2番目の父親は
北海道出身だった。
実家は昆布漁をしている漁師で
夏にその手伝いをするため
何度か、ついて行ったことがある。
中々に過酷な労働だった。
フェリーは2等客室だった。
いわゆる大部屋で、カーペットが敷かれた床に、雑魚寝する。
当時私は、小学3年ぐらいだったろうか。
大部屋で私たちの陣地の隣に
別の家族がいて、そのなかに
私と同じくらいの女の子がいた。
小柄でナチュラルカールの
可愛らしい女の子だ。
船旅は一晩明かすので、中々に長旅になる。
しかも、やることがあまりない。
自然と、その女の子と遊ぶようになった。
船の中を散策したり、デッキ付近で海を見てたり…
彼女が持ってきた本を読んだりしている頃には、隣り合って座り、距離が急速に縮まっていった。
夜も遅くなり
大部屋の照明が暗くなった。
女の子は、私の隣にきた。
来たというより、ずっと一緒に遊んでいたから流れでそうなったと思う。
フェリーの独特の音、揺れ、慣れない場所、慣れない照明
そして、隣の女の子
私は眠れずに、天井を眺めていた。
ふと、横を向くと
女の子が私を見ていた。
少し微笑んでいるようで
照明の反射なのか
瞳がキラキラしていた。
(かわいい…)
トクン…胸が鳴った気がした。
しばらくの間
彼女に見惚れていた
目線を外せなかった
彼女は小声で
「眠れないね…ちょっと怖いし…」
私は声を出せず、小さく頷いた。
トクン…
私の毛布の中に
彼女の手が忍び込んできた
私の手を探して、そして軽く握ってくる。
トクン…トクン…
私は何も言えない。
トクン…トクン…
彼女は
ゆっくりと、私の毛布に
入ってきた…
トクン…トクン…トクン…
手足が触れる…
私は恥ずかしさからか、毛布をかぶった。
トクン…トクン…トクン…
もそもそ…と彼女は動いて
毛布をかぶった私の頬に
顔をつける…
トクン…トクン…トクン…
しばらく、その体制だったが
また、彼女の顔が見たくなって
横向きになった。
トクン…トクン…トクン…
近すぎて顔が見えない…
そんなことは、もう
どうでもいい…
トクン…トクン…トクン…
彼女は、
顔を擦り付けるようにしたり
私の指を弄んだりしている
彼女の髪の香り
甘美な時間…
トクン…
心臓が少し落ち着いてきた頃
唇が触れてきた。
不思議と私は落ち着いていて
そして、ただ彼女を愛おしく思った
毛布の中の
2人だけの秘密…
明け方まで、繰り返していた。
手をにぎったり
おでこをつけ合ったり
唇が触れたり…を。
北海道に着き、別れの時がくる
彼女はすっと、握手をしてきた。
そして名残惜しそうに、
手を離した。
顔を伏せて。
名前も知らない女の子
毛布の中の秘密。
ブログを書くようになってから
過去の記憶を
色々と思い出せるようになっている
断片的な記憶だったものが、つながってみたり、微かな記憶だったものが、鮮明に思い出せたり…
このままだと、前世まで思い出せるかもしれない。
このフェリーの女の子も、
実は別の記憶とつながるような気がしている。
私は2度、夢の中の女性に恋をしたことがある。
どちらも1週間ぐらい
頭から離れなかった。
今思えば、
夢の中の女性とフェリーの女の子は、
同じ人なのかもしれない。
あのフェリーでの強烈な記憶が
夢となって現れたのだと…
そんな気がしている。
色白でナチュラルカールの女の子は
その後の夢では
私と同じくらいに成長している姿だった。
彼女も思い出すのだろうか…
夢を見たのだろうか…