【講評ってどんなの?】あなたの原稿、こんな風に読んでいます

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原稿の講評、添削って具体的にはどんなのよ?と思う方は多いと思います。一応これで出版界隈はベテランではありますが、あなたにとっては一見さんであるわたくしにサクッと依頼できちゃう人の方が少なくて当然でしょう。

何しろ諭吉が飛ぶ価格設定。「高いよな」と思うかもしれない。いや、思いますよね。パッと読んで1、2時間でパッと感想書かれた日にはたまんない。実際のところ、長編原稿ならば1週間くらいはかけます。お急ぎの場合はその限りではありませんが、実働時間にしても2~3日はかかっています。なので、諭吉数枚設定にはワケがあるのです。

はたして、あなたが原稿を送ってからどんなことが行われているのか、すこし説明しようと思います。同種サービスとの比較検討の参考にしてください。

その1、全文プリントアウトし、付せんを貼って読む。


まず、頂いた原稿を印刷します。350枚の原稿でも、です。

週3本もの長編原稿が届いたらコピー用紙1セット分でも足りません。実際のところ、紙代とインク代がバカにならない。画面で読みながらWord校閲機能で書き込んだ方が作業も早いので、感想サービスでもWord画面でそのまま読む人も多いと思います。いや、競合クサしじゃないですよ。ないです。

ただ、デジタルがない時代から出版稼業にいた自分からすると講評や添削の際に「印刷せずに読むなんて!」です。まぁ、逆にwebや電子書籍媒体ならそのまま読んだ方が良いのかもしれませんが。

というわけで、読みながら気になったところに付箋を貼ったり、メモを取ったり、修正が必要な部分は原稿に直接書き込んだりしていきます。

あくまでこれは自分(講評者)のためのメモです。自分のためのメモなので「主人公の行動、唐突すぎ!」「視点が変わってるぞ!」「このキャラはこんなこと言わない」だとか、ポジティブなものだと「おー、すごー!」とか「この展開ワクワク!」などのバカっぽい短文が並びます(実際の講評はもう少しまともですからご安心ください)。

その2、再読しながら講評を書く

最後まで読み終わったら、その地図をもとに「講評」を書き始めます。本サービスには①「講評サービス」と②オプション「Word添削(ワード校閲でコメントを入れるもの)サービス」ーーがありますが、両方の依頼があった場合は同時進行で進めるか、全体を見る「講評」から取り掛かります。

ここでいう講評とは、感想・分析・添削含みますが、どちらにせよ、一気に書き終えることはしません。あなたの小説と私が書いた講評とを行きつ戻りつ、時に再読しつつ、だいたい1週間くらいかけながら進めます。

理由は読後すぐと、数日経ってからでは感想がちょっと変わったりもするからです。読んだ直後は「うーむ」と思っても、翌日になってから思い出すに「結構いい話だったんじゃないか」ということが時々あるから。なので、お渡しする前に書き直すこともあります。

キャプチャうさぎおばさん.PNG


自分でいうのも何ですが、割とがっつり長めの講評です。短編2000字、中編3000字、長編で5000字講評をうたっていますが、基本、引用文は含めないため結構な枚数のファイルとなります。

オプションの「Word添削」は結構な長編になると170か所くらい入れることもある。過去には講評と合わせ2万字以上の長さになったこともありました。

開いたときに「わお~!」くらいな気持ちにはなるかと思います(多分)

講評でチェックするポイントは?


で、まず、「講評サービス」について。主なチェックポイントは以下です(全てに触れるとは限りません。どこかに特化する場合もあり)

1、 書き出し
2、 登場人物について(造形や行動、セリフについて)
3、 ストーリー展開や構成について
4、 文章表現、文法問題について

1つ目。書き出しは大事です。

よい作品なのに、出だしでミスったばかりにその先を読まれないなんて悲しすぎます。一般の読者はもちろん、1次で9割落とされる文学賞でも不利です。

なので、本サービスでは最後まで読んだうえで、冒頭が作品全体にどんな効果を与えているかを分析し、場合によっては「出だしはこっちのシーンから始めた方がよいかもよ」なんてアドバイスをすることもあります。

キャプチャ 強制リライト.PNG


2つ目。書き出しよりも、さらに大事な登場人物

人物Aの造詣はみごとなのに人物Bはなんだか書き割りっぽいということもままある。作者がその人物を理解していないとバレバレになるところでもあります。

読んでみて、その人物がどのように見えるのか、どんなところが魅力的か、行動やセリフに矛盾がないか、これまた場合によっては「彼はこんな行動取らないですよ!」みたいなお節介コメントを入れることがあります。

なお、お節介コメントを入れる場合は「こうしたらどうすっかね?」みたいな代替案を提示する場合もありますが、必ずしも従う必要はありません。

登場人物と何十時間、何百時間(あるいはもっと?)と過ごしてきたあなたの方が、(潜在的には)彼ら彼女のことをよくわかっているはずだからです。指摘されることで何かが閃くとか、最終的にその斜め上のアイデアが出る等々を期待しつつの代替案です。

3つ目はいわゆるストーリー運びやプロットについて。


展開に不自然さはないか、上記の登場人物と大いに関わってくるところでもあります。

ストーリーについては長くなってしまうので割愛しますが、結構な頻度で指摘することになるのが構成上のミス。一つ一つの描写やエピソードは面白いのに「なんとなくダレ」を感じる作品ですね。

その原因の多くはペース配分です。仮に100枚の小説を三部構成で書くとしたら最初のパートは25枚、中盤で50枚、ラストの仕上げに25枚みたいな王道的なペースがありますが、その類の話です。

これには物語全体のペース配分のほか、段落や場面場面でのペースもありまして、アクションを進めるべき頃合いなのに主人公が延々バックグラウンドを語ったり、やたらと情景描写が続く(往々にして上手だったりする)とリズムが悪くなる。これ、実は作者が没頭するほど客観視しにくい部分なので、「ここはカットし、こっちの場面を前倒しで入れましょうか」といったアドバイスを入れることもあります。
edisons-electric-pen-768  エジソンの伝記ペン.jpg


ちなみに、作品提出時にあらすじを書いてもらっているのですが、「あらすじがよく書けている」作品は本編そのものの構成も上手な方が多い気がします。(送るその場で書いてる人もいるので絶対ではないですが)

4つ目は文章表現や文法について

文章が読者に伝わるか、伝わらないか。書き込みが少なすぎやしないか、逆に書き込みすぎて冗長になってしまっていないか。また、文体に個性がある人ほど文法が微妙になったりするのもよくあること。

本サービスでは「てにをは」を含め「どうしたら伝わりやすくなるか」、元の文章をまるまる修正してお伝えすることもあります。(なお、誤字脱字などは講評ではあまり触れません。読みながら気がついた箇所はWord校閲の方で指摘しています

なお、講評サービスはオールカスタマイズのため、作品によってどこを指摘するか、その配分も作家さんによってかなり違ってきます。人によってはキャラクターに集中することもあるでしょうし、文章表現ばっかりについて指摘するケースもあるでしょうし、視点のズレについての話になるかもしれません。主に「その人ならの強み」「ここを改善すれば伸びそう!」といった点を中心に見ていきます。

「5000字講評」と「Word添削」サービスの違いって何よ?

以上がメーンの「5000字講評サービス」ですが、オプションの「Word添削サービス」についてもう少し。この2つはどう違うのよ?ということですが。

① 5000字講評サービス
Wordテキストに講評を書いてお渡し。なお、出品欄には書簡形式と表記していますが、今、書いているこのブログに近い文体で感想・添削をお送りします。作家としての強み、弱みとも、がっつり、じっくり分析し、修正案なども記述します(上記・参)。

② Word添削サービス(オプション)
「Word校閲」機能を用い原稿に直接コメント入れ。「この表現が若干わかりづらいので〇〇に変更しましょう」など短文の指摘が中心。5000字講評では触れられなかった細かい箇所を見ます。「ココ好き」的な単純な感想だったり、「前文の○○と重複。トル」などあっさりめの指示も含みます。朱入れ的な要素もあるので、①より若干厳しめに感じるかもしれません。
位置づけ的には②は①の補足です。
キャプチャ白鳥.PNG


最後に。私は原稿が届くと、とにかくワクワクします。「小説が届く」って相手がプロであろうと、これからの新人であろうと、なんというのか自分にとって最高のプレゼントみたい。というわけで、感想なしの読むだけなら無料です。「誰かが確実に読んでくれるのならそれでいい」という奇特な方はメールくださいね。感想はなしですが(笑)。




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