直前期を設計する  社労士試験勉強法のコツ⑮

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法律・税務・士業全般
積み上げてきたものを、
本試験で漏れなくアウトプットするには、
設計が必要。
合格に必要なものは、
大きく3つに分けられる。
1つ目。
基本知識を、
正確かつ高速で引き出す力。
2つ目。
試験制度への理解と、
本試験の処理を心体に刷り込むこと。
3つ目。
未知の問題への耐性。
そして、これら3つを支える前提として、
マクロ視点を残すこと。
直前期には、
やることが一気に増える。
暗記。
問題演習。
テキスト読み。
目的条文。
白書統計。
法改正。
模試や答練。
選択式対策。
どれも大事に見える。
そこで重要になってくるのは、
各タスクを、
目的と手段で整理し、
あるべき場所へ整頓することです。
暗記。
目的条文。
白書統計。
法改正。
これらは、
主に「1」を鍛えるものです。
法改正も、基本的には暗記カテゴリに含めています。
問題演習も、
基礎的な問題に絞れば、
主に「1」の訓練になります。
一方で、
模試や答練は、
「2」と「3」。
テキスト読みも、
模試や答練の深掘りとして行うなら、
同じく「2」「3」に含まれます。
選択式対策も、
基本的には「2」「3」。
ざっくり分けると、
こんなイメージです。
タスクの目的を整理すると、
勉強の精度が上がる。
逆に、
目的が曖昧なまま全部をやろうとすると、
無駄が増えていきます。
“1”を鍛えるときは、
正確性と、
引き出す速さを意識する。
正確な知識を即座に取り出せる状態まで持っていかないと、効果が半減してしまう。
例えば、
コカ・コーラ社の商品に、
コカ・コーラ。
スプライト。
ジョージア。
アクエリアス。
こういったものがあると知っているとします。
ただ、
本試験で必要なのは、
「知っている」だけではありません。
例えば、
「コカ・コーラ社のコーヒーは?」
と聞かれて、
ジョージアが出てくる。
これは、
最低限の“知識”です。
でも、
本試験で使える知識は、
コカ・コーラの話をしているときに、
頭の中で、
ジョージア。
アクエリアス。
スプライト。
こういった関連知識が、
並列で自然に浮かぶ状態。
それには、
知識の正確性と、
引き出す速さが必要になります。
正確さに、
速さが加わると、
頭の中に比較対象を並べて、
検討できるようになってくる。
本試験では、
この状態が強い。
周辺知識。
横断知識。
似た制度。
例外規定。
こういったものを、
瞬時に比較しながら判断できるからです。
基礎知識は、
基本問題を解くためだけにあるわけではありません。
難問を解くための、
鍵にもなりうる。
だから、
直前期に、
日頃ルーティンで回していたものを、
「他にやることが多いから」
「もう覚えているから忘れないだろう」
という理由で削ってしまうと、
それまで積み上げてきた、
反射や暗記精度が崩れていきます。
忘却曲線を使った復習法もあります。
また、
「覚えたものは外して、
できないものを重点的にやる」
という考え方もあります。
もちろん、
これらを否定したいわけではありません。
実際、
多くの場合、
合理的な勉強法だと思います。
ただ、
社労士試験では、
少し事情が違う。
この試験では、
正確な知識を、
短時間で引き出し、
比較し、
当てはめて判断する力が求められます。
つまり、
「思い出せる」
だけでは足りない。
本試験中に、
即座に取り出せる状態になっている必要があります。
そのためには、
忘却曲線ベースの復習よりも、
さらに高い頻度、
さらに高い密度で回す必要がある。
だから、
普段からルーティンとして回しているものを、
直前期も高密度で回す。
そして、
重要なのは、
“何を回すか”
です。
量を増やしすぎると、
密度が落ちる。
すると、
反復ができなくなる。
だから私は、
直前期に暗記するものは、
基本項目に絞った方が良いと考えています。
2と3は、
模試や答練など、
初見の問題を解き、
深掘りすることで鍛えていきます。
ここでやるのは、
単なる知識確認ではありません。
問題を解くルーティンを試し、
確立し、
本試験の処理を心体になじませていくことです。
問題文を読んだら、
まず構成を読み解く。
印をつける。
主語。
条件。
聞かれている論点。
それらを確認したうえで、
自分の知識が、
その問題に当てはまるのかを照合する。
そして、
正誤を判断する。
この流れに慣れることが重要です。
本試験でやるのは、
単に知識を思い出すことではありません。
問題文を読み、
構成をつかみ、
自分の知識を当てはめ、
限られた時間で判断すること。
だから、
直前期に暗記ばかりしていると、
少しずつ感覚が狂ってくる。
知識は増えているのに、
問題文を読んだときの処理が鈍くなる。
私は、
こういった訓練を、
10問1セットで回していました。
問題を解くときは、
本試験と同じように、
問題文に直接書き込みをしながら解きます。
解答が分かった時点で、
読まない選択肢があっても構いません。
本試験では、
すべての選択肢を丁寧に読むことが目的ではないからです。
どの順番で読むか。
どこで切るか。
どこを読まないか。
そういった判断を、
