(自己管理のアウトソーシング)
副業として取り組んできた仕事が軌道に乗ってきて、そろそろ本業を辞めて副業に専念たい、という方からよくコーチングのご依頼をいただきます。本業と副業のダブルワークという段階をふむことなく、スパっとフリーランスになられる方もいらっしゃいます。こうした方からのご依頼としてタイトルに書いた「外注上司」のイメージでご相談いただくことがあります。
組織の中で働いていた時には上司・マネジャーとのやりとりがあったので強制力が働いたけれど、全てが自分の裁量でできるようになると自由すぎて取り組みが進まない、というわけです。
これはとてもよくわかります。
自分で目標を立ててそれなりに実行もするし、進捗のモニターもしている。
しかし、目標に至らなかったりサボってしまったりした時にそこに突っ込みを入れてくれる人がいないのでそのまま流されてしまう、ということになりがちです。
それなら、その「突っ込み」を入れるという上司やマネジャーの仕事をいっそアウトソーシングしてしまってコーチを外注上司として使えばいいのでは?という発想が出てくるのもうなずけます。
(なぜ外注上司がうまく機能しないのか)
ところが、この「マネジメントのアウトソーシング」という考え方はコーチングの枠組みの中ではうまく機能しません。
なぜでしょう?
まず、コーチはクライアントに対して権限を持ちません。組織の中だったら上司に当然与えられる給与やボーナスの査定、昇進や場合によっては配置転換といった権限が無いのでプレッシャーを与えられません。それどころか、取り組みがはかばかしくなくてコーチにそのことを報告するのも気が重く感じられたらクライアント側からコーチング自体をやめてしまうことも簡単です。
また、コーチはクライアントの行動に対して責任を取ることもできません。グループリーダーだったらグループの成果が上がらなかったらリーダーの責任が問われ、何からの対策を考えて実行メンバーに実行させたり、場合によっては成績の上がらないメンバーに変わってプレイングマネジャー的に直接サポートする必要があるかもしれません。ところがコーチングは原則として成果保証とか成果報酬といった考え方をとらず、特にライフコーチングではクライアントの取り組みについてコーチが知識や実績を持たないことが多いのでそもそも直接的なサポートはできません。
権限も責任もないという立ち位置で「管理」をする、というのはこのように二重に無理があります。
(ではどう考えればいいのか)
このような「外注上司」のイメージでご相談をいただいた時には
「かりそめの外部ツールなら」
とお答えすることにしています。
自身の中で自己コントロールのための「マネジャーモード」がうまく働くようになるまでの臨時のお助け、といった感覚です。
たしかに、自分で自分を客観的に見てコントロールするというのは難しいものです。それがうまく機能するようになるまで、その間「ご自身に代わって」お手伝いしましょう、というスタンスです。
(それはどのように機能するのか)
このような「かりそめの外部ツール」としてコーチングを活用する時のポイントは「言語化」つまり具体的に言葉として書いたり言ったりすることにあります。
目標達成のコーチングの流れは例えば次のようなステップをとります。
・達成目標を明確にする
・達成目標を実現するための具体的なステップとして行動目標を切り出す
・行動を実行する計画を立てる
・実行状況をモニターして記録する
・うまく行った時、それを後押しした要因を書き出す
・はかばしくなかった時にどうしたら次はうまくいくか創意工夫を書き出す
これを実行していく時に、コーチングという枠組みで進めていくには「対話」が前提となります。そのためには頭の中でまだ具体的なイメージになり切っていない、ぼやっとした感じや漠然とした状態もなんとか考えて言葉にしていく必要があり、その過程で状況を整理して捉えられるようになるわけです。
また、やるべことが決まったらそれを言葉にしてコーチと共有する、宣言するということも重要な意味を持ちます。言葉として宣言しているのに実行できていない、というのは居心地の悪いものなのでこのような言葉は自然に行動に向けてのプレッシャーとして働きます。
(タイトル画像の金剛力士像)
怒っている顔と言えば…
からの連想です。
形相もさることながら二の腕に浮き出た血管がまさに満身に力がみなぎっている様子をよく表しています。手に持つ密教宝具の「金剛杵(こんごうしょ)」は「煩悩を払い、集中力を高めるために使われ」るとされます。