1. 磁石を切り刻んでも「片方」だけにはならない
もし、あなたが磁石の「N極」だけが欲しくて、邪魔な「S極」を切り落としたとしたらどうなるでしょうか?
切り離された瞬間、残った磁石には再び新しい「S極」が現れます。
同様に、1枚のコインの表側をいくらスライスして裏側だけにしようとしても、残ったコインにはすぐに「表と裏」が現れます。
どれだけ取り除こうとしても、この世界の構造として、対極となる2つのもの(二極)は常にセットで存在するようになっているのです。
私たちの人生もこれと同じです。
「豊かさ」だけを手に入れて「貧しさ」を消し去ろうとしたり、「安心」だけを握りしめて「不安」を捨てようとするのは、
磁石を半分にしてS極だけにしようとするのと同じくらい、物理的に不可能な努力なのです。
2. プラスの観測はマイナスを同時に生む
ではなぜ、心の二極は同時に生まれるのでしょうか。
それは、私たちが何かを「手に入れた(➕)」と観測した瞬間に、その対極にある「失う恐怖(➖)」が物理的な必然として発生するからです。
あなたが強く「プラス」を望めば望むほど、同じ強さの「マイナス」があなたの世界にセットされます。
例えば、あなたが「今の生活は豊かだ」と心から感じられるのは、かつて経験した、あるいは想像できる「貧しさ(不自由さ)」という比較対象があるからです。
もし、この世界に『豊かさ』しか存在しなかったら、誰もその価値を観測することすらできません。
世界に自分1人しかいなければ、自分の長所や短所を理解することができないのと同じです。
あなたが「豊かさ」を感じているその瞬間、実はあなたの内側には、その豊かさを測るための「貧しさ」という物差しも同時に生まれるのです。
具体的に、私たちの日常でこの二極性がどのように「セット」で現れているかを見てみましょう。
【恋愛】
「運命の人に出会えて幸せ!」という絶頂感 ↔ 「もし嫌われたら、失ったらどうしよう」という喪失への深い恐怖
【お金】
「臨時収入でお金が増えた!」という充足感 ↔ 「これを使ったらまた無くなる、稼ぎ続けなきゃ」という欠乏の不安
【仕事】
「大プロジェクトを任された、期待されている!」という誇り ↔ 「失敗して評価を下げたら終わりだ」という重圧
【育児】
「我が子が愛おしくてたまらない」という無償の愛 ↔ 「この子に何かあったら生きていけない」という生存の不安
【健康】
「体が軽くて絶好調だ!」という快感 ↔ 「いつか病気になったら、老いて動けなくなったら」という衰えへの不快感
【承認】
「SNSでたくさんの称賛をもらえた!」という高揚感 ↔ 「いつか飽きられる、叩かれるかもしれない」という拒絶への焦り
【自由】
「会社を辞めて自由になれた!」という解放感 ↔ 「誰も守ってくれない、明日の保証がない」という不安定さへの恐怖
【挑戦】
「新しい世界へ踏み出すぞ!」という希望 ↔ 「未知の世界で失敗したくない」という自己防衛
【所有】
「理想のマイホームを手に入れた!」という満足感 ↔ 「多額のローンを払い続けられるだろうか」という支払いの拘束感
【才能】
「自分にしかできない表現を見つけた!」というアイデンティティの充実感 ↔ 「誰にも理解されなかったらどうしよう」という孤独の痛み
これらは別々の出来事ではなく、一つの事象の「表」と「裏」で、切っても切り離せないものです。
3. 「味わい尽くす」というエネルギーの代謝
不快なことが起こると、多くの人は反射的に「これは悪いことだ!早くこの状態を消さなければ!」と抗います。
しかし、二極の一方だけを拒絶してもう一方だけを望むことは、自然界の摂理に反する「不自然な抵抗」です。
・夏を嫌って冬だけを望む
・夜を嫌って昼だけを望む
・雨を嫌って晴れだけを望む
そんなことが物理的に不可能なのと同じように、私たちの人生から「不快」という極だけを排除することはできません。
冬も、夜も、雨も、その時間をただ抗わずに過ごしていれば、やがて時間が過ぎ、終わりが来ます。
心も全く同じです。
私たちが不快な感情を拒絶し、見て見ぬふりをして蓋をすることは、出口を塞いだままマグマを溜め込み続ける火山のようなものです。
あるいは、食べ過ぎて体が悲鳴を上げているのに、無理やり吐き出すのを止めている状態とも言えます。
ここで重要になるのが、『感情を感じ切る』というプロセスです。
これは自然界における「消化・吸収・排泄」という一連の代謝そのものです。
「今、私は冬の寒さ(貧しさや不安)を感じているな」と、その不快感から目を逸らさずに真正面から受け止めること。
それは決して、貧しさや不安にひたすら耐えろということではありま
