「お客様と仲間を守れるデザイナー」を目指すことにした日の話

「お客様と仲間を守れるデザイナー」を目指すことにした日の話

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コラム

危険なにおいがするような…?

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3年ほど前のことです。当時、私はとある企業様から、販促用印刷物のデザインを受注していました。デザイナーとしてはお客様のご希望に添いつつも、できればご希望以上のものをお作りしたいところです。

お客様のご要望の一つは、ある公的な認証マークを入れたいというものでした。私はマークの存在は知っていたものの、実際に自分で使う機会がなかったため、最初は特に何も考えず、サンプルデザインの中に組み込んでいきました。

ですが、作業をしているうちにふと、「このマークはもしかしたら、使い方にルールがあるのではないかしら?」という考えが脳裏をよぎりました。何というか、危険なにおいがするような気がしたのです。

お客様と私の行く手を阻む「ガイドライン」

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念のため調べてみると、想像した以上に細かいガイドラインが定められていることが分かりました。こういう場合、人間が取り得る行動は2パターンあると思います。

①ガイドラインは見なかったことにして、お客様のご希望通りのデザインを納品する

②ガイドラインの内容をお伝えし、ガイドラインに沿った形でマークを使うか、もしくはマークの使用を取りやめるか、どちらかを選んでいただく

ひとまず、今の時点でお客様に不満を感じさせるリスクがなくて簡単なのは、①です。ですが、①を選択した場合、あとになってお客様が責任を問われたり、お客様の社会的信用が失わたりといった問題が起こるかもしれません。

また、そういう場合は、デザイナーも責任を追及されることがあると聞きます。このときは私個人での受注でしたが、デザインチームとして受注している場合は、仲間にも責任が及ぶ可能性があるでしょう。

となると、適切かつ良心的なのは②の方法を選択することですが、納得してくださるお客様ばかりではないでしょうし、表立って揉めないまでも、二度と仕事をいただけなくなるかもしれません…。

これもきっと、デザイナーの仕事

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非常に悩ましいところですが、私は②を選択することに決めました。お客様の機嫌を損ねてしまうかもしれませんが、「お客様の社会的信用をお守りすることも、デザイナーの責任だ」と考えたからです。

それに、もしもこれがチームでの受注なら、チームの仲間を守ることも考えないといけません。

そう考えたときに私の中で、「お客様と仲間を守ることも、デザイナーの仕事」という覚悟が決まったのでした。

代替案をご提案

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とはいえ、ただ「決まりなのでできません」では、お客様をがっかりさせてしまいます。「できません」と言われてしまったサービスは、次回から利用しにくくもなってしまうでしょう。

そこで、できない理由はきちんとご説明するとして、同時に代替案もご提案することにしました。

お客様が認証マークを通して「伝えたいイメージや方向性」を、公的な認証マークを使わない形で表現する方法を、ご提案したのです。具体的には、認証マークと雰囲気が似つつも、完全オリジナルのお客様だけのマークを使う方法です。これなら、マークの所有権はお客様にあるので、ガイドラインに縛られず自由に使えます。

商業デザイナーとして学ぶことが多かった案件

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私はもともと、デザイナーとしてはCDのブックレット等アートデザイン出身だったため、この案件は商業デザイナーとしての学びが詰まったものとなりました。特に公的なマークやロゴは、私がいたジャンルではほぼ扱うことがないものでしたので、息の長い商業デザイナーとして活動していくために、非常によい経験をさせていただいたと思います。

そしてこのときの経験は今でも、仕事上の判断をしなければならないときの重要な基準の一つとして、私を支えてくれています。

なお、この案件に限らず、デザインの仕事をしているとときどき、技術的にどうしても難しいこと・コンプライアンスやガイドラインの問題で叶えることができないご要望に出会うことがあります。 

ですが、そうしたときは理由をきちんとお伝えした上で、可能な限り代替案をご提案させていただきます。こちらが気を付ければ済むことでもありますので、もしもこのようなやり取りになった場合も、安心してリピートオーダーしていただけると嬉しいです。





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