「持ち上げる」のをやめたら、介護はもっと楽になる。

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コラム
「ベッドから車いすへ移るのが重くて大変……」
「腰を痛めてしまいそう……」
​そう悩んでいる方に、私から伝えたいことがあります。
介護で大切なのは、あなたがどう持ち上げるか(技術)ではなく、「人はどうやって動いているのか?」を再現することにあります。

「お辞儀」は魔法のスイッチ

​まず、立ち上がりの介助をする前に、自分の方に深く「お辞儀」をする姿勢をとってもらってください。
​実は、力いっぱい引き上げる必要はありません。立ち上がりの動作を細かく分けると、以下のようになっているからです。
​①頭を前に倒す(お辞儀)
​②重心がお尻から足の裏へ移動する
​③お尻が浮き、足が伸ばせるようになる
​④背中が伸びて立ち上がる
​この「重心移動」の順序をなぞってあげるだけで、驚くほどスッと立てます。ご本人が今まで何十年も行ってきた「自然な動き」を、手伝って再現してあげる。これだけで、介護者もご本人も驚くほど体が軽くなります。

無理に持ち上げる必要ありますか?

なぜがこの国の介護は「どう持ち上げるか」に焦点が行きがちで、担いでみたり、背負ってみたり、どう考えても自分の身体の使い方ばかり考えているような気がします。
もし、全く足に力が入らないのであれば、迷わず介護リフトを使いましょう。日本ではまだまだ普及していませんが、福祉先進国と言われる北欧やオーストラリアでは当たり前のように使っています。
10年近く前にオーストラリア研修へ行かせてもらった時、一番驚いたのは施設に介護リフト置き場があった事です。介護リフトを置くための専用スペースが設計の段階から取り入れられているという事になりますよね。
介護リフトは利用者にとっても安全で、私たちにとっても優しい道具です。
施設が買ってくれない。上司が理解してくれない。まだ色々と問題はありますが、今の私たちから意識を変えていく必要があると思います。
オーストラリア研修の事はまた後日ゆっくりと。

​その「起き上がり介助」も、実は不自然かもしれませんよ?

​この「自然な動きを再現する」という視点で見ると、今の介護のスタンダードさえも疑問が見えてきます。
​例えば、ベッドから起き上がる時。多くの現場では「頭の後ろに手を入れて、半回転させて起こす」やり方が教えられますが、実はこれ、人間本来の動きとは逆の回転を強いていることが分かります。
​本来、人は足をベッドから降ろしながら、頭を「足の方」へ向けて半回転すように起きます。是非自分でやってみて下さい。
人は経験した事のない不自然な動きを強いられると、恐怖感から体に力が入ってしまい、結果として「重く」感じてしまうのです。つまり、自分の身体に負担がかかるやり方で起こしている事になりませんか?

​アセスメントってなに?

​「動作を細かく分け、何ができて何ができないかを見極めること」
これこそがアセスメントの真髄です。
​アセスメントツールを使い難しいチェックシートを埋めることではなく、「今日は頭の倒しが浅いな」「足裏に重心が乗っていないな」「この人にはこんなケアが必要では?」と観察し、その場で修正、実践する。現場の介護士さんが日々無意識にやっているその「調整と提案」こそが、最高のアセスメントなんです。実はもう皆さんは日々アセスメントをやっているんです。
​もし今、介護しながら「重い」「腰が痛い」と感じているなら、一度「持ち上げる」のを忘れてみてください。
「人はどう動きたいのか?」
その答えは、あなた自身の体の動きの中に隠されています。

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