57歳で転職し、降格され、給料が半減した。それでも、後悔はない。 正直に生きたことで、人生で初めて「やりたい仕事」に就くことができたからだ。
転職先で待ち受けていたもの
転職先の会社は、総務部門の立て直しが急務だった。経験者として採用された私に与えられた役割は、上司の右腕。しかし、課題は山積みだった。
海外・国内の出張規定の見直し、営業所設備の老朽化対策、地方と本社のコミュニケーション強化、会社のPRとホームページの再構築、営業所の移転——。そこに加わるのが、社長からの突発的な業務指示。しかも、部下のほとんどは総務の素人で、細かく指示を出さなければ動けない状態だった。
顧問を通して伝えた、正直な提言
そんな状況を見かねた私は、会社の顧問を通じて社長へ提言することにした。入社したての自分が直接言っては角が立つと考えたからだ。
「今、総務は基礎を作らないといけない状態です。人を育てる必要があります。社長の思いもわかりますが、思いついたことすべてに対応するのは、今の体制では無理です。まず基礎づくりに注力するよう、社長にお伝えください」
顧問が帰った後、社長に呼ばれた。
「あなたの愚痴を聞いてもらうために顧問に来てもらっているわけではない」
私は「そうですね、申し訳ありませんでした」と頭を下げた。
降格、そして決断
それが6月のことだった。
9月末、上司を通して管理職からの降格を打診された。私は迷わずこう答えた。
「降格させたければ、それは会社の裁量です。ただ、それに対して私がどうするかは、私の裁量です」
上司は言った。「そのままの職位なら、引き続き助けてくれますか?」
私は答えた「与えられた職位を全うします。それは約束します」
10月の降格はなく、そのままの職位で継続となった。
しかし翌年2月、再度降格の打診があった。
「社長がどうしても降格すると言っている。止めることはできない」と上司。 「どうぞ。私も考えていることがあり、すでに動いています」
降格の通達が発令された。そして半月後、転職先からの正式な内定を受け取り、即座に退職届を提出した。
「面従腹背」で30年、そして転職
社長への提言で降格になるような会社に、居続ける理由はない。この一年、しっかり結果は出してきた。陰で愚痴を言い、表では従順に振る舞う。そんな働き方を、私はもうやめようと思っていた。
「面従腹背」——社長に聞こえないところで不満を漏らし、前では何事もないように振る舞う。前の会社でその生き方を30年続けてきた。しかし定年を前に、そのようなサラリーマン生活に終止符を打ちたくて転職を決意したのだ。
立場はわきまえる。しかし、言うべきことを伝えずに不満を溜め続け、限界を超えたとき何も言わずに去ることは、自分に正直に生きていないと思っている。
伝えることで、相手が理解してくれるのか。それとも、理解もせず排除しようとするのか。それを自分の目で確かめて判断する。それが、自分に正直に働くということだと、私は思っている。
相手を変えようとは思わない。ただ、相手がどんな人間なのかを自分で確かめ、その結果で自分の行き先を決めたい。
正直に生きてよかったこと
再度の転職で、給料は半減した。高年齢雇用継続給付金も受け取れなくなった。条件だけ見れば、決して良い話ではない。
それでも、正直に動いたことで、一つの扉が開いた。
長年やりたいと思い続けていた、対人支援の仕事に就くことができたのだ。人生で初めて、「これをやりたい」と思える仕事に向き合えている。それだけで、後悔はない。
やりたいことは、今やる。できるときにやる。
だって、明日生きているという保証など、どこにもないのだから。
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この記事を書いている私はキャリアコンサルタントとして、50代・60代のキャリア支援を行っています。「このまま今の会社にいるべきか」「転職すべきか」「定年後をどう生きるか」――
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