「高3になったし、そろそろ受験勉強を始めないと」
そう思って、とりあえずネットで「参考書 おすすめ」と検索する。
よくある光景ですし、その気持ちはとてもよくわかります。でも、いきなり参考書を選ぶ前に、もっと大事なステップがあります。
■ 最初にやるべきことは「自分の現状を知る」こと
受験勉強を始めようとするとき、多くの人が「何をやるか」から考えます。でも本当に最初にやるべきなのは、「今の自分がどこにいるか」を把握することです。
同じ「英語が苦手」でも、中学レベルの文法があやしい人と、長文の読み方がわからない人では、やるべきことがまったく違います。現状を把握しないまま参考書を選ぶのは、症状を確認せずに薬を飲むようなものです。
では、どうやって現状を把握するか。模試の結果がある人は、総合点や偏差値や判定だけでなく大問ごとの得点率を見てください。たとえば英語なら、文法問題と長文問題のどちらで落としているかによって、取り組むべき内容はまったく変わります。
模試を受けていない人も大丈夫です。まずは次のことを、科目ごとに自分に問いかけてみてください。
・その科目の、どのあたりまでは「わかる」と言えるか?
・どのあたりから「あやしい」「わからない」になるか?
・ふだんの勉強で、その科目にどれくらい時間を使っているか?
・学校の授業にはついていけているか? どの科目が厳しいか?
まずは「だいたいこのへん」でも、紙に書き出してみると、頭の中だけで考えているよりずっと整理しやすくなります。大切なのは、漠然とした不安を具体的なものに変えること。それだけで、やるべきことの輪郭が見えてきます。
■ 現状がわかったら、優先順位を決める
自分の立ち位置がなんとなく見えたら、次は「どこから手をつけるか」を考えます。ここでのポイントは、全科目を同時に始めようとしないことです。
優先順位を決めるときの基本的な考え方は、「志望校の配点が大きい科目」と「今の自分との差が大きい科目」の掛け合わせです。配点が高くて、かつ伸びしろが大きいところから手をつけるのが、限られた時間を最も有効に使う方法です。
たとえば、英語の配点が高い大学を志望していて、英語が苦手なら、英語の優先度は高い。一方、得意な科目をさらに伸ばすのは、苦手科目を底上げするより時間対効果が小さいことが多いです。「好きな科目ばかりやってしまう」というのは受験生あるあるですが、戦略的に考えると、苦手科目にこそ時間を振る価値があります。
参考書選びは、この優先順位が決まった後の話です。順番を間違えると、「良い参考書を買ったのに続かない」「なんとなく勉強しているのに成績が上がらない」ということが起こります。それは参考書が悪いのではなく、今の自分に合った選択ができていないだけです。
■ 「とにかく何か始めたい」人へ:入門レベルの問題集を解いてみる
現状把握が大事なのはわかった。でも、分析ばかりしていないで早く手を動かしたい。そう感じている人もいると思います。
そんなときにおすすめなのは、大学入試の入門レベル、高校1年生が取り組むような問題集をまず1冊解いてみることです。
正解率が低ければ、入門レベル、場合によっては中学校レベルの内容に穴があるとわかります。それだけで「自分が今やるべき勉強のレベル感」がかなりはっきりします。
一方、スラスラ解ける場合でもやる意味はあります。基礎の復習になるのはもちろんですが、それ以上に大事なのは、できていることを「客観的な事実」にできることです。「たぶんできるだろう」と思っているのと、実際に解いて正解した記録があるのとでは、次のレベルに進むときの確信がまったく違います。
成績を上げていくうえで、「自分の実力を客観的に確認する」という作業は避けて通れません。入門レベルの問題集はそのいちばん取り組みやすい入口です。手を動かしたいなら、ここから始めてみてください。
■ 「自分で決める」が難しいのは、ふつうのこと
ここまで読んで、「なるほど、でもそれを自分でやるのが難しいんだよ」と思った方もいるかもしれません。
その感覚は正しいです。自分の学力を客観的に把握して、優先順位を決めて、適切な教材を選ぶ。これは、勉強ができるかどうかとは別の、「戦略を立てる」という力です。最初から一人で完璧にできなくて当然です。
ただ、この「自分の現状を見て、そこから筋道を立てて考える」という習慣は、受験勉強を通じていちばん身につけてほしい力でもあります。最初は誰かの手を借りながらでも、だんだん自分でできるようになれば、それは受験が終わった後もずっと使える力になります。
もし「自分の現状をどう判断すればいいかわからない」「優先順位の決め方がピンとこない」と感じたら、一度、勉強の専門家に相談してみるのも手です。一回話すだけで、「まずこれをやればいいんだ」という道筋が見えることは多いです。
一人で抱え込まず、うまく人の手を借りながら、あなたのペースで始めてみてください。