部下に注意できないのは、優しすぎるからだけではない

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コラム
リーダーになると、部下や後輩に注意しなければならない場面があります。

やるべき仕事が進んでいない。
お願いしたことをやってくれない。
周りのスタッフへの言い方がきつい。
取引先への態度がよくない。
同じ職場のメンバーを軽く見たり、悪口を言ったりしている。

本来なら、リーダーとしてきちんと伝えなければいけない。

でも、実際にその立場になると、これが想像以上に難しいです。

「言わないといけないのは分かっている」
「でも、どう言えばいいか分からない」
「強く言いすぎて関係が悪くなったらどうしよう」
「辞めると言われたら困る」
「自分がまだ若いから、強く出ていいのか分からない」

そんなふうに、頭の中で何度も考えてしまうことがあります。

私自身も、若手で現場の責任者になった頃、部下に注意することがとても苦手でした。


注意したいのに、言えなかった


当時の私は、まだ20代半ばでした。

現場の人数も少なく、一人ひとりの存在が大きい職場でした。
そんな中で、気が強い若手スタッフに対して、どう接すればいいのか分からず悩んだことがあります。

やるべき仕事をお願いしても、

「やりたくないです」
「やる時間ないです」
「そんなことするなら辞めます」

と言われることがありました。

他のスタッフと話し込んでいて、やるべき仕事が進んでいない。
周りへの言い方がきつい。
取引先への態度がよくない。
同じ店舗のメンバーに対して、バカにするような言い方や悪口が出る。

本来なら、その時点でリーダーとして伝えるべきでした。

でも、当時の私はうまく言えませんでした。

理由はいくつかあります。

まず、辞められるのが怖かった。
少人数の現場だったので、一人抜けるだけでも現場が回らなくなる不安がありました。

次に、関係が悪くなるのが怖かった。
注意した結果、さらに反発されたり、空気が悪くなったりすることを考えると、言葉が出なくなる。

そして、自分自身がまだ若かったこともあります。

自分はリーダーであり、先輩でもある。
でも、どこか相手に舐められているように感じる。

その感覚に腹が立つ一方で、どう振る舞えばいいのか分からない。

今振り返ると、かなり未熟だったと思います。


フレンドリーさと、なぁなぁの関係は違う


もう一つ、大きな反省があります。

それは、最初の関わり方です。

当時の私は、できるだけフレンドリーに接しようとしていました。
話しかけたり、冗談を言ったり、少しおどけてみたり。

距離を縮めた方が、関係がよくなると思っていたんだと思います。

もちろん、リーダーが話しかけやすい雰囲気を作ること自体は大切です。
威圧的で、近寄りがたいだけのリーダーが良いとは思いません。

ただ、フレンドリーであることと、なぁなぁになることは違います。

こちらは「親しみやすく接している」つもりでも、相手からすると、仕事上の線引きが曖昧に見えていたのかもしれません。

実際、こちらが話しかけても、

「はいはい、うるさいうるさい」
「意味わからん」

のように返されることがありました。

そのとき、心の中では思っていました。

「自分はリーダーで、先輩でもあるのに、これはさすがに舐められているな」と。

でも、そこで注意できなかった。

なぜなら、最初の関係性を自分で曖昧にしてしまっていたからです。

一度なぁなぁの関係になってしまうと、あとから急に立場を切り替えるのは難しいです。


「店長として言うよ」と前置きしても、簡単には変わらない


その後、面談の場などで、少し踏み込んで伝えようとしたこともありました。

「今から店長として言うよ」
「ここからは立場としての話をします」

そんなふうに前置きをして、仕事上の話として伝えようとしました。

これは、当時の自分なりには考えた対応でした。

普段の関係性のまま言うと軽く流される。
だから、今は雑談ではなく、立場として伝えているのだと明確にしようとした。

ただ、正直に言うと、大きな効果があったとは思えません。

一度崩れた関係性を、その場の言葉だけで立て直すのは難しい。
最初の入り方を間違えると、後から修正するにはかなりエネルギーが必要になります。

これは、今でも強く感じています。

リーダーになったばかりの頃ほど、嫌われたくない。
怖い人だと思われたくない。
話しやすい人でいたい。

そう思うのは自然です。

でも、最初に伝えるべき基準まで曖昧にしてしまうと、後から注意するのが本当に難しくなります。


注意できないと、周りのスタッフも苦しくなる


部下に注意できない問題は、その人との関係だけで終わりません。

周りのスタッフも見ています。

やるべき仕事をやらない人がいる。
態度が悪い人がいる。
他のメンバーにきつい言い方をする人がいる。
でも、リーダーが注意しない。

そうなると、真面目に働いている人たちの中に不満が溜まります。

「あの人は許されるのに、自分たちはちゃんとやらないといけないのか」
「リーダーは見ているのに、何も言ってくれないのか」
「結局、言ったもの勝ちなのか」

こういう空気が生まれることがあります。

これはかなり怖いです。

一人の問題行動を放置しているつもりが、実際にはチーム全体に影響している。
注意しないことで、その人だけでなく、真面目に働いている人のモチベーションまで下がっていく。

