理学療法士が解説する簡単に理解できる腱障害の病態について

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腱付着部障害は多くのスポーツ選手が悩まされている障害の一つであり、ジャンパー膝やオスグットシュラッター病などのように、繰り返しの外力が患部にかかり続けることで発症しやすくなります。

腱障害を把握するうえで熟知したい知識

腱付着部に対する保護機能のために、滑液包や腱実質、線維軟骨組織などが1つの器官として捉えることをEnthesis organ conceptと呼んでいます。
この器官は病態を把握するうえで非常に重要となります。

腱付着部の構造について

1つの例として挙げられることが、腱付着部の4層構造です。
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大きく線維組織、線維軟骨組織、骨組織と大別され、線維軟骨組織は石灰化線維軟骨層と非石灰化線維軟骨層に分けられます。
非石灰化線維軟骨層は圧迫ストレスに強く、石灰化線維軟骨層は牽引ストレスや剪断ストレスに強いです。
しかし、線維軟骨層は血管や神経に乏しいため、軟骨と同様に損傷組織修復能力は低いです。
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今回は理解しやすいように4層構造を完全に分けてお伝えしていますが、実際はこれらの層は複雑に絡み合いながら構成されています。

また、この4層構造のほかにもEnthesis organを構成する組織は存在します。
様々な組織の存在により、腱の運動は保護されています。

腱障害の発生メカニズム

筋腱の収縮運動により、付着部には牽引ストレスが生じます。
このストレスを減少させるために骨が関節運動時に滑車の役割を行い、ストレスを減少させる機能があります。
これを Wrap around構造と呼びます。
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しかし、繰り返しの外力が度々重なると滑車付近での圧迫力がかかり続けるという問題が生じます。
始めは軟骨化生といって、組織の変化が生じることで圧迫力に適応しますが、これが耐え切れなくなると、この部分が損傷しやすくなります。
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この構造は全身のいたるところで見られますが、特に例として挙げられやすい箇所は踵骨部が関与するアキレス腱炎や、膝関節が関与するジャンパー膝やオスグットシュラッター病などです。

腱障害の症状について

腱障害の症状が運動時痛や患部の圧痛がメインです。
進行度の分類としてBlazina分類が一般的に用いられています。
Stage1で病院に受診する人は少なく、多くの人はStage3の状態で受信し、治療に難渋することが多いです。
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まとめ

以上が腱障害のメカニズムの解説となります。
Enthesis organ conceptは腱障害を理解するうえで必須な知識で、これを理解するだけでも臨床への大きなヒントになります。
この知識をもとにしたいくつかの治療法がありますが、具体的な方法に関しては別の記事でご紹介していきますので、またご覧ください。

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