死刑一択? 「外患誘致罪」という日本で最も重い犯罪の一つ
「日本で最も重い犯罪は何ですか?」
こう聞かれると、多くの人は「殺人罪」と答えるかもしれません。
しかし、法律上は必ずしもそうではありません。
実は、日本には法定刑が「死刑のみ」とされている極めて珍しい犯罪があります。
それが外患誘致罪(がいかんゆうちざい)です。
外患誘致罪とは?
外患誘致罪とは、簡単に言えば、
外国と通じて日本に武力攻撃を引き起こさせる犯罪**
をいいます。
例えば、
* 外国の軍隊に日本への攻撃を依頼する
* 日本の軍事情報を提供し、侵略を容易にする
* 外国勢力と結託して日本への武力侵攻を誘発する
といった行為が典型例として考えられます。
対象となるのは単なるスパイ行為ではなく、**日本に対する外国の武力行使を積極的に引き起こすこと**です。
なぜ「死刑しかない」のか
多くの犯罪には、
* 懲役
* 禁錮
* 拘禁刑
* 罰金
など複数の刑罰が用意されています。
しかし、外患誘致罪は、
「国家そのものの存立」を危険にさらす犯罪
と考えられているため、法律は最も重い評価を与えています。
一人の生命だけではなく、
* 国民全体の生命
* 国家の独立
* 社会秩序
を危険にさらす可能性があるからです。
そのため、日本の刑法では極めて例外的に死刑のみが法定刑となっています。
法律上は存在するものの、実務上はほとんど適用されたことのない犯罪です。
もっとも、「適用されていないから重要ではない」というわけではありません。
国家に対する武力攻撃という事態自体が極めて重大であり、刑法はそのような行為を最も重く処罰する姿勢を示しています。
「死刑しかない」ことへの議論
もっとも、この犯罪については学説上も様々な議論があります。
刑法では通常、
* 行為の態様
* 被害の程度
* 犯人の役割
などによって刑の重さを裁判所が判断します。
しかし、外患誘致罪では裁判官に刑の選択肢がありません。
そのため、
「すべての事案について死刑しか選べないのは妥当なのか」
という議論が以前から存在しています。
一方で、
「国家の存立を脅かす以上、それほど重大な犯罪として位置付けるべきだ」
という考え方もあり、この規定は現在も維持されています。
行政書士として一言
契約書や相続などの日常生活ではまず目にすることのない罪ですが、刑法にはこのように**国家を守るために設けられた特別な犯罪も存在します。
法律は、人と人とのトラブルを解決するだけではありません。
国家そのものを守るルールもまた、法律の重要な役割の一つです。
「死刑しか規定されていない犯罪がある」という事実は、日本の刑法が何を最も重く考えているのかを知る一つの手がかりになるのではないでしょうか。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本