第6話 「逃げてるのは、全部見抜かれてた」

記事
占い
昼休みが終わる直前。

教室の空気は、少しだけ重かった。

原因は分かっている。

自分だ。

(やらかした…)

さっきのやり取り。

明らかに不自然だった。

避けてるって、
完全にバレてる。

(終わった)

そう思いながらも、
何もできずに時間だけが過ぎる。

チャイムが鳴る。

授業が始まる。

でも、内容なんて一切入ってこない。

頭の中は、
さっきのことでいっぱいだった。

(なんであんな態度取ったんだよ)

分かってる。

怖かっただけだ。

近づいたら。

(バレるから)

でも。

その結果がこれ。

中途半端に距離を取って、
余計に空気を壊した。

最悪だ。

授業が終わる。

「ねえ」

来た。

心臓が一気に跳ねる。

振り向く。

澪。

逃げられない距離。

「ちょっと来て」

短い言葉。

でも、それだけで分かる。

(詰められる)

教室の後ろ。

人が少ない場所。

逃げ場、なし。

「…なに」

できるだけ普通に言う。

でも声が少し固い。

澪は、少しだけ黙った。

その沈黙が、やけに長い。

そして。

「避けてるよね」

終わった。

ストレートすぎる。

「避けてないって」

反射的に否定する。

でも。

「嘘」

即、返された。

言葉が詰まる。

(無理だ)

完全に見抜かれてる。

「なんで?」

その一言。

逃げられない。

真っ直ぐな目。

少しだけ、傷ついてる。

(…やめてくれ)

そんな目で見られたら、

「…別に理由ないって」

苦しい言い訳しか出てこない。

澪が、少しだけ息を吐く。

「…じゃあなんで、距離取るの」

もう一度。

逃げ道、完全に塞がれる。

(言えよ)

心の中で声がする。

(言えば終わるぞ)

別の声もする。

好きって言えば。

関係が変わる。

壊れるかもしれない。

でも。

このままでも、壊れる。

(どっちだよ)

頭がぐちゃぐちゃになる。

「…顔赤くなるのも」

澪が続ける。

「距離取るのも」

全部、繋がる。

「…分かるんだけど」

心臓が止まりそうになる。

(やばい)

「…違うなら言って」

最後の一押し。

沈黙。

逃げるか。

言うか。

「……」

息を吸う。

でも。

「…違う」

結局、嘘を選んだ。

一瞬。

空気が止まる。

澪の表情が、少しだけ変わった。

「…そっか」

それだけ。

それだけなのに。

一番きつい。

(なんでだよ)

なんでそんなに、
あっさり引くんだよ。

(追えよ)

心の中で、
意味の分からないことを思う。

でも。

澪はそれ以上何も言わなかった。

そのまま、席に戻る。

距離。

完全にできた。

(やばい)

さっきまでとは違う。

これは、もう。

取り返しがつかないやつだ。

近づいた分だけ、

壊れるのも早い。

(…終わるかもしれない)

そう思った瞬間。

初めて、本気で怖くなった。

続く。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら