眠れない夜が続いていますか。
「薬を飲むのが怖い」「頼っていいのかわからない」——そう感じながら、
処方された薬をただ眺めていた夜がありました。
これは、その夜の記録です。
小さな袋の中に、いくつかの錠剤が入っていました。
「これを飲めば、眠れるようになります」
そう言われても、すぐには手が動きませんでした。
怖かった。眠くなることが怖かった。
飲んだら、何かが変わってしまう気がした。
そして何より、このまま目が覚めなかったらどうしようと、本気で考えていました。
人生で初めて、眠るために薬を飲む夜でした。
1. 飲む前から、頭の中は最悪の想像でいっぱいだった。
眠剤なんて、今まで生きてきて一度も飲んだことがありませんでした。
処方された時、医師からこう言われました。「副作用で日中にも眠気が残る場合があるので、翌日の運転は控えてください」と。
体への負担のことを、いろいろ考えました。
日中ずっと眠くなったら。
体がおかしくなったら。依存したら。
完璧主義の脳は、飲む前からあらゆるリスクを並べ始めていました。
でも、そんなことより。
寝れずに、考えたくもないことを考えてしまう時間のほうが、ずっとつらかった。
それだけが、飲む理由でした。
2. 飲み始めてからの現実
飲み始めた最初の頃は、やはり眠気が強かったです。
日中もずっと頭がぼーっとする。
カーテンだけ開けて20点を獲得し、気づいたら夕方になっていた日もありました。
初めての薬に体も過剰に反応しているようで、効き目が予想以上に強かったように感じます。
「回復のために休んでいるはずなのに、薬のせいで何もできない。」
そうやって、また自分を責め始めていました。
でも今思えば、あのぼんやりした時間も、体が必死に回復しようとしていた時間だったのだと思っています。
3. 抗不安剤との葛藤
眠剤とは別に、抗不安剤も処方されていました。
でも最初、私はその薬を飲むことをためらっていました。
理由は一つです。
体がその薬に慣れてしまって、薬なしでは生きていけなくなる状態になるのが怖かったから。
よほどのことがない限り控えよう、と勝手に決めていました。
でも、不安は勝手にやってきます。
特に夕方から寝るまでの時間。
急な動悸、理由のない不安感。
その波は、自力では太刀打ちできませんでした。
何度か我慢しましたが、限界が来て、仕方なく飲みました。
飲んだ後、動悸が治まっていきました。
無敵になれた気がした。
気休めなのかもしれない。
でも、あの夕方の不安の波に飲み込まれずに済んだ。
それだけで十分でした。
4. これでいいのか、という問いと、その答え
薬を飲み続けながら、ふとこんな考えが頭をよぎることがありました。
「これでいいのか。薬に頼って、ただ寝ているだけの自分は、サボっているだけではないか。」
頭では分かっていました。今は休む時間だと。でも、薬を飲んでいることへの罪悪感と、何もできていないことへの焦りが、ぼんやりした頭の中にじわじわと滲んできました。
でも、ある時気づいたのです。無理に動こうとする方が、回復を遠ざけていると。
ぼんやりしているのは、体が「今は休む時間だ」と正直に反応しているサインだったのかもしれない。そう思えるようになったのは、少し時間が経ってからのことでした。
服用を続けていると、体も少しずつ慣れてきました。日中の眠気は、最初に比べるとほんの少しだけ減ってきた。カーテンを開けて、水を飲んで、それだけで終わっていた朝が、少しずつ違う形になっていきました。
劇的な変化ではありません。でも、確かに何かが変わっていた。
薬を飲んでいた期間は、怠けていた時間ではありませんでした。
体が回復するための、静かな準備期間だったのだと、今は思っています。
5. 最後に
これは、薬を勧める話でも、怖がらせる話でもありません。
ただ、あの夜手のひらに乗せた錠剤を、怖いと思いながらも飲んだ自分の記録です。
もし今、処方された薬を前に戸惑っているなら。飲むことへの罪悪感や恐怖は、あなただけが感じているものではありません。
飲んでいい。
頼っていい。
それは弱さではなく、自分を守るための判断です。
焦らなくていい。あなたのペースで、少しずつ。