ありがとうの力 〜役割期待とエンパワメント〜

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コラム
皆さん、日頃「ありがとう」と言葉で感謝を伝えていますか?  
忙しさの中で、感謝の気持ちを伝えるタイミングを逃してしまうこと、ありませんか。  
家族や親しい間柄だからこそ、つい言葉にするのを忘れてしまうこともあるかもしれません。

今回は、様々な機能が低下していく高齢期において、それに伴う役割の喪失、そしてその状況に対して私たちがどのように関わっていけるかについてのお話です。

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高齢期における機能低下と役割の喪失


加齢に伴い、身体的にも精神的にも機能が低下していくことは、皆さんご承知のことだと思います。  
では、具体的にどのような機能が低下し、どのような機能が比較的維持されていくのか、考えたことはありますでしょうか?

たとえば、筋力や五感(視力・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)、短期記憶などは、加齢とともに低下が顕著だとされています。  
一方で、長期記憶(結晶性知能)や、経験として身体に染み付いた技術などは、比較的維持されていく傾向があります。

生活の中で新しいことの獲得が難しくなり、できなくなることが増えていく。  
そのような状況から、車の運転、重要な判断、金銭管理など、生活における様々な役割を喪失していきます。

ですがこのような場面では、どうしても「できなくなったこと」にばかり目が向いてしまい、「まだできていること」や「これまで培ってきた力」を見落としてしまいがちです。

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本人の持っている能力を引き出す(活かす)エンパワメントの視点


「エンパワメント」とは、本人が本来持っている力を信じ、それを引き出し、活かす支援のあり方です。  
介護の現場では、“できること”に光を当てる姿勢が、本人の尊厳や自己肯定感を支える大切な要素になります。

たとえば、身体が不自由になっても「これまでの経験を活かして的確なアドバイスができる」方や、認知症になっても「庭の草むしりをしてくれる」方など、できることはたくさんあります。

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できることに焦点をあてた役割取得


人は本能的に、ネガティブな情報に敏感です。  
それは自分の安全を守るための自然な反応でもあります。  
だからこそ、できないことに目が向いてしまうのは、ある意味仕方のないことです。

ですが、あえて「できること」に焦点をあててみてください。  
思っている以上に、たくさんの力が残っていることに気づかされるはずです。

できることが見つかれば、それをお願いすることもできます。  
ただし、単に「できそうだからやってみて」ではなく、本人が「できる」と実感できるような準備やフォローが必要です。  
それが、エンパワメントの視点に立った支援です。

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「ありがとう」の言葉が居場所をつくる


「できることは分かったけれど、負担にならないだろうか…」  
そんなふうに思う方もいるかもしれません。

でも、誰かの役に立っていると実感できることは、本人にとって非常に大切なことです。  
「自分は、誰の、なんの役にも立たない」  
そんな思いは、文字を見るだけでも胸が痛くなるほど、つらいものです。

だからこそ、役割を持っていただき、「ありがとう」と感謝を伝える。  
それだけで、その方は「自分には居場所がある」「ここにいていいんだ」と感じることができます。

喪失体験の多い高齢者にとって、この“居場所の感覚”は、心の支えになります。  
あなたの信頼と「ありがとう」のひと言が、その方の心に居場所をつくるのです。

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おわりに


歳を重ね、身体的な衰えを感じた時、できないことに囲まれているように見えるかもしれません。  
でも、できることに光を当てることにより、円満な高齢期を過ごすことができます。

「できることに目を向ける」「感謝を伝える」を是非、意識してみてください。

あなたの「ありがとう」が誰かの居場所をつくる一歩になりますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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