命をたたむ

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コラム
俳優の西田敏行さんが亡くなった。
76歳という年齢で、年を重ねて円熟味が増した俳優だった。晩年は病魔との闘いの日々でもあったという。

そんな日々を過ごしながら、西田さんは亡くなる前に
「どう命をたたむか毎日考えてる」と話していたそうだ。

今日は、そんな「命をたたむ」という言葉を考えてみたい。

「たたむ」という言葉から連想されるのは、「会社をたたむ」「店をたたむ」など。「閉める」という意味だ。「会社を閉める(やめる)」「店を閉める(やめる)」という言葉に比べて柔らかなイメージを持つ。洗濯物を「たたむ」という別の意味合いの言葉もある。

「やめる」「閉じる」と「たたむ」の違いは何だろうか?

終わるときの丁寧さにあると思う。

濯も洗って干した衣類を取り込み、丁寧に畳むことで終了する。会社も店もただ、やめる、閉めるだけでなく、お客様、取引先、従業員に感謝して終える。それが「たたむ」ことだと思う。

畳んだ洗濯物の中に家族への気持ちを包むように、自分の人生に関わった人々に感謝する。その感謝の気持ちをきれいな布に包むことが、自分の「命をたたむ」ことだと思う。何も包まず、ただ見た目きれいに畳む(終える)のは生きてきた自分のことしか考えていない。

考えすぎだろうか。

包んだ気持ちは無くなるわけじゃない。消えるわけじゃない。丁寧にたたんで包む、伝えたい人に必ず届くと思いたい。

 西田さんの「どう命をたたむか毎日考えてる」に対して、私の答えが出た。

「自分の人生に関わった人への感謝の気持ちを丁寧にきれいに包んで自分の命を終える」

最後は「ありがとうございました」と言って、笑って終わりたい。



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