすめします。

南本町行政書士事務所
特定行政書士 西本 忠敬


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