「尽くす女は捨てられる?」の本当の理由

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恋愛系のコラムなどを読んでいると、時折「尽くす女は捨てられる」なんて、ちょっと残酷な言葉を目にすることがあります。

「相手のことを思い遣るのが愛だと言われるのに、相手のことを思って尽くせば愛が壊れてしまう……なんて理不尽な!」とつい反論したくなってしまいますが、諸説あれどこれは実は、心理学的に理にかなった部分もある法則なんです。

どんなことでも、最終的にはバランスの問題だとは思いますが、今回は"相手に過剰に尽くしすぎてしまう人"が、どんなパターンに陥ってしまっているのか、ということを私なりに少しお話してみようと思います(*^_^*)


ベストセラーになった『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健 共著)などでお馴染みのアドラー心理学では、人が生きてゆく上での幸福感の鍵は"他者貢献感"であるとしています。 

人は誰でも本来、「人に優しくありたい、人や社会の役に立つことで、自分の価値を実感したい」という気持ちを持っているもの。

これは「貢献することにより他者から認められたい」という"承認欲求"とは少し異なり、相手の反応はどうあれ自分自身が自分の価値を実感できるかどうかが問題になります。

特に好きな人、大切な人であればこそ尚更、優しくしたい、役に立ちたい気持ちというのは大きくなるものではないでしょうか?

しかし何らかの事情によりこれを叶えることが難しい場合、"反動形成"という心の動きにより、相反する行動に向かってしまう場合もあります。 

よく幼い男の子などが「好きな子ほどいじめたい」というのは、愛を素直に表現することが、気恥ずかしさや劣等コンプレックスなどによって、本人の中でどうしても難しいことから生まれる、反動の行動なんですね。 


さてそして、相手に尽くして何でもしてあげるタイプの人というのは、相手の役に立つことや、相手に「ありがとう」と感謝されることで、実は相手を通して自分を満たしているわけです。 

特に、ありのままの自分の価値を高く感じられない人は、他者貢献の行為によって自分の価値を確認しようとすることもあります。 

人の役に立つことのひとつひとつ自体は、与える側も受け取る側もお互いに満たされるのであれば、勿論とても素晴らしいことです。 

ですが、もしも与える側が過剰になってしまいバランスが崩れてしまった場合、自分が「良かれ」と思ってしたことが相手の望みとはズレていた場合、相手の立場に立ってみるとどうでしょうか? 

実は、何でもしてくれる、尽くしてくれるパートナーを持つ人は、パートナー間での活躍の場が相手にすべて奪われてしまう形になり、自らの価値をだんだん実感できなくなってしまう可能性があるのです。 

この目に見えない重圧が、やがてパートナー間で相手の居心地の悪さを生み出してしまい、尽くしているのに感謝をされない、どころか、邪険に扱われてしまう、最終的には離れていかれてしまう……などという結果を引き寄せてしまうことも。 

それぞれに得意分野・苦手分野はあれ、好きな人の役に立ったり感謝をされたい気持ちは、男性も女性も同じ。 

"尽くす"こととは行動的には逆のようですが、「相手に活躍の場を残してあげる」ことも、優しさのひとつです。 

「尽くす女は愛されない」と対になるように「甘え上手な女は愛される」ともよく言われるのは、甘え上手な女性というのは、相手の得意分野を見極めて、彼の活躍の場を上手にコーディネートする能力に長けているからかもしれませんね。 


また、対人関係について"力の法則"(Kieslerの対人円環)というものがあります。 

これは「一方が支配的になると相手は服従的に、服従的になると相手は支配的になる」というもの。 

前者はなんとなくわかると思うのですが、問題は後者。 

つまり、「相手に対して自ら過剰に服従的になってしまう人は、周りの人間を支配的に変えてしまう可能性もある」ということです。 

よく、以前のパートナーからDVを受けていた人が新しい人と付き合っても、またDVを受けてしまうというケースがありますが、これは単純に相手の選び方や異性運というだけの話ではなく、こういった法則が関係している部分もあるんですね。 

だから、尽くしてくれすぎるパートナーに対しては「自分が支配的で優しくない人になったり、ダメンズになってしまう」前に、何かを察知して離れていってしまう人もいるでしょうし、付き合い続ける人はだんだんダメンズ度を増していってしまう……ということも起こってきます。 

勿論、パートナーである以上ふたりの問題なので、どちらかに100%原因があるという話ではありませんが、どちらかが"変わる"選択をしなければ、なかなか健全なパートナーシップを育てることは難しいのではないかなと思います。 

パートナーとお互いに心地良いバランスで支え合える、幸せな関係を築けたら素敵ですね。


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