AIを活用する業務委託契約書 ~「AIを使います」をどう契約書に落とし込むか~

AIを活用する業務委託契約書 ~「AIを使います」をどう契約書に落とし込むか~

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コラム
生成AIの普及により、業務委託契約の内容も少しずつ変化してきています。

これまでであれば、業務を誰が、どのように行うかはあまり問題になりませんでした。しかし現在では、ChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIを利用して業務を遂行するケースが急速に増えています。

その結果、契約書の作成段階で、

「AIを使ってもいいのか」
「どこまでAIに任せるのか」
「AIのミスは誰が責任を負うのか」

という点を明確にしておく必要が出てきました。

今回は、AIを利用する業務委託契約書で押さえておきたいポイントをご紹介します。

そもそもAIを使うことは契約違反になるのか?

結論から言えば、契約内容によります。

例えば、

「乙が専門的知識を用いて作成する」

という契約であれば、発注者は受託者本人の能力を期待して契約しています。

一方で、AIに大部分を任せてしまうと、

「本人が作成したとは言えないのではないか」

という問題が生じる可能性があります。

逆に、

「成果物さえ完成すれば方法は問わない」

という契約であれば、AIを利用しても契約違反にはならない場合が多いでしょう。

つまり、

AIを利用してよいかどうかを契約書で明確にしておくことが重要です。

注意点① AI利用の可否を定める

最も基本となる条項です。

例えば、

乙は、本業務の遂行にあたり、生成AIその他AIツールを補助的に利用することができる。

あるいは、

乙は、本業務の全部又は主要部分について生成AIのみを利用して成果物を作成してはならない。

というように、

利用を認めるのか
補助的利用だけ認めるのか
禁止するのか

を明確にしておきます。

注意点② 最終確認義務を定める

生成AIは非常に便利ですが、

法律の誤り
判例の誤認
架空の情報(ハルシネーション)

を出力することがあります。

そのため、

「AIが書いたから間違えました」では済みません。

例えば、

AIを利用した場合であっても、乙は成果物について内容、正確性及び法令適合性を十分確認し、その責任を負うものとする。

という条項を入れておけば、

責任の所在を明確にできます。

これは契約書作成業務では特に重要です。

注意点③ 秘密情報の入力をどうするか

AI利用でもっとも問題になりやすいのがここです。

例えば、

顧客情報

契約内容

営業秘密

未公開情報

これらをAIへ入力してしまうと、

利用しているAIサービスや設定によっては情報管理上の問題が生じる可能性があります。

そこで、

例えば、

乙は、甲の秘密情報又は個人情報を生成AIへ入力する場合には、匿名化その他適切な措置を講じるものとする。

あるいは、

甲の事前承諾なく秘密情報を生成AIへ入力してはならない。

という条項を設けることがあります。

注意点④ 知的財産権との関係

AIが生成した成果物については、

著作権の帰属だけでなく、

第三者の著作権侵害リスクも検討する必要があります。

例えば、

画像生成AI

デザイン生成AI

プログラム生成AI

などでは、

意図せず既存作品に酷似した成果物となる可能性もゼロではありません。

そこで、

AIを利用した成果物について第三者から権利侵害の主張があった場合には、双方誠実に協議して対応する。

あるいは、

乙は、合理的な範囲で成果物の権利侵害の有無を確認する。

という内容を検討することがあります。

注意点⑤ AI利用の開示義務

業務によっては、

発注者が

「人が作ったもの」

を期待している場合があります。

例えば、

法律相談

専門家意見書

医療関係

士業業務

このような場合、

AI利用自体を事前に知らせる必要があるケースもあります。

そこで、

乙は、成果物の全部又は主要部分について生成AIを利用した場合には、その旨を甲へ報告する。

という条項を設けることがあります。

AIは便利ですが、責任まで引き受けてはくれません

AIは非常に優秀です。

しかし、

契約上の責任を負うのはAIではありません。

あくまで契約当事者です。

だからこそ、

AIを使ってよいのか
どこまで利用するのか
誰が確認するのか
情報漏えいをどう防ぐのか
知的財産権をどう扱うのか

これらを契約書で整理しておくことが、今後ますます重要になっていくでしょう。

まとめ

生成AIの普及により、業務委託契約書にも新たな視点が求められるようになりました。AIは業務効率を飛躍的に高める一方で、秘密情報の取扱い、成果物の品質、知的財産権、責任の所在など、従来にはなかった法的リスクも生み出しています。

特に契約書作成や法務支援のような専門性の高い業務では、「AIを使用したかどうか」よりも、「AIをどのようなルールのもとで使用するか」が重要です。

業務内容に応じたAI利用条項を適切に設計しておくことで、受託者・委託者双方が安心してAIを活用できる環境を整えることができます。

AI時代の契約書は、「AIを禁止する契約書」ではなく、「AIを適切に使うための契約書」へと進化していくことが求められています。

南本町行政書士事務所では、生成AIを活用する事業者向けの業務委託契約書、AIコンサルティング契約書、AI開発・運用契約書など、AI時代に対応した契約書の作成・リーガルチェックを承っております。事業内容やAIの利用方法に応じて、実務に即した条項をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本
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