セラー業務支援室です。
前回は、企業の属人化がなぜ解消しにくいのか、その“心理的な背景”について書きました。
今回はその続編として、「属人化をどう解消するか」 のヒントを、少し別の角度から考えてみます。
ヒントを見つけたきっかけは、あるテレビ番組でした。
■ 日本の伝統産業に見る“究極の属人化”
先日、テレビで「播州そろばん」の特集を見ました。
播州そろばんは、部品ごとに職人が担当する完全分業制で、ほとんどが高度な手作業。
しかし紹介されていた職人さんたちはみなさんご高齢で、跡継ぎがいないという現実を抱えています。
番組内でタレントが継承することについて質問する場面で、職人ははじめこそ言葉を濁していたものの、
しびれをきらしたタレントが率直に「継承するつもりはないのですね?」と問うと、
最終的に「そうだ」と認めていました。
その時私は、
「自分と家族の生活ができればそれでいいのか?」
「自分の技を後世へ残す意識はないのか?」
と感じ、これこそ究極の属人化ではないかと思ったのです。
しかし、少し時間が経つと私は別の可能性に気づきました。
そもそも職人さんは、“そろばんに未来がない”と思っているのではないか。
■ 30年で大きく変わった“計算器具”
私が会社員になった30年前、当時の経理部長は
「電卓には桁がないから」とそろばんを使っていました。
しかし今は、
• 計算は表計算ソフト(Excel)が中心
• 電卓を使う頻度も激減(私は数字の一時メモとして電卓を使用することも)
• プライベートではスマホの計算機
こうした現実を考えれば、
「継承してもしょうがない」と考えてしまうのも無理はありません。
■ それでも“そろばんを習う子ども”は増えている
一方で、近年は中学受験対策として
そろばんを習う小学生が増えていると言われています。
計算力・暗算力が鍛えられるという理由で、習い事としての人気が再上昇しているのです。
ではこの現状を、播州そろばんの職人たちは知っているのだろうか?
たとえ耳に入っていたとしても、
「実際の注文増」という実感がなければ、意識は変わらない。
そう感じました。
■【属人化解消のヒント】“自分ごと化”させる仕掛けが必要
私は、属人化を解消する鍵は “自分ごと化” にあると考えています。
🔹ヒント① 外部の声が「未来の必要性」を伝える
職人の世界だけで「そろばん(商品)の未来」は描けないのです。
• 地域産業課の職員
• 百貨店などの催事担当者
• 教育関係者
こうした“外部の声(販売者・消費者)”が必要です。
彼らが未来の需要を伝え、
「あなたの仕事は求められている」と知らせることが第一歩になります。
🔹ヒント② 実際の“注文増”という具体的な後押し
言葉だけでは人は動きません。
だからこそ、外部が実際に注文につなげることが重要です。
人は「求められている」と実感したときに初めて、
現状を変える気持ちが湧いてきます。
🔹ヒント③「自分が変わる必要がある」と腹落ちしたとき、人は動く
属人化の根底には、
• 変わりたくない
• 今のやり方が安心
• 承認欲求が満たされている
という心理があります。
これを動かすのは周りの理屈ではなく、
“自分も未来の一部なんだ”という実感です。
人は誰しも、
“求められている” と実感したときに「次」を考え始めるもの。
これが、属人化を解消するための大事なアプローチなのではないかと私は思います。