知らない人にデザインを依頼するのって、なんだか難しそうですよね。
思っているイメージと違うものができてしまったら?
直して欲しくても、どこがどうイメージと違うのか、上手く伝えられなそう。
そもそも、どうしたいのかが自分でもよく分からないし、説明する自信もない。
デザイナーのこだわりと、自分が求めるものが合わなかったら?
デザインをしたことがない人にとっては、「自分の思い描いているイメージの通りにアウトプットしてもらう」というのが、まず難しく感じるのではないかと思います。どこまで希望を聞いてもらえるのか不安、というのもあるでしょう。
そこで今回は、とあるデザイン案件の、事前相談から発注~納品までの流れを書いてみることにします。(クライアント様のプライバシー保護の観点から、フェイクを入れながらご紹介します。)
発注前にご相談いただけます
私はデザイナーの仕事の一環で、「kindle出版代行」というサービスを行っています。Amazonでkindle出版したい人のために、原稿を作る以外の作業を代行するサービスです。(ご依頼があれば原稿も作ります。)
サービス提供者によってもしてもらえることが変わると思いますが、私の場合はレイアウト調整や入稿作業、販促のための設定の他に、必要に応じて表紙のデザインまで請け負うこともあります。
そこへある個人のお客様から、「kindle出版を頼みたいが、手持ちの原稿に少し不備があるので、それを直して出版することは可能だろうか?」とのご相談をいただきました。
原稿を見せていただくと、PDFファイルの各ページに、黒い枠線が入っています。お客様のご希望は、この枠線を消して、画像データの形で出版したい、というものです。
それならこちらで余分な線は消せますし、データを少し軽くすることも可能です。試しに1ページだけ試作したものをお見せしたところ、発注していただけることになりました。
このように、私の場合はご不安な点は、事前にご相談いただける形を取っています。実際の仕上がりがご希望に合ったものか判断していただきやすいように、必要に応じてサンプルもお作りします。
認識のすり合わせ・ご希望以上のご提案を心がけています
気が付いたこと・お客様に確認を取った方がよいことは、すべてきちんと確認を取った上で、作業を進めていきます。
お客様がどんな仕上がりをイメージされているのか、媒体の仕様などの関係で難しい場合は、もっともよいと思われる落としどころはどんな方法か。そうしたことを考え、必要に応じて都度、お客様と一緒に考えて認識のすり合わせをしながら進めます。
もちろん、お客様のご希望以上のことができる場合は、それもご提案いたします。
基本料金の範囲でできること・オプションであればできること・仕様や技術的な問題でどうしても不可能なことを整理しながら、できる限りのご提案をいたします。
トラブル時は、もっともよい解決策を探ります
デザインに限ったことではありませんが、お仕事をさせていただく中で、予定外のトラブルが起こることがあります。そうしたときは、実現可能な選択肢の中から、もっともよい解決策を探り、ご提案いたします。
今回のお客様の場合は文学ジャンルのご本で、表紙のイラストも持ち込んでいただいておりました。しかし、イラストの縦横の比率がkindleの規格と違っていたために縦幅が少し足りず、幅が足りない部分に黒い帯が表示されてしまう問題が発生したのです。
そのままでも大きな問題にはならないのですが、せっかく出版されるなら、お客様が意図されていない要素はなるべくない方がよいでしょう。文学ジャンルの場合は特に、著者の方がお持ちのイメージを、可能な限り忠実に再現させていただきたいです。そこで…。
元のイラストの雰囲気を損なわずに足りない幅を補う方法として、元のイラストの背景に近い色の帯を入れることで、足りない縦幅をプラス。
そして、持ち込みいただいたイラストでは、本のタイトルと著者名が背景になじんでしまっていたため、足した帯部分に本のタイトルと著者名を入れることで「誰の、何の本か」が見る人に伝わりやすいようにしました。
元のイラストが大変手間のかかったものでしたので、「もともとそういうデザインだったかのように、違和感なく仕上げる」ことも、デザイナーとしての私の課題でした。
判断しやすいようにサポートします
ですが、お客様の立場としては、これらを言葉だけで説明されてもイメージしにくいです。そこで、自動的に黒い帯が入ってしまうものと、縦幅を足したものと両方のモックアップ(利用シーンを想定したはめ込み画像)を見ていただいた上で、ご判断いただきました。
上の画像が、モックアップです。今回は表紙のデザインを少しですがいじることになったので、実際のデバイスで見たときの印象を比較しやすいよう、こうしたものもお作りして見ていただきました。
また、見た目の印象だけでは、よいか悪いか判断が難しいこともあるので、判断のガイドとして、「なぜそうしたか?」ということも、言語化してお伝えするようにしています。
今回のケースであれば、
●元のイラストの雰囲気を壊さない色選び
●帯を入れた分の空間が間延びしてしまうのと、
元のデザインでタイトルと著者名が目立ちにくかったので、
それらを解決するために帯に本のタイトルと著者名を入れる
といったことをお伝えして、ご判断いただきました。
お客様と一緒に、最終的な仕上がりを確認
こうしてできた最終稿をご確認いただき、お客様からOKをいただいたら、いよいよAmazonに入稿し、キャンペーンなど各種設定を行います。
kindle出版の場合は、プレビューアー(事前にレイアウトを確認するためのアプリ)で見たときと、出版後の実際の見え方が若干異なることがあります。
そのため、出版後に販売ページからサンプルなどをお客様と一緒に確認し、それで問題がなければ納品完了となります。
今回取り上げたケースは文学ジャンルでのkindle出版でしたが、デザインはものによって、留意すべきポイントが異なります。
デザイン案件ではお客様のニーズを詳しくヒアリングした上で、プロの視点から見たポイントを押さえながら、認識のすり合わせをしつつ進めていきます。
また、「具体的なイメージが分からない」といった場合も、情報の整理をお手伝いしながら、お客様と一緒に考えさせていただきます。
「今すぐの依頼ではないけれど、ちょっと相談してみたい」といったことも可能ですので、何かございましたらお気軽にお尋ねください。