【新堀武司】引っ越しの見積もりで「IT戦略」を考える

記事
ビジネス・マーケティング
皆さん、こんにちは。フリーランスのシステムエンジニア、新堀武司です。企業のIT戦略や大規模システムの上流工程を専門としています。

仕事では、数億円の予算を扱うプロジェクトのリスク評価やベンダー選定をしていますが、先日、私的な一大プロジェクトに直面しました。それは「引っ越し」です。

引っ越しなんて誰でも経験することですが、私はこのシンプルなプロセスの中に、企業のIT戦略の失敗パターンが凝縮されているのを見てしまいました。

引っ越し業者に見積もりを依頼するとき、多くの方が「一番安い業者」を選びます。これはシステム開発で言えば、「とにかく低価格のベンダー」を選ぶ行為に他なりません。

しかし、私が重視したのは「価格」よりも「情報の正確性」でした。

私は3社の業者に見積もりを依頼しました。3社とも自宅に来て荷物を確認していくのですが、そのプロセスが驚くほど異なっていたのです。

A社は、目で見てメモを取るだけ。感覚的な「経験値」に頼った見積もりでした。これは、ベテランの社員の「勘」に依存する、属人化されたレガシーな見積もり方法です。

B社は、部屋を歩きながら、荷物をカテゴリごとに口頭で確認し、それを担当者が持っているタブレットに入力していきます。これは、「システム化はしているが、入力方法が担当者に委ねられている」状態です。入力ミスや抜け漏れのリスクが残ります。

そしてC社。彼らは、全てのダンボールと大型家具にバーコードを貼り、それらをスキャナーで読み取りながら、専用アプリに登録していきます。さらに、アプリには「食器棚(大)はダンボール5個相当」といった標準化されたデータが紐づいていました。

このC社のやり方こそ、私が企業に提言する「ビジネスプロセスの標準化とデータの構造化」そのものです。

なぜC社が高い信頼を置ける見積もりを出せるかというと、彼らは「経験」ではなく「構造化されたデータ」に基づいてリスクを評価しているからです。

荷物一つ一つがデータ化され、数量と体積が正確に把握できているため、当日、トラックに積めないという「致命的なシステム障害(=荷物積み残し)」のリスクを極限まで低く抑えることができます。

逆に、A社やB社のように属人化された見積もりは、価格が安く見えても、当日になって「荷物が多すぎるので追加料金が発生します」という「予期せぬ予算オーバー」という形で、後から高いコストを支払うことになります。

これはITの世界でも全く同じです。初期の見積もりが安く見えても、要件定義が曖昧だったり、ベンダーの経験値に頼りすぎたりすると、必ず後で手戻りや追加開発が発生し、結果的にTCO(総所有コスト)は跳ね上がります。

引っ越しという日常的なプロジェクトですら、成功の鍵は、最初の「要件定義(=見積もり)」と「データの正確な把握」にあるのです。

もしあなたが今、新しいシステムの導入や、大規模なプロジェクトの計画を立てているなら、ぜひ3社の引っ越し業者を比較するように、ベンダーの見積もりプロセスそのものを評価してみてください。

彼らが「勘」で話しているのか、それとも「構造化されたデータ」で話しているのか。

この視点を持つだけで、プロジェクトの成功確率は劇的に向上します。私のココナラのサービスでは、あなたの会社がベンダーから正しい情報を引き出すための「見積もりチェックリスト」の策定なども支援しています。お気軽にご相談ください。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら