教室の空気が、少し変わった。
目に見えるわけじゃない。
でも、確実に分かる。
澪との距離。
あの会話のあと、
明らかに一歩引かれた。
話しかけてこない。
目も、あまり合わない。
(そりゃそうだよな)
自分で壊したんだから。
でも。
(なんでこんなにきついんだよ)
たったそれだけの距離なのに。
昨日まで普通にあったものが、
急に消えたみたいで。
教室にいるのに、
やけに遠く感じる。
昼休み。
澪は友達と話していた。
笑ってる。
普通に。
(あの顔)
第3話で見た笑顔。
あれが、
今は自分に向いてない。
それだけで、
胸の奥が締め付けられる。
(ダサいな)
そう思いながらも、
目が離せない。
視線が合う。
一瞬。
でも。
すぐ逸らされた。
(…そっちがそれやるのかよ)
昨日までの自分と、同じ。
距離を取る側。
その立場が逆になっただけで、
こんなに苦しいのか。
放課後。
帰ろうとしたとき。
「…待って」
声。
止まる。
振り向く。
澪。
少しだけ、息が上がってる。
「…何」
できるだけ平静を装う。
でも、内心はぐちゃぐちゃだ。
「…さっきの」
言葉が止まる。
(来るのか)
本音。
逃げたやつ。
「…やっぱりいい」
澪が目を逸らす。
一歩、距離ができる。
(待てよ)
体が勝手に動いた。
「いや、よくないだろ」
声が出る。
自分でも驚くくらい、
強めの言い方だった。
澪がこっちを見る。
少しだけ驚いた顔。
でも。
逃したくなかった。
「言いたいことあるなら、言えよ」
もう引きたくなかった。
ここで終わるのは、無理だった。
沈黙。
少しの間のあと。
「…そっちが先でしょ」
返ってきた言葉。
真っ直ぐ。
逃げてない。
(…ずるいな)
「…言えよ」
もう一度。
今度は少しだけ弱く。
澪が、少しだけ笑う。
でもその笑いは、
前とは違う。
少しだけ、寂しそうで。
「…ほんと、分かってるくせに」
その一言で、
全部、繋がった。
距離を取っても。
避けても。
誤魔化しても。
結局。
(無理なんだよな)
離れられない。
もう、戻れないところまで来てる。
続く。
ブログお休みのご連絡
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
少しの間、ブログの更新をお休みさせていただきます。
楽しみにしてくださっている方には申し訳ありませんが、
またしっかりとした形でお届けできるよう、
一度立ち止まる時間を取らせていただきます。
再開の際には、これまで以上に楽しんでいただける内容をお届けします。
引き続き、よろしくお願いいたします。