理解ではなく、
感覚として体に覚えさせていく。
慣れていないと、
本試験では怖くてできません。
もちろん、
問題を雑に扱うわけではありません。
深掘りはしっかりやります。
そこは切り抜き7で解説しています。
また、
「模試や答練を2回解かないのか」
と思うかもしれません。
たしかに、
2回目にも意味はあります。
知識の定着。
反射速度。
つまり、
“1”寄りの訓練としては効果があります。
ただ、
時間は有限です。
“2”や“3”、
つまり、初見問題への処理能力や耐性を鍛える目的なら、
同じ問題を繰り返すより、
新しい問題に触れた方が効果は高い。
だから、
模試や答練は、
基本的に“初見処理”の訓練として使います。
“初見で処理する”
という経験は、
一度使うと薄れていくからです。
採点時には、
読まなかった選択肢も含めて、
全選択肢を検証します。
ここは、深掘りと同じ流れです。
狙いは、
本試験での時間感覚を体に焼き付けること。
初見問題への耐性を維持すること。
問題文の構成を読み取り、
自分の知識を当てはめて判断する感覚を落とさないこと。
読まない選択肢を判断する感覚に慣れることです。
直前期は、
どうしても、
ミクロの視点で勉強する時間が増えていきます。
細かい数字。
細かい要件。
細かい例外。
もちろん、
それ自体は必要です。
ただ、
そこでマクロ視点を失うと、
知識がバラバラになっていく。
だから、
直前期ほど、
マクロ視点を維持する意識が重要になります。
制度全体の流れ。
大枠。
趣旨。
科目全体のつながり。
そして、
「あ、この論点は、
制度全体の中でどの位置にあるのか」
「他のどんな制度とつながっているのか」
という感覚。
さらに、
「今日やった範囲は適切だったのか」
を確認する視点も大事です。
こういうマクロ視点を残しておくだけで、
ミクロ視点に寄りすぎることを防ぎやすくなる。
では、マクロ視点をどう残すのか。
シンプルな方法を使っていました。
使っているテキストの、
目次タイトルを音声録音する。
1科目に、
だいたい40前後。
全体で400程度あります。
それを、
1タイトル4秒くらいに収まるように、
順番に録音していく。
タイトルを読み上げたあとに、
1、2、3
と頭の中で数えてから、
 次のタイトルを読み上げる。
例えば、
労働基準法の例だと、
労働条件の原則。
……
……
みなし労働時間制。
年次有給休暇。
……
……
雑則。
罰則。
こんな感じです。
この“4秒”にも意味があります。
例えば、
「みなし労働時間制」
と聞こえてから、
次のタイトルまで数秒空く。
その間に、
「あれ、次なんだっけ」
「ここって何とつながってたっけ」
と、
頭の中で少し考える。
最初は、
そんなにすぐに色々浮かびません。
むしろ、
全然出てこないことの方が多い。
でも、
それでいい。
そこで、
「自分はここ弱いな」
「この制度、
全体の中でまだ位置が曖昧だな」
と自身の現状と全体を把握できる。
すると、
自然とテキストを開きたくなる。
これを繰り返していくと、
少しずつ、
頭の中で知識が並列に浮かぶようになってきます。
試験中に、
関連知識や比較対象を、
同時に並べて考えられる感覚に近いです。
読み上げアプリや、
秒数を調整できるアプリを使ってもいいですが、
1科目4〜5分、
全体でも30分程度なので、
私はアナログに録音してしまった方が早いと思っています。
直前期は、
細かい論点ばかり見続けるので、
全体像が崩れやすい。
だから、
散歩しながら聞く。
あるいは、
寝る前に聞く。
これは、
体調管理と、
マクロ視点の維持を兼ねています。
さらに、
本来ならそのまま寝てしまうタイミングで、
『あれ、ここ曖昧だな』
と気になって、テキストを開くこともある。
その場で確認することもあるし、
翌日に確認することもある。
体調維持は、
軽視されがちですが、
かなり重要です。
やることを決めるうえで、
それぞれのバランスは、
現状によって変わります。
何が足りていないのか。
何が崩れているのか。
どこに不安があるのか。
そこによって、
配分は変わる。
ただ、
私は、
直前期は、
“1”。
つまり、
正確な知識を、
高速で引き出す訓練。
ここを、
60〜70%くらい占めるのが理想だと考えています。
よくあるのは、
ここに、90%くらい振ってしまうことです。
“1”とは何だったか。
正確な知識を、
高速で引き出す訓練です。
社労士試験は、
広い範囲を、
高い精度で繰り返し回す必要がある。
そのため、
反復する対象を、
基礎に絞った方が、
試験対応として合理的です。
ただ、
直前期になると、
新論点や細かい論点に触れる機会が増える。
すると、
不安になる。
「これもやった方がいいのでは」
と、
追加したくなる。
でも、
そこで範囲を広げすぎると、
繰り返し学習の密度が落ちていく。
すると、
最初に組んでいた、
『高頻度・高精度で回す』
という設計から、
少しずつ外れていきます。
直前期は、
こういう誘惑が増えます。
不安になると、
新しいものを足したくなる。
でも、
やることを決めるというのは、
“迷わない”
ということです。

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