医療経験がグループホームでの家族トラブルを回避できた話

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4月は県外に住む娘たちが遊びに来てくれて、南九州・宮崎と鹿児島の観光地をドライブしながら過ごしました。共働きで夜勤をこなしながら子育てし、少しずつ貯めたお金で家族旅行に行ったあの頃があったからこそ、今こうして大きく育った娘たちと旅ができるんだなと、しみじみ感じています。
今回は、介護の現場で経験した「グループホームでの医療知識が家族トラブルを回避した」出来事をお話しします。

グループホームへの配属
宮崎に帰省後、最初に勤めた社会福祉法人では、居宅介護支援のケアマネとして希望入職しましたが、配属されたのはグループホーム(認知症高齢者施設)でした。
愛知県での居宅ケアマネ時代に在宅の認知症高齢者を巡って施設や家族と話し合いをした経験、地域包括でキャラバンメイトとして認知症サポーター養成講座の講師を務めた経験もあり、「認知症の現場を知ることは良いことだ」と前向きに配属を受け入れました。

一本の相談から始まった
約1年後、女性の入所者を受け入れてから数週間が経ったころ、介護職員から「右足の親指に傷ができている」と相談を受けました。
看護師の経験もあるため、すぐに傷の処置をしながら以下を確認しました。

靴のサイズや状態
歩行状況
腫脹・熱感・疼痛・発赤・機能障害の有無

かかりつけ医を受診し、さらに整形外科にもつないで処方と処置方針を確認しました。ところが経過は長引き、医師の診断は閉塞性動脈硬化症(ASO)。下肢の切断を勧められる事態になりました。

長女からのクレーム
ここで長女から強いクレームが入りました。「早く病院に連れて行かなかったからこうなった」というものです。
私には循環器・血管外科での臨床経験があり、糖尿病や透析患者でなくても一定数のASO患者が存在することは知っていました。しかし、今回の方がどの程度進行しているのか、切断以外に血管治療(EVT・PTA)で回避できる可能性はないか、まずそこを調べることにしました。
EVTが可能な医療機関を探して直接連絡を取り、可能と確認できた時点で家族に報告。整形外科から紹介状を書いてもらい、カテーテル治療ができる循環器の病院へ家族と一緒に受診し、EVT目的での入院治療方針が決まりました。

入院当日、急変
入院予定日までの間も、下肢の血行は急激に悪化していきました。歩行できていた方が寝たきりになり、足趾の血行も悪化、足背周辺に皮膚壊死が始まっていました。
入院当日は長男と一緒に病院へ向かいました。クレームを入れた長女とは、あれ以来一度も話していません。
動脈硬化は長期にわたって進行するものです。グループホームへの入所前は独居で、長女が面倒を見ていたとのことでしたが、それ以前の受診状況や服薬、食事・運動などの詳細な情報を、入所して数か月の段階で正確に把握することは非常に難しい。ましてや、個人情報保護の壁があるなかで、ケアマネが医療情報を収集することには限界があります。

その夜、旅立たれた
入院し、翌日に治療という前日の夜、その方は病院で静かに旅立たれました。
「入院治療の予定がもう数日早ければ」と、今でも思います。認知症の高齢の親を持つご家族として、さまざまな心境があったことは想像に難くありません。

この経験から感じたこと
ケアマネという仕事に求められるものは、非常に多岐にわたります。

医療的な知識(疾患の経過予測、医師・看護師との対話)
社会福祉制度の理解(本人・家族の経済的負担の軽減)
権利擁護(独居高齢者の意思決定支援)
介護認定・介護サービスへの深い理解

医療経験を持たないケアマネは6割以上いると感じます。そのような方々が、病状の経過から将来を予測し、医師や看護師と対等に話し合い、家族の同意を得ていくことは、相当ハードルが高いのが現実です。
この経験は、ケアマネに必要な知識と経験の深さを改めて実感させてくれた、忘れられない出来事でした。
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