積み上げてきたものを、
本試験で漏れなくアウトプットするには、
設計が必要。
合格に必要なものは、
大きく3つに分けられる。
1つ目。
基本知識を、
正確かつ高速で引き出す力。
2つ目。
試験制度への理解と、
本試験の処理を心体に刷り込むこと。
3つ目。
未知の問題への耐性。
そして、これら3つを支える前提として、
マクロ視点を残すこと。
直前期には、
やることが一気に増える。
暗記。
問題演習。
テキスト読み。
目的条文。
白書統計。
法改正。
模試や答練。
選択式対策。
どれも大事に見える。
そこで重要になってくるのは、
各タスクを、
目的と手段で整理し、
あるべき場所へ整頓することです。
暗記。
目的条文。
白書統計。
法改正。
これらは、
主に「1」を鍛えるものです。
法改正も、基本的には暗記カテゴリに含めています。
問題演習も、
基礎的な問題に絞れば、
主に「1」の訓練になります。
一方で、
模試や答練は、
「2」と「3」。
テキスト読みも、
模試や答練の深掘りとして行うなら、
同じく「2」「3」に含まれます。
選択式対策も、
基本的には「2」「3」。
ざっくり分けると、
こんなイメージです。
タスクの目的を整理すると、
勉強の精度が上がる。
逆に、
目的が曖昧なまま全部をやろうとすると、
無駄が増えていきます。
“1”を鍛えるときは、
正確性と、
引き出す速さを意識する。
正確な知識を即座に取り出せる状態まで持っていかないと、効果が半減してしまう。
例えば、
コカ・コーラ社の商品に、
コカ・コーラ。
スプライト。
ジョージア。
アクエリアス。
こういったものがあると知っているとします。
ただ、
本試験で必要なのは、
「知っている」だけではありません。
例えば、
「コカ・コーラ社のコーヒーは?」
と聞かれて、
ジョージアが出てくる。
これは、
最低限の“知識”です。
でも、
本試験で使える知識は、
コカ・コーラの話をしているときに、
頭の中で、
ジョージア。
アクエリアス。
スプライト。
こういった関連知識が、
並列で自然に浮かぶ状態。
それには、
知識の正確性と、
引き出す速さが必要になります。
正確さに、
速さが加わると、
頭の中に比較対象を並べて、
検討できるようになってくる。
本試験では、
この状態が強い。
周辺知識。
横断知識。
似た制度。
例外規定。
こういったものを、
瞬時に比較しながら判断できるからです。
基礎知識は、
基本問題を解くためだけにあるわけではありません。
難問を解くための、
鍵にもなりうる。
だから、
直前期に、
日頃ルーティンで回していたものを、
「他にやることが多いから」
「もう覚えているから忘れないだろう」
という理由で削ってしまうと、
それまで積み上げてきた、
反射や暗記精度が崩れていきます。
忘却曲線を使った復習法もあります。
また、
「覚えたものは外して、
できないものを重点的にやる」
という考え方もあります。
もちろん、
これらを否定したいわけではありません。
実際、
多くの場合、
合理的な勉強法だと思います。
ただ、
社労士試験では、
少し事情が違う。
この試験では、
正確な知識を、
短時間で引き出し、
比較し、
当てはめて判断する力が求められます。
つまり、
「思い出せる」
だけでは足りない。
本試験中に、
即座に取り出せる状態になっている必要があります。
そのためには、
忘却曲線ベースの復習よりも、
さらに高い頻度、
さらに高い密度で回す必要がある。
だから、
普段からルーティンとして回しているものを、
直前期も高密度で回す。
そして、
重要なのは、
“何を回すか”
です。
量を増やしすぎると、
密度が落ちる。
すると、
反復ができなくなる。
だから私は、
直前期に暗記するものは、
基本項目に絞った方が良いと考えています。
2と3は、
模試や答練など、
初見の問題を解き、
深掘りすることで鍛えていきます。
ここでやるのは、
単なる知識確認ではありません。
問題を解くルーティンを試し、
確立し、
本試験の処理を心体になじませていくことです。
問題文を読んだら、
まず構成を読み解く。
印をつける。
主語。
条件。
聞かれている論点。
それらを確認したうえで、
自分の知識が、
その問題に当てはまるのかを照合する。
そして、
正誤を判断する。
この流れに慣れることが重要です。
本試験でやるのは、
単に知識を思い出すことではありません。
問題文を読み、
構成をつかみ、
自分の知識を当てはめ、
限られた時間で判断すること。
だから、
直前期に暗記ばかりしていると、
少しずつ感覚が狂ってくる。
知識は増えているのに、
問題文を読んだときの処理が鈍くなる。
私は、
こういった訓練を、
10問1セットで回していました。
問題を解くときは、
本試験と同じように、
問題文に直接書き込みをしながら解きます。
解答が分かった時点で、
読まない選択肢があっても構いません。
本試験では、
すべての選択肢を丁寧に読むことが目的ではないからです。
どの順番で読むか。
どこで切るか。
どこを読まないか。
そういった判断を、
理解ではなく、
感覚として体に覚えさせていく。
慣れていないと、
本試験では怖くてできません。
もちろん、
問題を雑に扱うわけではありません。
深掘りはしっかりやります。
そこは切り抜き7で解説しています。
また、
「模試や答練を2回解かないのか」
と思うかもしれません。
たしかに、
2回目にも意味はあります。
知識の定着。
反射速度。
つまり、
“1”寄りの訓練としては効果があります。
ただ、
時間は有限です。
“2”や“3”、
つまり、初見問題への処理能力や耐性を鍛える目的なら、
同じ問題を繰り返すより、
新しい問題に触れた方が効果は高い。
だから、
模試や答練は、
基本的に“初見処理”の訓練として使います。
“初見で処理する”
という経験は、
一度使うと薄れていくからです。
採点時には、
読まなかった選択肢も含めて、
全選択肢を検証します。
ここは、深掘りと同じ流れです。
狙いは、
本試験での時間感覚を体に焼き付けること。
初見問題への耐性を維持すること。
問題文の構成を読み取り、
自分の知識を当てはめて判断する感覚を落とさないこと。
読まない選択肢を判断する感覚に慣れることです。
直前期は、
どうしても、
ミクロの視点で勉強する時間が増えていきます。
細かい数字。
細かい要件。
細かい例外。
もちろん、
それ自体は必要です。
ただ、
そこでマクロ視点を失うと、
知識がバラバラになっていく。
だから、
直前期ほど、
マクロ視点を維持する意識が重要になります。
制度全体の流れ。
大枠。
趣旨。
科目全体のつながり。
そして、
「あ、この論点は、
制度全体の中でどの位置にあるのか」
「他のどんな制度とつながっているのか」
という感覚。
さらに、
「今日やった範囲は適切だったのか」
を確認する視点も大事です。
こういうマクロ視点を残しておくだけで、
ミクロ視点に寄りすぎることを防ぎやすくなる。
では、マクロ視点をどう残すのか。
シンプルな方法を使っていました。
使っているテキストの、
目次タイトルを音声録音する。
1科目に、
だいたい40前後。
全体で400程度あります。
それを、
1タイトル4秒くらいに収まるように、
順番に録音していく。
タイトルを読み上げたあとに、
1、2、3
と頭の中で数えてから、
次のタイトルを読み上げる。
例えば、
労働基準法の例だと、
労働条件の原則。
……
……
みなし労働時間制。
年次有給休暇。
……
……
雑則。
罰則。
こんな感じです。
この“4秒”にも意味があります。
例えば、
「みなし労働時間制」
と聞こえてから、
次のタイトルまで数秒空く。
その間に、
「あれ、次なんだっけ」
「ここって何とつながってたっけ」
と、
頭の中で少し考える。
最初は、
そんなにすぐに色々浮かびません。
むしろ、
全然出てこないことの方が多い。
でも、
それでいい。
そこで、
「自分はここ弱いな」
「この制度、
全体の中でまだ位置が曖昧だな」
と自身の現状と全体を把握できる。
すると、
自然とテキストを開きたくなる。
これを繰り返していくと、
少しずつ、
頭の中で知識が並列に浮かぶようになってきます。
試験中に、
関連知識や比較対象を、
同時に並べて考えられる感覚に近いです。
読み上げアプリや、
秒数を調整できるアプリを使ってもいいですが、
1科目4〜5分、
全体でも30分程度なので、
私はアナログに録音してしまった方が早いと思っています。
直前期は、
細かい論点ばかり見続けるので、
全体像が崩れやすい。
だから、
散歩しながら聞く。
あるいは、
寝る前に聞く。
これは、
体調管理と、
マクロ視点の維持を兼ねています。
さらに、
本来ならそのまま寝てしまうタイミングで、
『あれ、ここ曖昧だな』
と気になって、テキストを開くこともある。
その場で確認することもあるし、
翌日に確認することもある。
体調維持は、
軽視されがちですが、
かなり重要です。
やることを決めるうえで、
それぞれのバランスは、
現状によって変わります。
何が足りていないのか。
何が崩れているのか。
どこに不安があるのか。
そこによって、
配分は変わる。
ただ、
私は、
直前期は、
“1”。
つまり、
正確な知識を、
高速で引き出す訓練。
ここを、
60〜70%くらい占めるのが理想だと考えています。
よくあるのは、
ここに、90%くらい振ってしまうことです。
“1”とは何だったか。
正確な知識を、
高速で引き出す訓練です。
社労士試験は、
広い範囲を、
高い精度で繰り返し回す必要がある。
そのため、
反復する対象を、
基礎に絞った方が、
試験対応として合理的です。
ただ、
直前期になると、
新論点や細かい論点に触れる機会が増える。
すると、
不安になる。
「これもやった方がいいのでは」
と、
追加したくなる。
でも、
そこで範囲を広げすぎると、
繰り返し学習の密度が落ちていく。
すると、
最初に組んでいた、
『高頻度・高精度で回す』
という設計から、
少しずつ外れていきます。
直前期は、
こういう誘惑が増えます。
不安になると、
新しいものを足したくなる。
でも、
やることを決めるというのは、
“迷わない”
ということです。