突然マネージャーに昇格した人の中には、「自分は全然マネージャーなんかに見てないのに…」と尻込む人もいるかもしれません。
逆に今までの人生で部活の部長やバイトリーダーなどのポジションをこなしてきた経験があり、自分はマネージャーに向いているという自信がある人もいるでしょう。
でもそもそも、どんな人がマネージャーに向いているのでしょうか?
その答えを出すにはまず、マネージャーの役割とは何か?を正しく認識しなければなりません。
マネージャーの役割とはズバリ、チームのパフォーマンスを最大化する事です。
そのためには、チームメンバーをサポートし、チームメンバーのパフォーマンスを上げなければいけません。
また、チームがうまく機能するように気を配り、1+1=2以上の相乗効果を生む出す必要があります。
つまり、人を動かし、結果を出すということがマネージャーの役割なのです。
新人マネージャーにありがちなのが、チームのパフォーマンスを上げるために、自分が何でもやってしまうことです。
これはよく言われることだとは思いますが、結構難しいことです。
誰しも、自分でやった方が人にやらせるより簡単だからです。
特にマネージャーになるような人はそれまでのプレイヤーとしての仕事ぶりが良かった人である場合が多いと思います。経験や能力差が部下とある場合、特に自分でやりたくなってしまうでしょう。
しかし、それではチームメンバーは成長しませんし、チームとしても1+1=2以上の相乗効果は生まれません。マネージャーが何でも自分でやってしまうと、チームのパフォーマンスは最大化できないのです。
特に部活の部長やバイトリーダーなど、過去の人生でリーダーシップをとった事があり、マネージャーに自信のある方は注意が必要です。
部活の部長やバイトリーダーは、運動部ならその運動の種目(サッカーとか野球とか)、バイトならその業務が熟達していていることが前提ではなかったでしょうか?
また、部長やバイトリーダーになっても、後ろでマネジメントに当たるというよりは他のメンバーと一緒にそのスポーツやバイト業務をしながら周りを指導するといった感じだったと思います。
そういうスタイルでのリーダーシップ経験の場合は、そのままビジネスでのマネジメント経験と同じとは考えない方が良いと思います。なぜならチームメンバーと同じ仕事をしながら、その熟達した能力と経験で周りを引っ張っていくというのは、ビジネスではプレイイングマネージャーにあたるからです。
プレイイングマネージャーであれば自らが先頭に立ってバリバリと仕事をこなすことによって、チームメンバーの負担を軽くしたり、見本になったり出来ますが、ビジネスにおけるマネージャーの本来の役割は違います。
自分が5分で出来ることをチームメンバーも同じように出来るまでサポートすることであり、メンバー間のコミュニケーションを促し、適材適所のポジションに配置し、チーム力を上げる事がマネージャーの責務です。
もう一つプレイイングマネージャー的な思考回路だと出来ないことがあります。
それは、自分よりもうまく業務をこなせる部下、レベルの高いスキルを持っている部下に注意できなくなることです。
なぜならプレイイングマネージャーは周りより秀でた業務遂行能力、経験によってチームを引っ張っているという意識になってしまいがちです。
自分が一番仕事ができるからマネージャーなんだ、という論理です。
そうなると当然、自分より仕事ができる部下が現れた場合、その人に何も言えなくなってしまいます。
実は私にもこんな経験があります。
私は小さい頃からサッカーをやっていて、中学・高校では部長を務めていました。
まさに上記のような、自分が一番うまいから部長に選ばれたという意識を持っていました。だから自分のプレーで、背中で引っ張っているというようなつもりです。
ある時、練習試合がありました。
ライバル校でよく試合をしていたので相手選手のこともよく知っていたのですが、相手チームの部長はそのチームの中で2〜3番目に上手い選手でした。
私は、なぜ一番上手い選手が部長ではないのだろうと思っていたのですが、
試合中の彼の声掛けにはっとなりました。
その部長の彼は、チーム内で一番上手い選手に向かって、
「今のプレーなんだよ。お前ならもっとできるだろう。今のプレーだって俺たちにしたらすごいけど、お前の全力のプレーじゃないだろ?」
と檄を飛ばしていたのです。
自分より上手い選手に向かって、自分は出来ないけどお前なら出来るだろ?という声掛けは、自己を超えたフォアザチームの精神からきてます。
まさにチームのパフォーマンスを最大化させる行動ではないでしょうか?
当時の私には思いつきもしない言葉でした。
20年後、私にも年上、同じ業界の競合でマネージャー経験があり、賞も何度も受賞歴のある人が、営業現場に戻りたいと私の会社に転職してきて、部下になりました。
私はこの時、20年前の彼のことを思い出したおかげで、私と彼とどちらが優れているかなどで逡巡などせず、あくまでチームパフォーマンスのことを考えて必要なことを遠慮なく言いあう関係を構築することが出来ました。
マネージャーは自分が部下より仕事ができるから部下に指示・指導ができるわけではなく、マネージャーとしてチームのパフォーマンスを最大化させるのが責務だから部下に指示・指導することができるのです。
そこのところを履き違えないようにしましょう。