つまり、注意できないことは、優しさでは済まなくなります。

リーダーが守るべきなのは、問題を起こしている一人との関係だけではありません。
現場全体の空気、基準、真面目に働く人が報われる環境も守らなければいけない。

ここを当時の私は、まだ十分に分かっていなかったと思います。


注意とは、相手を責めることではない


当時の私は、注意することをどこかで「相手を責めること」だと感じていたのかもしれません。

だから怖かった。

嫌われるかもしれない。
反発されるかもしれない。
辞めると言われるかもしれない。
関係が悪くなるかもしれない。

でも、今振り返ると、注意とは相手を責めることではありません。

注意とは、現場で守るべき基準を伝えることだと思います。

たとえば、

やるべき仕事は進める。
周りのスタッフを尊重する。
取引先に失礼な態度を取らない。
チームの中で最低限のルールを守る。
真面目に働く人が損をしない状態を作る。

こうした基準を、リーダーは言葉にする必要があります。

もちろん、感情的にぶつければいいわけではありません。
怒鳴ったり、人格を否定したり、力で押さえつけたりするのは違います。

ただ、言い方を考える前に、まず整理すべきことがあります。

それは、

自分は何に怒っているのか

ではなく、

自分は何を守りたいのか

です。

この整理がないまま注意しようとすると、言葉が弱くなります。
逆に、感情が乗りすぎて強くなりすぎることもあります。


 部下に伝える前に、整理した方がいいこと


部下に注意できないとき、いきなり「どう言えばいいか」を考えがちです。

でも、本当はその前に整理した方がいいことがあります。

まず、事実として何が起きているのか。

自分がただ不快に感じているだけなのか。
それとも、業務や周囲に具体的な影響が出ているのか。

次に、その行動によって誰が困っているのか。

自分だけなのか。
他のスタッフなのか。
取引先なのか。
チーム全体なのか。

そして、相手に何を変えてほしいのか。

「態度を改めてほしい」だけでは曖昧です。
具体的に、どの行動をどう変えてほしいのかまで整理する必要があります。

さらに、それはリーダーとして伝えるべきことなのか。

個人的な好き嫌いなのか。
現場の基準として伝えるべきことなのか。

この整理をしないまま伝えると、相手からすると「結局、何を言いたいのか」が分かりにくくなります。

一方で、ここが整理できていると、伝え方はかなり変わります。

「あなたが嫌いだから言っている」のではなく、
「この現場で一緒に働く上で、この基準は守ってほしい」と伝えられるからです。


最初の関係づくりは、思っている以上に大事


若手リーダーほど、部下との距離感に悩むと思います。

厳しくしすぎると嫌われるかもしれない。
優しくしすぎると舐められるかもしれない。
フレンドリーでいたい。
でも、なぁなぁにはなりたくない。

このバランスは本当に難しいです。

ただ、今の自分が当時の自分に伝えるなら、こう言うと思います。

最初から完璧なリーダーである必要はない。
でも、最初に「この現場で大切にしたい基準」は伝えておいた方がいい。

仲良くすることと、基準を曖昧にすることは違う。

フレンドリーであることと、何でも許すことは違う。

話しやすいリーダーであることと、何も言えないリーダーであることは違う。

部下との関係を大切にするなら、なおさら、守るべきラインは言葉にしておいた方がいい。

そう思います。


一人で抱え込む前に、整理する場があってもいい


部下に注意できないとき、リーダーは一人で悩みがちです。

上司に相談するほどでもない。
でも、自分ではどう言えばいいかわからない。
相手に辞められるのも怖い。
関係が悪くなるのも怖い。
周りのスタッフからの不満も感じている。

そんな状態で抱え込むと、どんどん動けなくなります。

だからこそ、部下に伝える前に、一度外に出して整理することには意味があると思います。

何が起きているのか。
何に困っているのか。
何を守りたいのか。
どこまでが自分の感情で、どこからが現場の基準なのか。
相手にどう伝えるのが現実的なのか。

それを整理するだけでも、次の一手は見えやすくなります。

私のサービスでは、初めてのリーダー・店長・現場責任者の方に向けて、社内では話しづらい悩みを一緒に整理し、明日からできる打ち手まで考えています。

部下に注意できない。
伝え方がわからない。
自分の判断が合っているのか不安。
このまま放置していいのか分からない。

そんなときの壁打ち相手として使ってもらえたら嬉しいです。

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