せん。
心や体に浮かんだ不安や、胸のざわつき、胃の重みといった身体の「不快な感覚」を、頭でこねくり回さずに『ただ、じっくりと見届ける』だけでいいのです。
冷静に見ることが難しければ、「とても辛いよね、苦しいよね。分かるよ」と、自分自身に共感してあげてください。
まずは1分間でいいので、身体に浮かんだ不快な感覚をただ感じてみてください。
すると、さっきよりもいくらか身体の感覚が減っていることに気づくはずです。
問題は依然として何も解決していませんが、身体の感覚が和らいだという事実が「消化」の確かな証拠なのです。
この積み重ねで、あなたの中から「蓄積された未消化の感情」がだんだんと減っていきます。
もしも今あなたが切迫している状態であれば、この「感情の感じ切り」をやってもやってもキリがないということもあると思います。
生活保護ギリギリの極限状態の時期の私がそうでした。
いくら感じ切っても、数十秒後にはまたすぐに吐き気がするような不安と焦りが新たに生まれてきました。
しかし、当時の私はそれでも、ひたすらこの「感情の感じ切り」を続けました。
「これを続けなければ、貧しさが終わらないかもしれない…」という恐怖に駆られていたからではありません。
「私の感情も、この世界の二極性の一部だ。だから今、この”不安”の極をしっかりと受け止めて消化すれば、新たなエネルギーのサイクルが始まるはずだ」
という「物理の法則」に賭けたからです。
そのおかげで、私は何とか自分が恐れていた事態を切り抜けることができました(生活保護を受けることが悪いと言っているのではありません)。
物理法則は私を裏切らなかったのです。
4. 同時に生まれて同時に消える
不快な感覚をしっかりと「味わう(見届ける、観測する)」という工程を経て初めて、そのエネルギーは『未消化物』から『消化』へと移行します。
このとき、物理世界は不思議な振る舞いを見せます。
プラスの性質を持つ粒子と、マイナスの性質を持つ反粒子に起こる『対消滅』という現象です。
もともと対として生まれた2つの粒子が、お互いの性質を完全に打ち消し合った時、どちらも粒子として存在できなくなります。
これは心も同じです。
「お金を失う恐怖」と「お金を手に入れたいという渇望」は、対として同時に生まれます。
その恐怖を無視せず感じ切ったとき、渇望もその存在理由を失い、同時にゼロへと還ります。
そしてその瞬間、二つが持っていたエネルギーは解放され、渇望の背後で見えなくなっていた「執着の消えた本物の安心」が、目の前の現実に現れ始めるのです。
私が絶え間ない不安と焦りの中で、粘り強く行った『感情の感じ切り』が安心の現実へと変わったのも、まさにこの現象が起こったからです。
5.溜まったエネルギーは外側に出るしかない
もし、この二極性の片方だけを嫌い、不快を感じることを拒絶し続けたらどうなるでしょうか?
行き場を失ったマイナスのエネルギーは、あなたの潜在意識の中にどんどん溜まっていきます。
本来消化されるべきものが消化されず、不自然に溜め込まれたエネルギーは、あなたの内側で『内圧』を高め続け、いつか限界を迎えます。
火山のマグマや体に溜まった毒素などが、限界を超えて爆発的に外側に溢れ出てくるのと同じです。
宇宙は歪んだ状態を嫌って、あなたの意思とは関係なく「強制リセット」をかけてきます。
それが、なぜか繰り返されるトラブルや、予期せぬ不運の正体です。
不安や苦しみの深さと規模は、あなたにしか分かりません。
なので、
・『感情の感じ切り』を1日にどれくらいやるべきか?
・1回あたり何分やればいいのか?
・どれだけ続ければ現実が変わるのか?
ということは私には分かりません。
しかし、あなたもまた、紛れもなく「物理世界の一員」なのです。
私に言えるのは、あなたが「片側だけを邪魔者扱いして無くそうとする」という不自然な思考を止めたとき、問題は確実に、絶対に、最も良い形で解決するということです。
感情を感じ切るのがあまりにも辛い時には、無理をしないでください。
そんな時は「今はそんな気になれない!」という事実をしっかりと認めるだけでいいです。
そんな状態でも、見て見ぬ振りをして無視をするよりも100倍マシな状態です。
まずは、「できる時だけやる」という小さな一歩から始めてみてください。
今回のまとめ
第2の法則:二極性の法則
『この世界の構造として、事象は常に正反対の二極がセットで同時に存在する。どちらか一方だけを消すことは物理的に無理なので、しっかりと味わうことで消化する』
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