皆さん、こんにちは。
ブログ開始当初は潤沢にあったストック原稿も、最近の忙しさで底を突きかけ……実は今、アップ前日に必死にキーボードを叩いています(笑)。
皆さんは、「ペイシェントハラスメント(ペイハラ)」の被害を受けたことはありませんか?
おそらく、ほとんどの医療従事者が、大なり小なりその被害を受けたことがあるのではないかと私は考えています。
第8回ではペイハラの態様や基本対応について触れましたが、今回からは数回にわたり、私が実際に体験した「7カ月に及ぶ、ある家族との壮絶な闘い」のエピソードを紹介します。
行き当たりばったりの執筆になりますが(笑)、現場で戦う皆さんの参考になれば幸いです。
【ペイハラは「カスハラ」の一種である】
病院では「ペイハラ」と呼ばれますが、厚生労働省の定義ではカスタマーハラスメントの一つの態様とされています。
基本的な考え方はカスハラと同じで良いのですが、医療現場には「応召義務」という特有の壁があります。
これが毅然とした対応を躊躇させ、結果として対応が長期化し、現場が疲弊し続けるケースが非常に多いのです。
今回の事例も、入院患者さんのご家族によるハラスメントが、通算7カ月に及んだ重いケースです。
【現場を疲弊させる「揚げ足取り型」】
ある日、私のPHSに2名の医師からほぼ同時に相談が入りました。
対象は入院中の患者Aさん。ほぼ寝たきりで意思疎通が困難な状態でしたが、そのご家族(B氏としましょう)からの執拗なクレームに、医師たちが悲鳴を上げていたのです。
インフォームドコンセント(IC)を行おうにも、B氏は医師の説明の揚げ足を取り続け、日程調整すらままなりません。
私はすぐにカルテを精査しました。
Aさんは数日前に系列病院から転院してきたばかり。
B氏は「系列病院と当院で説明が食い違っている」「情報共有ができていない」と猛抗議し、謝罪した医師の言葉尻を捉えて「納得できない。キーパーソンとして診療は受けさせない」と騒いでいたのです。
それだけならまだしも、B氏は数分おきに病棟へ電話をかけ続け、医師や看護師の業務を物理的にストップさせていました。
【カルテから漂う「違和感」】
医師からは「B氏を説得し、ICの日程を調整してほしい」と頼まれ、私はさらに深くカルテを読み込みました。
しかし、読み進めるほどに、私は強い違和感と、この対応の困難さを予感しました。
B氏の言動には、医療現場を自分の思い通りにコントロールしようという意図が透けて見えました。
要求が通らなければ、患者であるAさんを「人質(盾)」にして診療を停滞させる――。
その要求の裏には金銭的な思惑があるのか、あるいは……。
驚くべきことに、B氏は患者の適正な管理を望んでおらず、むしろ「じわじわと状態を悪化させること」を目論んでいるのではないか、とさえ感じられたのです。
【まずは「敵」を知ることから】
カルテ情報はあくまで参考。
私は、Bという人物の「正体」を直接確かめるため、受話器を取りました。
この電話がこれから続く長い対応の始まりだったのです。
(その2へ続く)