ある夜、コンビニでおにぎりを選んでいた。
私の前にいた男性が、
“鮭” と “明太子” の前で固まっていた。
その時間、約20秒。
(ああ、決められないのね……)
(わかるよ、その気持ち……)
なぜか私は、彼のおにぎり選びを
勝手に心の中で応援していた。
“鮭は安定感があるけど、今日は攻めたい日なのかもしれない…”
“明太子もいいけど、辛さのムラがあるのよね…”
完全に他人のおにぎりに感情移入。
すると男性が、
「うーん……」と呟いて、
そっと“わさび昆布”を手に取った。
まさかの第三候補。
「そっち!?」
心の中で派手にツッコんだ。
でもその瞬間、
(ああ、そういう日もあるよね)
と勝手に納得してしまった。
レジへ向かう彼の背中に、
私はなぜか静かにエールを送った。
“どうか今日のあなたに、
わさび昆布がそっと寄り添ってくれますように。”