第7話 「離れたはずなのに、離れられない」
教室の空気が、少し変わった。目に見えるわけじゃない。でも、確実に分かる。澪との距離。あの会話のあと、明らかに一歩引かれた。話しかけてこない。目も、あまり合わない。(そりゃそうだよな)自分で壊したんだから。でも。(なんでこんなにきついんだよ)たったそれだけの距離なのに。昨日まで普通にあったものが、急に消えたみたいで。教室にいるのに、やけに遠く感じる。昼休み。澪は友達と話していた。笑ってる。普通に。(あの顔)第3話で見た笑顔。あれが、今は自分に向いてない。それだけで、胸の奥が締め付けられる。(ダサいな)そう思いながらも、目が離せない。視線が合う。一瞬。でも。すぐ逸らされた。(…そっちがそれやるのかよ)昨日までの自分と、同じ。距離を取る側。その立場が逆になっただけで、こんなに苦しいのか。放課後。帰ろうとしたとき。「…待って」声。止まる。振り向く。澪。少しだけ、息が上がってる。「…何」できるだけ平静を装う。でも、内心はぐちゃぐちゃだ。「…さっきの」言葉が止まる。(来るのか)本音。逃げたやつ。「…やっぱりいい」澪が目を逸らす。一歩、距離ができる。(待てよ)体が勝手に動いた。「いや、よくないだろ」声が出る。自分でも驚くくらい、強めの言い方だった。澪がこっちを見る。少しだけ驚いた顔。でも。逃したくなかった。「言いたいことあるなら、言えよ」もう引きたくなかった。ここで終わるのは、無理だった。沈黙。少しの間のあと。「…そっちが先でしょ」返ってきた言葉。真っ直ぐ。逃げてない。(…ずるいな)「…言えよ」もう一度。今度は少しだけ弱く。澪が、少しだけ笑う。でもその笑いは、前とは違う。少しだけ、寂しそうで
0