月よ星よと、君を思うこと許されば。
某青い鳥さんで投稿させていただいたものになります。
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#創作NL #創作BL(添える程度)
#オメガバース「場所を移そうか」「足が立たない、んですが」
「なに、寄りかかっても良いからおいで」
ひぃ、顔が良い。伸ばされた手と将臣さんを見比べる。イケメンの先輩で見慣れていると思っていたけど、これはちょっとイケメンの種類が違った。もう見るからに、アルファだって分かるレベル。
伸ばされた手に手を重ねて、引き寄せられて分かるがっしりとした身体。私一人寄りかかったって何も問題ないぐらい、体格だってよかった。
「兄貴」
「話をするだけだ。由貴くんとお前の可愛い子を傷つけたりはしない」
「信じるからな」
「…えっ。せんぱ、え?」
「こら、そっちを見るな」
置いて行くんですかと先輩を見れば、ぎゅぅと手が握られてそっちに視線が向く。穏やかに笑う将臣さん。赤茶の目には嫉妬らしき色が浮かんでいた。独占欲すっげ、と他所から聞こえてきたが、それは言わずもがな先輩だ。
「また夜に由貴さんと迎えに行ってやっから」
「…はい」
将臣さんから目を逸らさず返事をする。逸らすと喰われるかもしれないから。ほら、目を逸らした方が負けっていうやつ。くすりと笑い声が聞こえた。これも、先輩が発信源。
「じゃあな、瑞佳」
「…お、気を付けて」
「おう」
視界の端っこでひらりと手が振られたから、私も空いた手でひらりと振る。再び手をぎゅぅと握られて、意識が将臣さんに戻る。将臣さんはひとつ頷いて、私の腰に腕を回し、レンズに色がついた眼鏡をかけた。
「眼鏡?」
「こうしていないと、他の人たちに迷惑かけてしまうか
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