【新堀武司】人生の「仕様変更」を恐れない技術

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ビジネス・マーケティング
私の仕事は、システムの設計図を描くことです。企業のITシステムは、一度作ったら終わりではありません。法律が変わる、市場が変わる、競合が出てくる。それに応じて、システムは常に「仕様変更」を求められます。

この仕様変更は、プロジェクトチームにとって大きなストレス源です。特に大規模なシステムでは、変更の影響範囲を調査するだけでも大変な労力がかかります。だからこそ、システム設計の良し悪しは、「いかに変更に強く作られているか」で決まると言えます。

これは、私たち自身の「人生の設計」にもそっくりだと最近感じています。

人生の目標やキャリアプラン、人間関係。これらは、まるでシステム設計図のように、一度は計画されます。若い頃は「完璧な設計図」を描こうとします。しかし、生きていると必ず「予期せぬ外部要因」が押し寄せてきます。例えば、結婚、病気、突然の異動、新しい技術の登場などです。これらは、人生における大規模な「仕様変更要求」です。

この仕様変更要求に直面したとき、多くの人は二つの反応に分かれます。

一つは、「計画通りに進められない」とパニックになり、システム全体を停止させてしまう人。つまり、目標を諦めてしまう人です。これは、システム開発で言えば、「変更を恐れるあまり、何もできなくなる」状態です。

もう一つは、「計画に固執しすぎて、非効率な対応で乗り切ろうとする」人。これは、新しい環境に柔軟に対応できず、古いやり方を無理やり続けることで、疲弊してしまう状態です。

私が過去の経験から学んだ、人生の「仕様変更」を乗り切るための鍵は、「柔軟性のための事前投資」です。

金融機関のシステムは、将来の法改正や規制変更に備えて、最初から「この部分は切り離しやすいように作っておこう」「このデータの構造は、将来の拡張性を考慮して少し余裕を持たせておこう」という形で、あえて設計に「遊び」を持たせます。一見すると、この「遊び」は初期開発コストを上げ、ムダに見えるかもしれません。しかし、5年後、新しい法律ができたとき、この「遊び」のおかげで、他社が数ヶ月かかる対応を数週間で完了できるのです。

これは人生も同じです。若いうちに「遊び」や「余白」を持つこと。

例えば、「専門外のスキルを学ぶ時間」「すぐに稼ぎにならない趣味」「特定の組織に依存しないネットワーク」といった、すぐにキャリアに直結しない「余白」です。これらが、人生の予期せぬ「仕様変更」が来たときに、あなたの「システム全体を停止させない」ための、重要なリカバリー機能になります。

私は、メガバンクという極めて堅牢な世界と、コンサルという極めて変化の速い世界の両方を経験しました。その両方で成功しているシステムは、完璧な設計図を持っているのではなく、「失敗と変化に備えるための余白と柔軟性」を、戦略的に組み込んでいるという共通点があります。

もしあなたが今、人生の目標を見直したり、新しい挑戦を考えているなら、その計画の中に、あえて「ムダに見える余白」を組み込んでみてください。その余白こそが、数年後のあなたを救う、最も価値のある事前投資になるはずです。

ココナラで新しいスキルを学ぶことや、専門外の人に相談すること。これらも、あなたの人生の設計図に「柔軟性」を組み込む、立派な事前投資だと思いますよ。
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